【ライブレポ】ポルノグラフィティ NIPPONロマンスポルノ'19~神vs神~【東京ドームDay2】

1日目はこちら。

 

ポルノグラフィティの20周年記念ライブ、NIPPONロマンスポルノ~神vs神~の二日目のレポ。

今回は、「20年の活動を網羅できるように、1日目と2日目のセットリストを変えてライブを行う」と明言されていたため、どの程度変わるのか、そしてどこが変わるのか?といったところがやはり気になっていた。

今回は特に変化したところを中心に書いていきたい。

 

☆座席

1日目はスタンド1塁側、そして2日目はスタンド3塁側と、ほぼサイドチェンジのようなかたちになった。どうやら、アリーナ⇔スタンド2階席、スタンド1階席⇔逆サイドのスタンド1階席、という席の出方だったようだ。ほぼ同じ場所(むしろ後退した)はずなのに、センターステージが見やすかった。角度の問題?

 

☆OP演出

1日目と同じように、ファンファーレが鳴り、サポートメンバーが出てくる。そして、ポルノの2人が……出てこない!!どこだ?と探していると、なんとセンターステージから登場!これには観客も盛り上がった。

 

 

M1 プッシュプレイ

1日目と同じくコーラスで始まる。この日は、なぜかギターを弾く昭仁がやたらカッコ良く見えて、カッコいいカッコいい!!と夢中で観てしまった。センターにいるから、1日目より自由に動いている感じが良かったのかもしれない。初手ツインギターという演出自体が燃えたのかも。

 

ドンドンタン、ドンドン!という聴き覚えのあるドラムパターンが。この時点で、既に最初の曲変更があり、なおかつアレンジも違うということがわかり、今後の期待が嫌が応にも大きくなる。

 

 

M2 Mugen

1日目ではホーン隊と一緒に披露されたMugen。この先にコーラスを言わせるイントロのアレンジは、2017年のROCK IN JAPAN FES、そして昨年のしまなみロマンスポルノで定着した。

《冷えた指先を温めようと 自分の両手を合わせてみても 僕の悲しみが行き交うだけで それは祈りの姿に似ていた》という歌詞の所で、ステージに跪いて指を折り、祈りのポーズをする昭仁が大好きで、私は毎回まじまじと見つめてしまう。1日目より、2日目の方が動きがカッコ良くてノックアウトされてしまった。ライブ中の昭仁のパフォーマンスは本当にカッコいい。

 

 

M3 THE DAY

1日目と同じ。この曲を2日ともやってくれたのがなんだか嬉しい。洗練されていて飽きることなくカッコいい曲なので、これからも色々な場所でやってほしい。

 

(MCはニュアンスです)

昭「皆さん盛り上がってますか!!わしらが~~~~ポルノグラフィティじゃ!!!」

晴「みんなすごいよ。最初の何曲かで、ステージの音量の調整をするモニターってやつをやるんじゃけど、歓声がすごすぎて、モニターが決められなかった。ドームでこんなことになるのは珍しいんじゃって!」

昭「昨日も来て頂いた方もいるじゃろうけど、序盤からこんなに盛りあがってもらってほんまにありがたいことです。」

晴「じゃあ、歓声のボリューム上げめで、ボーカル抑えめで行こうか。」

昭「なんで抑えんねん!」

昭仁がたまにステージ端へモニター指示をしている様子が結構好き。

晴「今日盛り上げてしっかりライブやるってのは当たり前なんじゃけど、自分たちもこの東京ドームという場所を楽しみながらやっていきたいと思います。」

 

ここで、1日目と同じく本間昭光さんが登場。

グダグダだったMCも、しっかり打ち合わせしたのか、段取りがちゃんとあったし、普段あまり聞けないような話があってとても良かった。

昭「初めて僕らを見た時のこととかは覚えているんですか?」

本「覚えてるよ。3人には、華があったね。見てくれも良かったし。」

昭「“見てくれ”って…(笑)」

本「でも華っていうものは後からつけられるものじゃないからね、それは武器だと思ったよ。だけど昭仁くんのファッションセンスだけはアレだったね。針金を仕込んだスカーフみたいなのを巻いてて…」

昭「なびいてるみたいになってたやつ(笑)。西川さんより先に風を感じていたね。」

晴「『アポロ』ができた時のこととか覚えてます?」

本「もちろん。僕は曲を作る時は、基本的に、鼻歌から入るんだけど。怪しい人みたいでしょ、街中で「フッフフッフ…♪」ってメロディーを録音するの、当時はスマホなんかないから、携帯式のレコーダーに。1stアルバムを作るときに、あと1曲なにかメロディが強いやつを作りたくて、それでアポロのサビのメロディが出てきたの。」

昭「僕も、貰って歌ったときに“これ、いけるんちゃうか?”みたいな感覚になったのを覚えてますよ。」

本「そこから何年かずっとプロデュースで一緒にやってきて、僕と2人がもうそれぞれやっていくってことになって、それを話し合った日の夜……なんかね、寂しいとかじゃないけどね、家に着いたら、泣けてきちゃって。そこから長い間、ほぼノンストップで活動するっていうのは、なかなかできることじゃないよ。20周年本当におめでとう。

そう話す本間さんの姿は本当に優しくて、ポルノの2人が話を聞く姿も、本当に親子みたいで、このステージで一緒にやっている姿をまた見ることが出来て良かった…と思った。

 

M4 ミュージック・アワー~マシンガントーク~ヴォイス~狼~ミュージック・アワー

1日目と同じ。「1日目が赤ベストからの選曲っぽいから、2日目は青ベストから来るのでは?」なんて言われていたけど、そんなことはなかった。

 

 

M5 アポロ

最初に本間さんのピアノが鳴らないというハプニングもあり、一回仕切り直し。

1日目がポルノグラフィティ20年目最後の『アポロ』だったとしたら、今日は21年目最初の『アポロ』だ。これからも、この曲は色褪せることなく響いていくのだろう。

 

ステージが暗転し、雰囲気が変わる。

ここまでは、前日の『グラヴィティ』と同じだし、空中ブランコの映像が作られていたから、変わらないだろう、と思っていた……。

 

 

ザッザカジャンジャンジャンジャジャンジャジャンジャン…

 

 

M6 n.t.

イントロが聴こえた時点で何もかもぶっ飛んだ。

本気で、この曲をもう一度聴けるとは思ってなかった。しかも、違うアレンジで。

前日に弾き語りでやったということを踏まえても、確実に2日目のセトリからは外れるだろうと思っていたので完全に大穴だった。『n.t.』は本当にマイベスト15に入れるほど好きなので、まさかアレンジ違いで2回も聴けるなんて、音源のバンドアレンジを東京ドームで初めて聴けるなんて思ってなかった。

1番サビ終わりの《そんな僕も そんな人間(ひと)もいいだろう》でオレンジ色のライトが上から昭仁を照らして、昭仁の顔にスーッと影を作り表情が見えなくなったのが怖いくらい綺麗だった。そして、最後の

風が舞う空にその身を投げることができますか?

大きな悲しみを前に耐えることができますか?

で、真っ赤なライトがカッ!!と鮮烈に光り、もう…ほんとうに怖かった。ゾッとするほど不気味で美しくて哀しくて、ザラッとした感情がそのままぶつかってきた。

固く握り締めた拳を振り下ろさずにいれますか?

そしてそれが生きる事だと胸を張って言えますか?嗚呼…

東京ドームで『n.t.』が聴けて本当に良かった。

 

 

M7 Twilight,トワイライト

1日目は、美しさ~怖さという空気感があったけど、昭仁作詞作曲の暗い曲が続くのもまた良いな~と思った。2日目は、やり場のない怒り~悟り、寂寞した気持ちという雰囲気があった。

それほど歌詞も長くなく、短いセンテンスの行間にぎゅっとメッセージが込められている曲だが、晴一は昭仁が書いた詞の中でもこれを気に入っているようで、それもなんとなくわかる気がした。その行間を、ギターという言葉で表現しているのが晴一なんだろうと思う。

 

 

Instrumental 『Theme of  "74ers"』

原曲は本当に短い曲なので、かなりアレンジされて切なくも美しい曲になっていたが、何か理由があってこの曲を選んだのか少し気になる。

 

 

そしてまた、「チュンチュン」と小鳥の声が。

前日は予定調和な雰囲気にしてしまったことを受けてか、今日は最初から盛り上がる観客。やっぱりなんでも当たり前にしてはいけないなと思う。

また、花道を通ってセンステへ移動する昭仁。

昭「え~今日聴いてもらう曲、この曲は、自分が作曲したんじゃけど、作っているうちにどんどんいい感じで進んでいった曲で、レコーディングしてる時にバイオリンのNAOTOさんに来てもらって、ちょっとこのフレーズ弾いてもらえる?って弾いてもらったらそれがバッチリハマって。そうやってどんどんメロディができていった曲でもあります。瞳の奥をのぞかせてという曲です。」

 

ここで先に説明しておくと、バイオリニストのNAOTOさん(関ジャムにもよく出ている)は、ポルノのライブに初期からサポートメンバーとして参加してくれていた。「ロックバンドとバイオリン」という一味違ったサウンドをポルノにもたらしてくれており、ポルノのサウンドと歴史を語る上で、ファンにとっては欠かせない一人でもある。

いつも笑顔で、金髪で、ステージに華を添えてくれて、バイオリンとは思えないパフォーマンス(アンコールで定番のブリッジ弾きなど)で会場を沸かせてくれたNAOTOさん。最後にゲストで来てくれてたのは2015年のダイキャスツアーの追加公演で、ご本人も忙しい方のため、もっと前からツアー自体にはめっきり同行しなくなっていた。

 

 

M8 瞳の奥をのぞかせて

NAOTOさんの名前が出た時から『瞳~』だ!とすぐに思ったけど、私は本当にこの曲が大好き。『dice are cast』ツアーの時のアレンジも好きだったけどやっぱり原曲の、バイオリンの入った艶っぽいアレンジも大好きで。でもこの曲を弾き語りで聴くことになるとは思っていなかった。

 

「かぁ……らのワイン……グラス……の横で……ッ」

 

あぁ……ああ~~~~~~~~~~~~~…。

 

静まり返った会場に響き渡る昭仁の声。

真っ白な紙にインクの雫をポタ、ポタ、と垂らしたように、ゆっくりと、確かに、美しい色が広がっていく。

少し掠れて、切なさを感じさせるハスキーさと、ガラスのような透明感、サビになるとしなやかな強さが加わって、改めて、私は昭仁の声が、本当に大好きだ…と思った。

贅沢なことに、私はこんな機会もうないかもしれない!と思い、東京ドームに広がる昭仁の声を、目を閉じて聴いていた。全身を耳にして、昭仁の声だけ感じていた。大袈裟でもなんでもなく、私は、脳みそがドロドロに溶けていくのを感じた。なんて幸せな、なんて美しい時間だったのだろう……

 

すると、1番を歌い終えたところで、フッと声とギターの音がしばらく止んだ。

どうしたんだろう?と目を開けてステージを観ると、

花道から歩いてくる、

 

金髪の、バイオリンを持った……人が……金髪……の………

金髪のバイオリンを持った人が!!!!!!!

 

この情報だけで、充分だった。

NAOTOさんがそこにいた。観客の、悲鳴のような歓声を浴びて、ニコニコと笑いながら昭仁に近づいていく。そして、2人で目線を合わせて、

 

あの美しい歌うような旋律を、NAOTOさんが奏でだす。

聴いてもらった方が早い。これです。(18秒~)

https://www.youtube.com/watch?v=jjSEL_zs7cU

www.youtube.com

 

 

この音が鳴った瞬間、口の中で曲の味がした

これは真面目な話なのでちゃんと書いておくと、東京ドームという真っ白で大きな皿に乗っている高級ステーキが昭仁の声だとする。それを今まで、ギターという塩だけで味わっていたのが、NAOTOさんのバイオリンという秘伝のソースが絡まった瞬間、脳の中に幸福物質がドバーーーーーーーッ!!!っと出た感じがした。脳で食べる麻薬。全身痺れるほどの朦朧とした感覚は、今までに味わったことのないものだった。

演奏自体も良かったし、今はお互いの道を歩む旧友の再会のような熱い演出に胸が躍り、目頭が熱くなった。NAOTOさん本当にありがとう。そして岡野昭仁はやっぱり最高だった。

 

2人が捌けた後は、やっぱりこの人の時間。

 

 

M9 ウェンディの薄い文字

ああ、なんとなく、1日目に『Hey Mama』がフル尺になったことで、この曲も日替わりになるんじゃないかな~と思っていたけど、本当になった。

ウェンディは晴一が初めてボーカルを務めた曲で、OMCツアーで披露されたきりだったが、久々に日の目を浴びた。

やはり、発表会のようなあたたかい空気が流れる。《撫ぜるだけさ》のコーラスも、12年ぶり。晴一の声は本当に、歌うと更に少年のようなあどけなさをはらんでいるので、歌詞も普段本人が書いているような大人の曲ではなく、こういった少女や少年が主人公の曲が似合っている。

 

ステージが暗転し、奥からなんとストリングス隊がせりあがってきた。この時気付いたのだが、ステージの奥に上下するスペースがあり、恐らくホーン隊もそこから出たり引っ込んだりしていたようだった。

不穏な感じのインストを奏で始め、次の曲を予感させる。いよいよ、2日目の後半戦のスタートだ。

 

 

M10 リンク

ここからはストリングス隊とのコラボ。BEツアーでも『リンク』は聴いたけど、やっぱり生弦があると締まる感じがする。晴一が「本間さんにこの曲には弦を入れようと言われて、求めているものと違ったので少し抵抗したけど、結果入れて良かった。本間さんはすごいと思ったし、悔しかった」という旨のことを言っていたが、確かに当時イメージしていた武骨なロックサウンドとは違ったのかもしれない。けれど、ストリングスがあることでよりスリリングでソリッドなサウンドになっているし、この曲特有のあたたかさが生まれていると私は思う。

 

ここで、改めて“NAOTO Strings”の紹介が。

昭「先ほども一緒に演奏してくれました!2日目のスペシャルなゲストは、NAOTO Strigns!!ここからはNAOTO Stringsと一緒に盛り上げていきたいと思います!!次の曲は、みなさんにもお馴染みの、聴いたことある曲なんじゃないかな。え~~この曲は、ラテン語で、“情熱”……?」

ここまで聴いて、晴一が違うよ!!といった顔をしたあと、爆笑。

昭「情熱じゃないな。なんだっけ、郷愁!」

今さら間違えてやんのと言わんばかりに、指を指してプププと笑う晴一。

昭「“郷愁”という意味の曲を聴いてもらおうと思います!」

(これを今更「聴いたことがあると思う」と言ったのもちょっと面白かった)

 

 

M11 サウダージ

これも生弦で聴くのは本当に久しぶり。サビのところの追っかけのメロディが特に好きで、より切なさと、美しい哀しさが増していく。

今回のドームのサウダージは特に調子が良くて、ボーカルの微妙なピッチずれもほとんどなく(ほんとにわずかなものだがサウダージはテンポも速く歌詞も詰まっていて起こりやすいと思う)、後半にも関わらず絶好調だった。最後のアドリブも本当に綺麗で、ここ数年で昭仁のファルセットは最強になったと思う。

 

 

M12 ブレス

テレテレテロロロ……というイントロにまた驚いた。ここでブレスが来るとは!

しまなみロマンスポルノで1回披露されたきり、ツアーにも組み込まれなかったこの曲。『ブレス』には本当に色々な想いが詰まっているので、冷静な状態では聴けなかったし、自然と涙がこぼれてしまった。淡い虹色のライトに照らされたステージは本当に綺麗だったし、ストリングスが美しかった……。

力強い昭仁の歌声と、優しい音色の晴一のギターと、会場のコーラスが混ざり合って本当に幸せな空間が生まれていた。

私は最後に「ウォーオー」のコーラスが昭仁の声だけになるのが好きなんだけど、昭仁が「最後の1回も!(一緒に!)」と煽ったことで、みんなで完結させたのがとても印象的だった。

 

昭「次は、みなさんにもお馴染みの曲を、今日はNAOTO Stringsと一緒に演奏したいと思います。聴いてください。『愛が呼ぶほうへ』」

 

 

M13 愛が呼ぶほうへ

1日目はホーン隊とのアレンジが新しい魅力を生み出したが、ストリングスとのコラボは正に音源に近い正規アレンジといった感じで、あ~~これこれ!!という気持ちになった。何回も書くけど、生弦の音は本当にあたたかくて、包まれるような優しさに心が洗われるようだった。

 

昭「さぁ!!次は、ポルノにとっても新機軸になったような、そんな曲を聴いてもらいたいと思います!『Zombies are standing out』!!!」

 

 

M14 Zombies are standing out

曲名を言っただけで割れんばかりの歓声が上がる。この曲も、ポルノの定番ロック曲としてすっかり定着したなぁと思う。本当にカッコいい。こういう曲がファンにも求められていることが2人にもちゃんと伝わったんじゃないかなと思う。もっともっとこういう曲が聴きたい。

ちなみに最初に“新機軸”と言った時点で「カメレオン・レンズかな?」と思ったんだけど違った。あれも早くもう一回ライブで聴きたい…。

 

 

曲が終わり、少しの沈黙の後、晴一がテロレロテロレロ……とアドリブを弾き始める。なんだか聴いたことがない曲のようで、あたたかいような、寂しいような、ちょっと不思議な感じのメロディだった。

 

 

M15 サボテン

アドリブ後のイントロを聴いた瞬間、そう来たか!!と思った。かなり今までとは違う新鮮なアレンジだったし、しまなみの時にやっていた最後の昭仁のアドリブもあってめちゃめちゃ興奮した。

ちなみに、“ポルノ展”で聴いたインディーズ時代の『小さな鉢のサボテン』は、歌詞のテーマも全然違って、テンポも若干速く、CDより1音も高く、もっとストリートな感じのアレンジだった。

私は冒頭の晴一のアドリブが、雨に濡れて滲んだ窓という感じの情景が浮かんできて本当に良かったな…と思っていたのだけど、これを下書きしていた以降のラジオで本人が「サボテンが元々持つ、過去を思い浮かべて昔がちょっと滲んで今の気持ちになる、みたいなのをギターで表現できないかなと思って、ああいうアレンジにした」と言っていて、当たらずとも遠からず?な気持ちになったし、それを確実に届くようにギターで表現できる晴一の感受性と技術に舌を巻いた。晴一は、世界的にトップレベルの技巧的なギタリストではないかもしれないけど、私は晴一のギターにおける表現力が大好きなのである。

 

 

M16 ヒトリノ夜

再びストリングス隊が出てきて、生で聴くイントロのキュイイイイイイの迫力はすごかった。『ヒトリノ夜』も、原曲には原曲の良さがある曲だと思っていたけど、この日ばかりはそれを全く超えていた。生弦の迫力、そして昭仁のシャウト!!まさかこの曲であんな叫びを入れてくるなんて、本当に興奮しすぎてどうにかなりそうだった。今までで一番カッコいいヒトリノ夜だった。

 

 

M17 瞬く星の下で

この曲がセットリスに来た時点で、まず思ったことがあった。これ、しまなみでやったなぁ。そう考えると、サボテンも、ブレスも、愛が呼ぶほうへも、Mugenも……。この絶妙に偶然とは思えない選曲に、「もしかして、しまなみロマポル2日目のリベンジでもあるのだろうか?」と思わざるを得なかった。

『瞬く星の下で』は、音源だと正直ス~ッと流れてしまう感じであまり好んで聴く曲ではなかったんだけど、昭仁の生の歌声が乗ることでむしろ確かな熱を感じるし、終盤でも全然映える曲だなぁ!と新しい魅力に気づくことが出来た。あとやっぱり生弦が良いし、曲の持つ優しさとぬくもりがより伝わってきた。

 

 

M18 ハネウマライダー

ハネウマも、本来はストリングスがとても映える曲なので、まさしく音源そのままという感じでとても良かった。キラキラしていてしなやかで、ちょっと切ないセンチメンタルな雰囲気がとても素敵だった。贅沢なハネウマだった。

やっぱり定番曲でNAOTOさんがいるという懐かしさもあり、ハネウマでこんなに感動したのは久しぶりだった。

 

 

M19 アゲハ蝶

2日目、非常に印象的な出来事があった。

間奏で、観客がラララのコーラスをしている最中。何気なく、ちょうど晴一を見ていると、おもむろに晴一がイヤモニを両耳から外したのだ。そして、少し客席を見渡した後、背後のスクリーンをじっと見つめていたのだ。

その表情を、更に別のスクリーンが映していて、勝手な想像かもしれないから申し訳ないんだけど、本当に、あたたかくて嬉しそうで、穏やかな顔で……。

「ドームでやれるということを、自分も楽しみたい」と言っていたことを思い出して、ああ、生の声を自分の耳で聴いているんだ、そして、客の表情をちゃんと見ているんだ…と思った。

そんな晴一の表情で自分も泣きそうになったし、本当に、今日この場にいられて良かった……と改めて喜びを噛みしめた。

 

 

いよいよ、最後の曲。1日目は、まだ明日があると思えたけれど、この幸せな空間がいよいよ終わりを迎えることに、少しの寂しさを感じながらも、その時はやってくる。

 

 

M20 VS

もう本当に何も言うことがない。2日目の『VS』はイントロから泣きっぱなしで、キラキラと紙吹雪に包まれている2人を見ているだけで、本当に幸せで、楽しくて、終わってほしくなくて、とにかく泣いた。本当に、楽しくて幸せだった。

 

 

魔法のような時間が終わっていく。

でもしんみりしてはいけない。これはお祭りなのだから、最後まで楽しまないと。

 

 

昭「アンコールありがとうございます!君らがそんなに卑猥な3文字を連呼するけぇ、アンコールやるよ!!!晴一、よろしく!!」

晴「……福山雅治さん、僕に力を…」

そのくだりは毎回やるんかいと思いつつ、2日目のアンコールへ。

 

 

EN1 オー!リバル

またサイ型のフロートに乗って進む2人。前日の反省を活かしてか、昭仁は歌がちゃんと歌えるように、間奏でバズーカを撃ちまくることにしたようで、前日よりも全然段取りが良くなっててよかった。今回はサインボールではなく、Tシャツを丸めてパッケージしたものが飛んでいたらしい。

オー!リバルをアンコールに使うのも贅沢だなぁと思ったし、観てても聴いてても楽しかった。

 

 

EN2 Before Century ~ Century Lovers

前日から気になっていた「エビバディエビバディセイ!」について、「どうこれ。新しいやつ考えたんじゃけど!へへ。」と地味にバージョンアップしていたことに昭仁が言及!ちょっとしたり顔。そのついでか、「せっかくだから、昔やってたやつも特別にやっちゃおうかな~!!」と、「エビバディ!みんなで!声出せ~!!」の方を披露!!ミュージック・アワーカップリングに入っている方の貴重なバージョン。

本人曰く「ダサ~~~。ダサいわぁ。これじゃ声出んじゃろ!!」とのことですぐに通常Verへ。ボーカルなりの模索という感じでなんだかとても良かった。

なんと2日目は、昭仁だけでなく、晴一“アレ”を披露していた。

 

 

曲が終わり、メンバー紹介へ。

この日は最終日ということで、サポートメンバー全員から一言ずつ貰うことに。

 

tasukuさん(Gt.)「僕は東京ドーム初めてだったのですが、こんな素敵な場所に連れてきていただけて、ポルノの2人には本当に感謝です。本当にありがとうございます。」

皆川さん(key)「UNFADEDツアーの時には、人生の終活を考えてましたが、今日こんな素敵な景色を見られて、まだまだやらないとなと思ってます。」

nang-changさん(Manipulaotr)「デビュー当時から立たせてもらって、20周年でもこうしてドームに立てて、次にここに立ってサポートするのは30周年かな。これからもよろしくお願いします。」

須長さん(ba.)「20周年ということでたくさん準備してきましたが、想像もつかなかった景色でやれて本当に感動しながら弾いてました。30周年もここでやりましょう!」

真助さん(drams)「気付いたら、古株の2番目くらいになっていて、色々なライブを回ってきたけど、僕はこの席から動けないのでずっと後ろから見ていたんですが……今日は…くるものがありましたね……」

最後に涙声で話す真助さんにもらい泣きしそうになった。

 

昭「では、NAOTO Stringsを代表して、NAOTOさんお願いします!」

NAOTOさん「ご無沙汰しております。NAOTOです。20周年本当におめでとうございます。5万人のタオルを見た時は……正直やばかったですね。離れていても、心はずっとポルノチームの一員だと思っておりますので、また呼んでください。今日はありがとうございました。」

 

そして最後に、本間昭光さんより。

本間さん「20周年おめでとうございます。デビューから一緒にやってきて、距離を置くことになっても、またこうして一緒にやらせていただいてありがとうございます。今までずっと走り続けて来て、これからも走り続けるとは思いますが、ポルノグラフィティ、続けてください!ほんとに、それが何よりの願いです。」

 

そして最後は、もちろんこの2人。

昭「よし、じゃあせっかく20周年じゃけぇ、今までで一番でっかい声で呼んでやろうかな!!みんなもでっかい声で呼んでくれよ!!オーーーーーンギターーー!!!」

客 \晴一~~~~~!!!!!/

昭「オーーーーーンギターーーー!!!!!」

客 \晴一~~~~~!!!!!/

昭「ポルノグラフィティ、オンギター、は~~るいち~~~~~!!!!!!」

晴「……次は30周年!って言うのは簡単だけど、そうじゃなくて、これからも自分たちが本当にやりたいことをやれてるか、楽しんでやってるのか、ファンの皆さんを驚かせられるのかをしっかり考えて、これからもやっていきたいと、思います。」

 

晴「そして残った一人が~~~~」

昭「…なんかいつもと違う!!」

晴「こんなんじゃなかったっけ?(笑)ちがう?…ボーカルは~~~!」

客 \昭仁~~~~~!!!!!/

晴「ボーカルは~~~~~!」

客 \昭仁~~~~~!!!!!/

晴「ポルノグラフィティ、ボーカル、岡野~~~昭仁く~~~ん!」

昭「ありがとうございます!!……わしはこう見えてドライな方じゃけぇ、20周年を迎えて、どう思うんじゃろう?って思っとったんよ。現実的なところがあるけぇ。でも、そんな僕でも、今日は……キたね。今までの20年間、僕たちは何かになれるんじゃないか、自分たちは何か大きいことができるんじゃないかって信じてここまでやってきました。偉そうなことを言うけれど、皆さんも、何かひとつ、信じてみてください。そうすれば、何かが起きると思います。君たちが背中を押してくれるから、失速した時にも、君らが求めてくれたから、ここまでやってこれました。最高のファンです!!本当にありがとう!!!」

 

昭「さぁ!何度でも言うけど、今日は皆さんも主役です!最後は、歌って、踊って、泣いて、笑いましょ~~~~~!!!!!」

 

 

EN3 ライラ

正直、正直なところ!!私は本編でセットリストに『ジレンマ』がなかったことで、やっぱ最後の最後はジレンマでやるんだ!NAOTOさんもいるしブリッジ見れるぞ!と思っていたので!!ちょっとだけ燃焼不良でしたが。そろそろアンコールのジレンマが聴きたい!!

しかし、やはりこの独白が強かった。

晴「とは言うものの!ポルノグラフィティをやってきて良かったなと思います!ポルノグラフィティが今の幸せの、全てをくれたと思っています!ポルノは、皆さんに、少しでも何かを与えることができたでしょうか?幸せを、届けられているのでしょうか?何かを残すことができたのでしょうか?」

ハァ~~~~~~。ポルノグラフィティ、大好き!と思考停止の感想になるくらい、感謝の気持ちと幸せと愛で溢れた。そんな気持ちになれる時間が私にはある。この上なく幸せなことだと思った。

 

 

最後にメンバーが捌け、2人がステージの端から端まで手を振りながら歩く。

そして、いつもツアーの最終日にのみ起こるレアイベント。2人の固い握手だ。

いつもは「仲良くなんかありませんよ」といった風な雰囲気を出している2人だけれど、そこには確かな信頼と、絆があった。

最後に深々とお辞儀をする2人。並ぶと「PORNO」「GRAFFITTI」になるはずのTシャツの柄が逆になっているところもまた彼ららしい。

すると、あとは捌けるだけだと思っていたが、OPのファンファーレが突如鳴り響き、『祝!20周年』の文字が画面に現れた。それに合わせて、ファンにはおなじみの“はっさくメガネ”がお祝いの言葉を述べ、「2人にプレゼントがあります!」と、なんとステージの端から、ドームを歩いている本物のビールの売り子さんが、ビールを注ぎに来たのだ!

ポルノの曲『はなむけ』をBGMに、2人で乾杯。

昭仁は一気飲みしようとしたのか、飲めずに大量のビールを口から物凄い勢いで出してしまうと言うハプニングが……その場はびっくりして笑ってしまったが、あれだけ動き回ったのだから当たり前とも言える。ゆっくり休んでほしい……。無理は禁物。

晴一は早々にステージの端に座り込み、そこに昭仁もやってきてまるで座敷のような雰囲気に。「つまみ持ってこーい!」「おかわり!」とオフマイクでふざける2人は本当に和やかで、ああ、無事に今日と言う日がこうして終わっていくのだなと思った。

 

そして最後に生声で一言。

晴「気を付けて帰ってください!」(この日は台風が迫っていた)

昭「皆さんは、ポルノグラフィティのファンで良かったですかーーー?!僕もーーー!!ポルノグラフィティやってきて、良かったでーーーーす!!!!ありがとーーーー!!!!!」

 

 

もう、終わりにまとめで何も書く必要がない。

私は、やっぱりポルノグラフィティが大好きで、今までファンをやってきて、ずっとずっと楽しくて、幸せだった。それを感じられただけで、それだけで良かった。

そして、これからの幸せも、ポルノグラフィティと共にあるんだろうなと、そう確信した2日間だった。

また次のライブで会える日を心待ちにして日々を過ごそうと思う。

ポルノグラフィティに出会えて本当に、良かった。

 

今までありがとう。これからもよろしくね。

 

 

<セットリスト>

M1 プッシュプレイ

M2 Mugen

M3 THE DAY

M4 ミュージック・アワー~マシンガントーク~ヴォイス~狼~ミュージック・アワー

M5 アポロ

M6 n.t.

M7 Twilight,トワイライト

Instrumental Theme of “74ers”

M8 瞳の奥をのぞかせて

M9 ウェンディの薄い文字

M10 リンク

M11 サウダージ

M12 ブレス

M13 愛が呼ぶほうへ

M14 Zombies are standing out

M15 サボテン

M16 ヒトリノ夜

M17 瞬く星の下で

M18 ハネウマライダー

M19 アゲハ蝶

M20 VS

 

EN1 オー!リバル

EN2 Century Lovers

EN3 ライラ 

 

 

【ライブレポ】ポルノグラフィティ NIPPONロマンスポルノ'19~神vs神~【東京ドームDay1】

ポルノグラフィティの、20周年の、東京ドームで、2Days。

発表から半年間楽しみにしていたイベントが終わって感じたことは、喪失感ではなく非常に満たされた充実感であったことには、自分でもかなり驚いていた。

それほど素晴らしいライブだったし、想い出に浸るだけでなく、確かな歩みを感じさせるポルノグラフィティの決意がしっかりと示されていた夜だった。

なるべく曲についてを中心に、自分が感じたことをまとめていきたいと思う。

 

☆座席

東京ドームと言えど、出来ることならなるべく近くで観たい。と思っていたが、1日目はスタンド一塁側だった。でも、初めての東京ドーム、イメージよりステージが近いな?というのが印象的だった。

 

☆セット

『VS』を模したオブジェがステージ中央の上にあり、そこからブロック状に組み合わさったアーチのような枠が大きく広がる。モニターは中央に1つ、サイドに中・小が2つずつ。中央のモニターにはリングのような筒状のオブジェがついていて、ステージ奥へと続いていた。センステへと続く花道にはうねうねとした管のようなものがくっついている。

 

☆客いじり

開演30分前からいつもの客いじり。ナビゲーターは、20周年通してのキャラクターなので今回もキューブ教官が。毎回思うけど、やっぱりこれは1人だと当たりたくない(なるべく同行者がいても当たりたくない)。

 

☆OP演出

最近のツアーではかなり凝った演出がされていたこともあり、今回はどんな感じで始まるんだろうとドキドキしていた。

まず、モニター映像と客席BGM(今回はオリジナルSEではなく久しぶりに普通の洋楽だった)がフッと消える。その瞬間にスタートを予感し立ち上がる観客。

 

パパパパーーーーーーー!!!!!と、明るいファンファーレが鳴り響き、今回のタイトルである

『20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE NIPPON ROMANCE PORNO’19~神vs神~』

というタイトルがロゴと共にスクリーンに出てくる。

ボン!!!!!という空砲が鳴り、ステージ端からV字に火花が飛び散る。

客電が落ちず、明るいままサポートメンバーが、そして、ポルノグラフィティの2人がステージへ出てきた。あまりにも自然に。あまりにも、いつも通りに。

さて、何が始まるんだ、いつものように晴一がその肩を揺らした時から夢の時間は始まる―――はずだった。

 

スクリーンに映された晴一が動かしたのは、手でも肩でもなかった。

 

 

「「狂喜する声が満ち溢れてた」」

 

 

 

聴こえてきたのは、メンバー全員の、アカペラの合唱だった。

 

 

M1 プッシュプレイ

始まった瞬間に、「そうか、この曲しかないよなぁ」と妙に納得した。

最新曲『VS』には《あの少年よ こっちも闘ってんだよ》という歌詞があるが、そもそもこれは『プッシュプレイ』おける《あのロッカー まだ闘ってっかな?》というフレーズを受けたアンサーソングのようなものになっている。

ステージと客席でお互いに向かい合う、今この瞬間。

ポルノと私たちの”VS”は始まっていたのだ。

しかし、最初のコーラスの時点である違和感を覚えていたのだが、その答えは曲の「キー」にあった。どう考えても、原曲より半音、いや1音高い。

何年も活動する中で、昔のように声が出なくなってキー下げをするアーティストは珍しくないが、この記念すべきライブの1曲目からあえてキー上げをしてくるとは思いもよらず、そしてそれを物ともせず高らかに歌い上げる岡野昭仁、恐るべし。

「一発かますぜ!」という気概も感じられる先制パンチを早くも打たれてしまった。そういう意味のキー上げだと思っていた。この時はまだ。

 

間髪入れずに始まった真助さんのドラムカウントによって次の曲を理解する。

1曲目ではまだ現実味がなくて浮ついていた心が、「いよいよ始まったのだな」と躍り狂っているのを感じた。

 

M2 メリッサ

「愛に焦がれた胸をつらぬ、けぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!」という昭仁のロングトーンは相変わらず圧巻の迫力。この、どこまで続くの?というロングトーンを聴くだけで会場のボルテージは一気に上がっていく。

本来ならば、盛り上がりや知名度的にも、終盤でも充分使いどころのあるこの曲、それを“2曲目”でポンと出せる強さ。本気で攻めのセトリを組んできているなと予感させるものでもあった。

 

M3 THE DAY

この曲は定番曲として、過去のヒット曲とタイマン張れる力を持っていると思うし、何より本人たちがそういう認識で組み込んでいることが何よりも嬉しい。純粋にカッコいいので、もっと聴きたい。

アレンジはBUTTERFRY EFFECTツアーで生まれたものと同じで、ギターとシャウトの掛け合いが本当に痺れる。

 

ここで2人によるMCが。(MCは、全てニュアンスです)

昭「東京ドーム盛り上がってますか!!楽しんでますか!!わしらが~~~~~ポルノグラフィティじゃ!!!

これを東京ドームで聞けたことにじわじわと嬉しさが広がる。

晴「すごいね、東京ドーム!10年前に初めてやった時は、まだ野球場でライブしよるみたいな感覚だったけど、今日はもうライブ会場になってるね!」

10周年の東京ドームは、まず、やるということに一生懸命になりすぎて、ほとんど記憶が残っていないと各所で語っている2人。今回は、どうやらその心配はなさそうだ。

昭「今日は、盛りだくさんでいくよ!早速だけど、ポルノの歴史はわしらだけじゃ語りきれんけぇ、スペシャルなゲストをお招きしています!最初のゲストはこの人!本間昭光~!!!

 

ギャーーーー!!!と大騒ぎする会場。本間昭光氏とは、ポルノグラフィティを初期から中期に渡ってプロデュースしてきた偉大な方であり、自らキーボードのサポメンとしてもライブに参加したりしていた、ファンにとってもなくてはならない人なのだ。現在はタッグを組んでおらず、馴染みのない人向けに簡単に言うと、だいぶ前に巣立ちした、ポルノの育ての親との久しぶりの邂逅、と言えばあの盛り上がりもわかるだろうか。ちなみに『関ジャム』によく出ています。

 

しばし本間さんとのトークを楽しむ2人。しかし、1日目はどうやら打ち合わせをする時間がなかったらしく、本間さんの口がまわるまわる、さすがに私でも「長いなぁ(笑)」と思う長さであった。それだけ、本間さんのポルノ愛が強すぎたということか。

要約すると、

・今だから言える失敗とか言ってみてよ⇒「タネウマライダーの歌詞とか…」「僕のいわゆる鬱期にノンタイアップで『音のない森』を出してもらったことはチャレンジだった」

・今日は満席になってすごいね。5万弱…いや6万弱って言っとこう!

・当時シングルにする予定だったアゲハ蝶より狼の方が反応良くて困った

・大変だったことは⇒「ボーカル録るだけで6時間かかってた…泣きそうだった…」

・せっかくだからドームを楽しんでほしい、ウェーブの練習してみたら?

・晴一誕生日近いんだからドームのみんなにハッピーバースデー歌ってもらいなよ

・ついでに昭仁も歌ってもらいなよ

・ポルノは優しいファンの人に甘やかされちゃダメだよ!

…など。やっぱり長い!!!

でも本間さんの嬉しそうな感じと、止めるに止められないポルノの2人がなんだか微笑ましく感じると共に、わからない人はなんのこっちゃだよな…とも思っていた。

 

そんなお茶目な本間さんをピアノに迎え、スペシャルメドレーを披露します!と曲へと移る。

 

M4 ミュージック・アワー~マシンガントーク~ヴォイス~狼~ミュージック・アワー

やはり惜しむらくは、久しぶりのヴォイスがフルで聴けなかったこと。だから私はあまりメドレーが好きではない。いっぱい聴ければいいというものでもないと思っているので、今回はメジャーどころで固めてくれたのでそれほどダメージが無かった。

そして、個人的にかなり久々のマシンガントーク。やっと踊る昭仁が観れた!!15周年のLEMFツアーのアンコールはクリスマス前ということで、クリスマスの定番曲である『Hard Days,Holy Night』に変わっており、約5年のおあずけを食らう羽目になったため悲しかった。ライブのマシンガントークはちょっとスカっぽいリズムアレンジになっているのがカッコいい。

ミュージック・アワーで挟むのは楽しかったけどもうちょっとノリやすいアレンジでも良かったのでは?!でもやっぱ楽しかった。

 

M5 アポロ

記念すべき、本間さん作曲によるデビュー曲。何回も同じことを書いている気がするけど、この曲は本当に20年前の曲か?と思うほど色褪せないし、むしろ近未来すら感じさせる。

1番までは昭仁と晴一、そして本間さんのピアノだけで演奏。2番からはバンド演奏が加わり大いに盛り上がる。

「ラヴ、E、メール、フロム…………東京ド~~~~~~~~~~ム!!!!」の響きはやっぱり特別なものを感じる。なんか、全編通して思ったんだけどこの『東京ドーム』という場所が、2人と客のテンションにブーストかけてる感じがした。いつもと同じくサビでコーラスをしている晴一が、なんだかこの日は無性に好きだと感じた。

そしてこの曲で既に今回の銀テープが飛んで、改めて「おめでとう」という雰囲気に。

本間さん、この曲をポルノグラフィティのために作ってくれて本当にありがとうございますという気持ちになった。

 

本間さんが捌け、客電が落ちてステージも暗くなり、静まり返る中で次の曲を待っていると、聴こえてきたのは、星の瞬きのようなアルペジオだった。

 

 

M6 グラヴィティ

悲鳴をあげそうになった。暗いステージに浮かび上がる夜空の映像。FCUW4には行けていないため、OMCツアー、12年ぶりの『グラヴィティ』だ。

《小さな泡になって消えていく瞬間 それさえ愛したい》の昭仁のファルセットが本当に本当に美しかった。

儚くも力強く壮大に展開した後は、可愛らしいピアニカの音と犬の鳴き声……CD音源と全く同じなんだけど、これは当時晴一が飼っていた犬のスゴロクの鳴き声。

永遠でなくてもいい 限りある命と

愛しい時が流れて

小さな泡になって消えていく瞬間

それさえ愛したい

私はこの歌詞が大好きで。

今という時間が過去になっていく。だけど、この今感じている1秒は、ずっと記憶に残る自分にとっての永遠かもしれない。例えばスゴロクはもういないけれど、その鳴き声一つで当時のことが鮮明にフラッシュバックした気持ちになるように。きっと永遠ってこういう風に一瞬からできていくんだ、ああ、このライブも、今聴いているこの音も、自分にとっての永遠になっていくんだと思った。

もう全部が美しくて、わけもわからずポロポロと涙が流れていった。

 

 

M7 Twilight,トワイライト

亜細亜のスミで鳴き声一つ 繋がれた飼い犬が夜ごとリフレイン》

主題が大きすぎて、重すぎて、気軽に聴けないこの曲が。まさか東京ドームで聴けると思わなかった。

昭仁の上に光の帯が優しく降り注ぎ、背後のスクリーンには教会のステンドグラスの映像が映し出されている。

《さあ さあ 行きましょ》

私はこの曲で昭仁の声を聴いたとき、「怖い、」と思った。

どこか遠くへ語りかけているような、何かに憑依されているような、もうここにはいないような、全てを見通しているかのような、諦めているような、無情感と浮遊感。魂だけがここにあって、何かが置き去りにされそうな。

地球(ココ)ここにあるすべては一つだと

謳えば謳うほど嘘になり

敵はどこだ?と探し続けた

暴走の果てに辿り着いたら 蔑んで 壊して 殺した

例えるならば、見てはいけない、聴いてはいけないけど、でも禁忌を犯してでも近づきたくなる聖なる“何か”。そんな危ない魅力のある歌声だった。

私は昭仁の声が大好きだし人生の中で何回も聴いているけれど、「初めて聴く声だ」と思わせてくれることが近年は多い。一体どこまで引き出しを増やし続けるのだろうか。

 

Instrumental 『Theme of  "74ers"』

初日は「物凄く聴いたことがあるんだけど何の曲だったかな…?」と思っていたけど、インスト曲というくくりでこの曲をやると思っていなかったので完全に頭から抜けていた。

過去の2人のモノクロ映像と共に曲がれる、切なくてメロディアスな曲。デビュー当時から、今回の東京ドームのリハ映像へとつながっていく様は、なんともエモーショナルなものだった。アルバムのページをめくるように、当時の記憶が蘇ってくる。私の人生は、ポルノグラフィティと過ごした時間の方が長いことを、改めて実感した。

 

インストが終わり、ノスタルジーな気持ちになっているところに、「チュンチュン…」と小鳥の鳴き声が聴こえてきた。

…つまり、あのコーナーである。

 

昭「わかってる人も多いんじゃろうけど、もっと『わ~!』とか言ってくれても…(笑)」

本人がこう言ってしまうほど客席の「アレね(笑)」感が出てしまったのは反省ポイントである。この“小鳥のさえずりが聴こえたら、昭仁の弾き語りコーナーが始まる”というのは、一昨年のBEツアーから昨年のUNFADEDツアーにかけて、ファンとポルノの間で定着した暗黙の了解のようなコーナーだが、昭仁の持つ和やかな雰囲気もあり「ここで?!」という気持ちが強かった。トワトワの余韻とかもう少し、あるでしょ!という…(笑)

 

昭「せっかくドームなんだから、真ん中に行こうかな!」

とセンターステージへ。もう、“東京ドームのど真ん中で歌声を響かせる昭仁”を想像するだけで、ワクワクが止まらない。

昭「何をやろうかな~。やっぱりこれ?『君はまた~♪』」と、UNFADEDツアーネタの『見つめている』を弾いたりしてふざける昭仁。今思えば、あんな風にドームで冗談が言えるなんて、10年前と違って本当に「ファンの人に囲まれている」という信頼が生まれていたからこそできたんだろうな~と思うと嬉しい気持ちになる。

 

昭「このコーナーでは色々話してきたけど、今回は詞、作詞について聞いてもらおうかな。…歌詞っていうのは、自分の強い想いをぶつけるだけじゃ、良いものにならないことが多いんです。でも、次に聴いてもらうのは、僕の、言ってしまえば、鬱期……そんな大層なものじゃないですけど、色々とモヤモヤしたものがあった、自分の立ち位置とかがわからなくなった時に、憤りだとかをそのままぶつけた曲です。…“佞言断つべし”、『n.t.』、聴いてください。

 

M8 n.t.

この曲が好きすぎて、「佞言断つべし…」の時点でパニックになっていた。

この曲は本当に、昭仁が言っていた通り、焦燥感と、もどかしさと、憤りがそのまま詰め込まれているような曲で、思春期に初めて聴いてからずっと、自分の中に刺さり続けている曲でもある。

“佞言絶つべし”とは、漫画『蒼天航路』の関羽が言った台詞で、ざっくり言うと『人の甘い褒め言葉に耳を傾けず、調子に乗らないこと』という、自分への戒めの意味が大きく含まれている意味の言葉。ここに岡野昭仁という人間性が大きく示されているのではないかと思う。そりゃ若い頃はそれなりにパーッとした時期もあっただろうが、それに留まらず『自分はまだまだ』と思い続けている謙虚すぎるとも言いたくなる姿勢が、今の彼を形成しているのだろうなと思う。

AメロBメロは静かに語りかけるように、サビでは思いの丈をぶちまけるように激しく。ヒリつくような感情の洪水が原曲以上に表現されていた。

 

東京ドームという華の舞台のド真ん中で『佞言絶つべし』と歌い上げる。それが岡野昭仁で、だから私はこの人が大好きなのだとも思う。等身大の感情にあてられて、私はただ静かに涙を流していた。

 

昭仁が花道の通路から捌け、ふとステージを観ると、ばっちり準備のできたサポメンと、ギターと、マイクを……マイクを構えた晴一が…

 

M9 Hey Mama

近年の流れで行くと次は晴一のコーナーだとは思っていたけど、さすがに予想してなかった…(笑)。

晴一の数少ないボーカル曲。今までバリバリにカッコいいステージを観て大興奮だった客席の雰囲気が、一気に我が子を見守る親のような空気になったのを感じた。変な意味ではなく。

晴一の声は、柔らくて優しくて、舌足らずで、なんとも微笑ましいというか、本人も言っていたが『出し物』を見ているような気持ちになった。緊張なのか照れなのか、歌いだしから既にはにかみ笑いをしてしまっている晴一。あんな感じに見えて実はシャイ、というのが前面に出てきてしまっていた。

本来一番のみしかなく、全て英歌詞のこの曲だが、なんとこの日は特別バージョンで日本語和訳歌詞の二番が始まった時は驚いた。この日一番贅沢なアレンジじゃないの?と思ってしまうほど大胆な演出。ずるい。

サポメンのtasukuさんがバンジョーを弾いていて、それがカントリー感増し増しになっていてとても良かった。

 

和やかな雰囲気からは一変、トランペットやトロンボーンによって構成されたホーン隊がステージの後ろに現れ、パリッとカッコいいメロディを奏で始めた。そして一拍の間を置き、始まったのは…

 

 

M10 渦

パァーーーーーーーパァーーーーーパァーーーーーーパァーーーパァーーーーーーというイントロに絶叫する観客。

渦はハードロック的なサウンドと合わせてブラスの音が本当にカッコよくて、それが生で聴けるなんて、こんな贅沢なことってあるだろうか。近年特に、主にツアーでは「バンドとしてのカッコいいサウンド」を追求してきたであろうポルノのライブにおいて、このような飛び道具でゴージャスに演出されると正にお祭り!という感じが出てとても良かった。ステージの見栄えも良くて、派手でカッコ良かった。

『渦』ってライブ特有の熱が入ると音源にはあまり近づかなくて、それもまた良いんだけど、一番好きなのは音源の声かなってずっと思っていて。それが、最近の艶っぽい歌い方が逆にメッチャクチャ渦に合っていて、しかもそこに音源にしかなかったザラつきとか色っぽさが加わって、昭仁のボーカルテクニックの向上と声質の変化がうまいこと相乗効果を生んでいて、本当に素晴らしかった。

記憶に新しい『渦』と言えば、ブレスの初回特典についていた「ROCK IN JAPAN FES 2017」の渦で、現地では聴いていないけどあれが現時点で最高の、音源を超えた『渦』だと思っていた。でもそれを更に軽々と超えてくるポルノグラフィティ、そして岡野昭仁は本当にすごくて。妖しくて迫力があって、カッコ良かった。

 

昭「皆さんに紹介しましょう!2組目のスペシャルゲストは、FIRE HORNS!!」

FIRE HORNSは、トランペット、トロンボーン、サックスからなるユニットで、この日は10人構成。スガシカオさんのライブで出演しているのを観て昭仁がいつか一緒にやりたいと思っていたらしい。

昭「テンション上がるじゃろ?!」としきりにこちらに投げかける昭仁がめちゃめちゃ嬉しそうだった。

昭「FIRE HORNSと一緒に、20周年を、セレブレイト!」

 

 

M11 俺たちのセレブレーション

ホーン隊が来た時点でやりそうだなと思っていた俺セレ。ほんとにやってくれた!まぁ祝い事なんだから思いっきりセレブレーションしていかないと。この曲のハジケっぷりは単純に何も考えず盛り上がれるので良い。めちゃめちゃ楽しかった。昭仁は「Foo!!」も「ゲラッゲラッ!!」も自分で言ってくれるからなお楽しい。しかも裏声が物凄く綺麗になったので、常にハイクオリティなものを聴いていることを忘れそうになるくらい楽しい。

俺セレの歌詞は二人の共作なので、バラバラだとか統一感が無いだとか言われがちだけど、昭仁が『プリズム』で《恋》という言葉を使ってから、やっぱり俺セレの《惚れちゃった 戻れないよ 憧れじゃ終われないよ》も同じ、ポルノグラフィティに恋してるって曲じゃん!」とスッと自分に降りてきた感じがした。私たちはもちろんポルノという存在(リアコや人間としての2人という意味ではなく)が大好きで、言わば《恋》のような憧れの感情を抱いているけど、そもそも2人自身が『ポルノグラフィティ』という生き様を当たり前にしないで、常に新鮮な気持ちで恋焦がれていてくれるからこそ輝いて見えるんだ!と強く感じた。これに関しては全然うまく説明できないけど。

 

昭「さぁ!!次は皆さんにとってもお馴染みの曲を、FIRE HORNSと一緒に盛り上げていきましょう!!」

と聴こえてきたのはUNFADEDツアーでも聴いたあのイントロ。

 

 

M12 ジレンマ

ここでジレンマ。本人たち的に途中でジレンマやるのハマったんだろうか。個人的にはやっぱりアンコールで聴きたいのでちょっと残念だったけど、アレンジが(特にベースラインが)原曲寄りになっていてめちゃめちゃ跳ねた。あと晴一のギターソロはやっぱりテンション上がる。

 

昭「もう少しFIRE HORNSと一緒にやりたいと思います!この曲も、みなさんの手によってどんどん大きくなって、育てられていったなという曲です。聴いてください。『愛が呼ぶほうへ』。」

 

 

M13 愛が呼ぶほうへ

2人にとってもファンにとっても大きな意味を持つこの曲はやはり周年ライブでは外せないだろうと思っていたけど、ホーン隊とやるのは意外だった。あたたかいトランペットの音が響き、オレンジ色の柔らかく優しい光が太陽のようにステージを照らした。 

 

思い出されるのは、やはり昨年、19周年のしまなみロマンスポルノだろう。20周年イヤーのキックスタートとなる公演が、惜しくも2日目中止という結果に終わり、高校生とのステージも当日は実現せず、ライビュがあったにせよ、涙でスタートしたことには変わりない。そのことを思い出しながら、1年後の今日、無事にこの日を迎えられたことを噛みしめ、そして台風が近づく明日も無事に終えられることを強く願った。

 

昭「さぁ!!ここまで楽しんでくれてますか!!盛り上がってくれてますか!!!!ここからは、ヘヴィーロックで、お前たちを、アゲてやる。」

(このライブモードの昭仁のオラオラMCが大好きだなと無性に思う)

 

ポルノのロックが大好きな私は「ヘヴィーロックだって!!なんだろうあれかなこれかなあの曲かな」と脳裏に曲名が駆け巡っていたが、

 

デデッ!!!デデッ!!!デレッデッデー!!!!!

 

というイントロを聴いた瞬間に半狂乱になった。

 

 

M14 ラック

ドームで絶対に絶対に聴きたかった1曲。『Zombies are~』が生まれた今、恐らくやるとしても日替わりになりそうだなと思っていたけど、1日目で聴くことができた。この曲では炎が上がり、いよいよ後半の盛り上がりを畳み掛けに来ているのを感じる。物凄くカッコ良かった。ポルノはやっぱりこういう武骨で暗いロックナンバーもよく映えるのだ。

そして2番の「切実なあぁーーー!!↑いぶをくれ」を聴いた瞬間、目の前の景色が、本当にゆらっ…と一瞬揺らいで、失神しかけた。真面目に倒れそうになるくらい、カッコ良かった。漫画的表現ではよくあるけど、人はあまりにも圧倒されると本気で血圧がどうにかなってしまうもんなんだと実感するほどこのフレーズは強烈だった。

 

 

M15 キング&クイーン

ヘヴィーロックもう終わりなの?!と思ったが振り幅が180度方向転換できるのもポルノならではと言ったところ。ポップな曲の中でも殊更“ザ・ポップ”な曲をラックのあとにぶつけられると緩急のつけ方がジェットコースター並み。

限りある人生 たとえ満たされても

留まることを選ぶより

また次の一歩を刻む 

いつでも挑戦者でいよう

というこの歌詞は、ポルノの強い意思表示なのだろうなぁと思う。「僕たちはこれからも進んでいきます」という決意のようなものを感じた。素直に明るくて楽しかった。BEツアーではラストの締めだったのでアウトロのアレンジがあったが今回はCDと同じ。

 

 

 

M16 Mugen

ここで再びFIRE HORNSが登場!!このイントロにはぶち上がった。花道を使い2人がセンターステージへ。そしてホーン隊も同じく花道へ。そして大サビで2人を囲むようにワッと並ぶ姿は圧巻だった。私は『Mugen』のあのギラギラしたMVを思い出していたのだけれど、なんと本当にMVのシーンを再現していたのだそう…!

 

ぜひ正面から見たかった!!早く映像で確認したい。

とにかくギラギラオラオラでカッコ良かった。

 

 

M17 ネオメロドラマティック

開始2秒で全ての細胞が生き返るこの曲。この辺から楽しすぎてひたすら跳んだり跳ねたりしてた。ネオメロは無条件にバチバチになれるから大好き。最近はツアーでも横っ腹痛くなるほどはしゃぐことってなかった気がするけど、ドームでは二日間とも思いっきりジャンプできたりして、なんかアドレナリンとか確実に湧き出てたよなぁと思う。

この曲もブラスが映えるのでめちゃめちゃカッコ良かった。そしてほんとに昭仁はどこで息継ぎしてんだろ。 

 

そしてワンマンでは久々の「男前ギター」こと、ウエスタンなアレンジイントロ。これがかかると、周りの人は既にタオルを準備し始める。ということは、もうすぐフィナーレか…と少し寂しさを感じるのも、もうお決まり事。

 

 

M18 ハネウマライダー

この日のハネウマはホーン隊がいることで、いつもより明るく弾けたアレンジになっているのが幸せに満ちていて、楽しかった。昭仁が最近お気に入りのカメラ芸も健在。

「ここにいる君たちと~~~!!!!」を聴くと、ああやっぱりポルノに会えて良かったなぁ!!とひしひしと感じることが出来る。

《途中じゃ降ろしてやらないぜ》とエンジンをかけ続けているポルノに、いつだって着いてきた。色々忙しくてライブに行けない時期もあったけど、心の中ではずっとメタルブルーのマシンと一緒だった。2人が連れて来てくれたこの東京ドームという場所で、私は物凄く幸せで満たされた今までの思い出を胸に刻んでいた。

 

 

M19 アゲハ蝶

5万人の大合唱は、客席からでも物凄い圧力を感じた。ライブでも何回も聴いているはずのアゲハ蝶だけど、手拍子とコーラス有りで「ひとつ」になっていると感じた。なぜかテンションの上がった晴一が『ラララ』のコーラス中に、普段は絶対やらないウェーブを煽ってきて(本間さんのMCが確実に布石だった)、しかも煽るのがわかりにくいし下手くそだし、客もウェーブなんて普段のライブでやらないから更に下手くそだし、全然綺麗に出来てなくてサッパリ締まらなかった。でも、それすら楽しかった。もうなんでもよかった。ここにいるんだという幸せだけがあの場を支配していたように思う。

 

自分が喫茶ポルノに行った時に飛んでいたアゲハ蝶。そして今日の東京ドーム。晴一がファンに向けて手がけた『一雫』の《羽》とは、鳥ではなく蝶の羽だと私は密かに思っている。

《その羽を大きく広げたままで この旅路の果てで待ってて》

旅路の果てへ向かうのは、彼らでもあり私たちのようでもあり。一体感だけがライブの全てではないけれど、この日は観客の「ここへ来て良かった」という想いが一体となっているのを、肌で感じることができた気がする。

 

大阪で活動していた25年前、音楽を鳴らすだけで楽しかった頃でも思い描いていた夢があった。あの頃からは想像もできない場所に、今立っていて、今までで一番素敵な景色が見えている。みんな、ここへ連れて来てくれてありがとう!という昭仁のMCが入り。

いよいよ最後の曲。

 

 

M20 VS

この曲が最後を飾るであろうことは途中で想像がついていた。しかし、イントロでもう涙があふれて溢れて止まらなかった。美しい粒の揃ったピアノのフレーズ。想い出を紐解くように重なっていくリズム隊。瑞々しい澄み切ったメロディと、しなやかで力強いボーカル。

そうか あの日の僕は今日を見ていたのかな

こんなにも晴れ渡ってる

雨のしまなみロマンスポルノから1年、本当に色々あったけれど、無事に今日を迎えられた喜び……。晴れ渡っていたのは「心」なのだ。

バーサス 同じ空の下で向かい合おう

あの少年よ こっちも闘ってんだよ

ステージで向かい合うポルノと私たち。長年積み重ねてきたお互いの距離が、もうすぐ触れ合うところまで来ていると感じたあの瞬間。私たちはポルノを信じているし、ポルノも、私達を信じてくれている。そう思った。

 

ラスサビ、2人は花道を駆けながらセンターステージへ。金色の紙吹雪が大量に噴射され、キラキラと輝いている。その中で誇らしげに演奏し、歌う2人は本当に楽しそうで、幸せそうな顔をしていた。アウトロでは本来の『VS』のメロディに合わせて晴一が冒頭の『プッシュプレイ』のリフを弾く。そして。

あのロッカー まだ闘ってっかな?

と昭仁が歌い上げる。

そうか、最初のキー上げはここに繋ぐためのものだったのか…!と気付く。『VS』とキーを合わせるために易々と調整してみせる昭仁にも驚いたし、最高の演出だと思った。

問いかけで終わるのは、自問自答を繰り返す彼ららしいとも思った。でも、彼らが問いかけているのはもう、自分自身に対してだけではないだろう。私たちはすぐに答えることができる。初めて出会ったあの日から、闘い続けるポルノは、超カッコいいよ!と。

 

割れんばかりの拍手の中、サポメンが捌けて、2人が捌けて。

そしてアンコールに応えて、またステージに現れる。

 

昭「アンコールありがとう!!皆がそんなに卑猥な3文字を連呼するもんじゃけぇ、アンコールやるじゃろが!!」

とお決まりの流れがあり。

昭「晴一よろしく!!」

晴「……僕に、ディーンフジオカさんが舞い降りますように……いや福山雅治さんにすれば良かったかな…」

いや晴一が観たいんだよ!となるこのくだり、要る?と思うのだが、和やかだった空気が更に和やかになったので良かった。これを言うということは、あの曲だ。

 

 

EN1 オー!リバル

1サビ歌った後に、あれっ2人ともどこ行った??となっていると、ステージ端から、なんとフロートに乗って出てきた!!しかも、サイの形の!!豪華!!晴一が上手側、昭仁が下手側から登場。そして昭仁の手には、バズーカが!!まるでアイドルのコンサートみたいになってきたぞとワクワクしたのも束の間、「歌いながら何かをやる」ということに全く慣れていない昭仁、ボールと一緒に歌詞も飛ばしまくるというボロボロ状態に。り、リバルが勿体ない…(笑)

「いきますよ~!!いきますよ…はい!!」

「上に行きすぎたかな?!あんまり上に行きすぎると怒られるんですけどねぇ!!!」

「上に行っちゃいました!!」

「こんな…こんなおざなりにやるもんじゃないんでしょうけどねぇ!!!」

と終始何かを喋りながらボールを飛ばす昭仁。微笑ましかったです。

 

 

EN2 Before Century ~ Century Lovers

おなじみのイントロでアンコだけどテンションがガンガン上がる。いつもの「エービバーディセイ!」に混ざって「エビバディエビバディセイ!!」というのが混ざっていて、おや?と思うも1日目は特に言及なし。センラバはもう絶対やると思ってたけど、2人が自由に楽しんでいるのを見るのが好き。昭仁の“アレ”も絶好調。

 

そして最後の曲の前に、サポメンを含めたメンバー紹介。

昭「残った2人がポルノグラフィティというわけで、でっかい声で名前を呼んでやってください!!!オーーーーンギターーー!!!」

客 \はるいち~~~~~!!!!!/

昭「オーーーーーンギターー!!!!」

客 \はるいち~~~~~!!!!!/

昭「オンギター、新藤、はーるいち~~~!!!!」

晴「ディーンフジオカって言ってほしかったなぁ(笑)。……ポルノグラフィティは、遡ると高校の文化祭から始まって、自分にとっては仕事というよりは、部活……部活っちゅうんもあれじゃけど、部活みたいな感覚で。やりたい奴が集まって、やりたいからやるし、辞めたい奴は辞めるし。やりたいことをやれてるかってのが大事で。そこからずっと地続きでやってきとるけぇ、みんなにもあると思うけど、ポルノっていうのは例えば、初恋の記憶みたいな、自分の手で穢したくないもので。そういう気持ちで、また次のポルノグラフィティを見せていけたらなと…思います。」

 

あらゆるところで『穢したくない』という言葉を使っている晴一はきっと、ファンとかスタッフとか他のどんな誰よりも、ポルノグラフィティが大好きで、愛してくれているんだなと強く感じる。

そして昭仁は、今まで支えてくれたメンバー、スタッフ、家族、そしてファンに、それぞれ一言ずつ添えて「ありがとう」と丁寧に伝えていく。

ああ、この2人がポルノで良かった、この2人だから大好きなんだなと思うと共に、ポルノはまだまだ走ってくれるんだ、もう走り出す準備をしているんだ…と感じることができた。本当に嬉しかった。

 

昭「さぁ!!最後は皆さんで、思いっきり、歌って、踊って、泣いて、笑いましょ~~~!!!」

 

 

EN3 ライラ

うーーん!!!最後はいまいち盛り上がるにはジレンマに及ばないと思ってしまうライラ。本人たちが気に入っているのだろうか?だけど、まぁ、まぁ良いでしょう!お祝いだものね!本間さんやFIRE HORNSも総出で演奏に加わってくれる。ソロ回しでは、本間さんが『カルマの坂』のイントロを弾いて盛り上がる。

そして、昭仁の語りの部分はどう来るのか…と思いきや。

 

晴「20年前、アポロでデビューした時は、ノストラダムスがどうとかで、人類はみんな滅亡しているはずでした。でも、何とか生き残って、デビューできました。この20年間、楽しいこともありました。アポロがドーンと行って…調子に乗った時もありました。…上手くいかなかった時期もありました。だけど今、こうして東京ドームに立てているということは……今まで僕らがやってきたことは、間違いじゃなかったのでしょうか?全部、正解だったと思って、いいのでしょうか?君たちが、これまでの全てを……正解にしてくれるのでしょうか?

 

こんなこと言われたら!!!無理!!!正解なんだよ!!!全部!!!ポルノが歩んできた道が、今の私を作っているんだよ!!!!と、ボロボロに泣いた。まさかライラで泣く羽目になるとは。ニクい男晴一。

最終的に「昭仁さんお願いします……」と謎のタイミングでバトンタッチ。そして最後の最後のコーラスが終わり、サポメンが捌け、2人が今までに見たことないスピードで(多分時間が押していた)ステージの端から端へ手を振って周り……

 

晴「東京ドーム、最高でした~~!!」

昭「バンド人生で、最高の夜になりました!!ありがとう!!」

と生声挨拶で締め。

 

こうして1日目のライブが終わった。

ドームでも生声って聴こえるもんなんだなぁ…と妙に嬉しく思いながら、明日の最終日に向けてホテルへと急いだ。

迫りくる巨大な台風に、まだ待ってくれと願いながら…。

 

2日目へ続く。↓

http://ikaika1015.hatenablog.com/entry/2019/10/15/000138

 

<セットリスト>

M1 プッシュプレイ

M2 メリッサ

M3 THE DAY

M4 ミュージック・アワー~マシンガントーク~ヴォイス~狼~ミュージック・アワー

M5 アポロ

M6 グラヴィティ

M7 Twilight,トワイライト

Instrumental Theme of “74ers”

M8 n.t.

M9 Hey Mama

M10 渦

M11 俺たちのセレブレーション

M12 ジレンマ

M13 愛が呼ぶほうへ

M14 ラック

M15 キング&クイーン

M16 Mugen

M17 ネオメロドラマティック

M18 ハネウマライダー

M19 アゲハ蝶

M20 VS

 

EN1 オー!リバル

EN2 Century Lovers

EN3 ライラ 

 



 

なんだか「喫茶ポルノ」の参戦レポみたいだね。

f:id:ikaika1015:20190821012055j:plain

 

喫茶ポルノへ行ってきた。

the-guest.com

 

 

開催決定から既に「メリッサの葉になりティー。」「なんだかティラミスみたいだね。」などの、愛に溢れた妙な投げやり感が面白いメニュー紹介文で話題となっていたこの特別企画。

地方在住の私にとって、行けるか行けないか瀬戸際の開催期間だったが、なんとか休みを取って入ることができた。

せっかくなので(そしてとても楽しかったので)自分が体験したことを、順に沿ってレポとしてまとめておく。

 

 【入店前~開店】

まず、池袋パルコの入り口(北側ではない方)に9:30くらいに並ぶ。

平日だったので列形成は無かったが、既に15人くらいが壁に沿って待機していた。

 

間違って、最初なぜか「池袋マルイ」に行ってしまい余計に歩いたせいもあるが、暑すぎて立ってるだけで汗ダラダラになる。水を飲みながら耐える。

 

開店時間の10時になる頃には約30人くらい?が待機していた。

多分、休日だとこんなもんじゃないんだろうと思う。

 

【開店後~待機】

開店と同時に店の中へ。階段とエレベーターで分かれる。地下から上がってくる人、北側で待機していた人が合流したが、エレベーター1回目に乗れたのでそのまま7階に上がる。


7階では、事前に説明があった通り「カフェ待機列」「テイクアウト列」「グッズ列」で分かれており、圧倒的にテイクアウトに急ぐ人が多かった。最初カフェ列の人は少なく、大体15番目くらいに並ぶ。

これは最初にテイクアウトいけたか?と思ったが、続々とカフェ列も伸びたのでそのまま待機。

しばらくすると、「サボテンカップケーキ」と「メリッサティー」の整理券終了のアナウンスが。カップケーキは本当に捌けるのが早かった。メリッサティーは10:20くらい。
ほとんどの人がグループ客。みんなニコニコで楽しそうに並んでいた。


先にメニューが配られ、しばらくしてから並んだまま注文を聞かれる。

「デザート・料理・ドリンク関係なく、できたものから運ばれてきます」との注意事項説明あり。

 

私は食べたいものが決まっていたので、特に迷わず塩ラーメンとティラミスとサワーを注文。


カフェ列は、開店後すぐ中に入れる人数まではその場で待機、入れない人は整理券をもらい、券をもらったら指定された時間に集合という仕組み。

 

【入店~着席~メニュー到着】

1グループずつ、先ほど伝えた注文に間違いがないか確認され、準備ができ次第店の中へ。

まだグァバジュースのテイクアウト券が余ってるのが見えたので、店員さんに誘導されて店に入る前にサッと券をもらう(テイクアウトの待機列は解消されていた)。

これだけ在庫自体が多いのか、単純に余っていたのかはわからないけど、かなりの数余っていた。


着席。一人だったため、席はカウンターの角。テーブルはグループ客用で、4人テーブルが置いてある。

椅子は高めで、身長が低いと若干座りにくい。荷物を置く場所は広めで、足元に余裕がある。というか、テニプリのコラボカフェで同じ場所に来たことがあるのを思い出した。


私が座った席にはウサギ(恋するウサギ♡ちゃん)のぬいぐるみ、そしてあらかじめ敷いてあるコラボデザインのランチョンマット。

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横の壁には歴代ナビゲーターが貼ってある。

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他にカウンター席で確認できたのはサボテンとアイス(『スパイス』の3段重ねアイス)とバラ。

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アイスとバラは別のお客さんに頼んでありがたく撮らせていただいた。テーブル席は確認できなかったが、何か置いてあったのかもしれない。


テーブル席付近のスクリーンには、2016年の横浜ロマンスポルノ「THE WAY」の映像が流れていて、『敵はどこだ』のあの死ぬほどカッコいいアレンジイントロがかかっている最中、なぜか感極まって少し泣いた(料理はまだ何も来ていない)。

ポルノがここまでやってきたからこそ、たくさんの人に愛されているからこその連日の大盛況、それを肌で感じられたこと、そして何よりやっぱりポルノがカッコ良くて、ドームまでライブ映像断ちしていた自分には刺激が強すぎたせいで涙が止まらなくなってしまい恥ずかしかった。

スクリーンはカウンター席からだと振り返らないと見えない位置。恐らくライブDVDを丸々流してディスク交換、という方式のため、時間ごとに違うライブ映像が流れているようだ。後ほどテイクアウト商品を引き取りに来た時には変わっていた(多分「惑ワ不」?)

 

情緒がおかしくなり頭を抱えていると、先にサワーが出てくる。大体着席から5分くらい。そのあと10分くらいで塩ラーメン、さらに5分くらいでティラミスが到着。

胸がいっぱいになってしまい空腹感が薄れ、しばらくぼけっとしながら写真を撮っていたが、ラーメンが伸びる…と思い食べ始める。

が、アイスも溶け始めたのでアイスも食べつつ両方食べ進める。

 

 ☆メニュー評価

ボンゴレ塩ラーメン(『サウダージ』モチーフ)1390円

許してね食欲よ、最後の一滴まで飲み干したくなる、涙の味の塩ラーメンができました。

誰にも邪魔をされず、器の底に残るサウダージを感じてみては。

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めっちゃおいしい。貝の出汁がとてもよく出ている。あっさりしているがどこか洋風の味のような、オリーブオイルとかバターとかが入ってそうなコクも感じる。アサリが貝ごと6個くらい入っていて食べ応えあり。炙ったすだちが添えられており、絞るとほのかにさわやかな風味に変化。

具はネギと彩りのクコの実だけでシンプル。麺は細めのちぢれ麺でつるっといける。スープを飲み終わる頃には説明どおり、海、もといスープの底にはなんと粋な仕掛けが……

 
・アポロの月面ティラミス(『アポロ』モチーフ)1290円

アポロ11号の月面着陸を本気で再現しようって、考えたんだろうね。なんだかティラミスみたいだね。

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おいしい。アイスはしっかりコーヒー風味で小さなチョコチップが入っている。皿にばらまかれているのは、黄色いスポンジを粉々にしたものと、ココア風味のクッキー?的な、なんていったらいいかわからないけどサクサクしたもの。ティラミス自体はそんなに甘すぎず、個人的に苦手なべちょべちょ部分もない。茶色いスポンジはしっとりふわふわ、チーズ部分はとろとろでとてもおいしい。

宇宙飛行士も食べられるけど、コラボカフェメニューによくある美味しくないプリントせんべいなので先に食べるといい。

なんだかティラミスみたいだね。というか、ティラミスである。ちなみに、今年は偶然にもアポロ11号の月面着陸50周年でもあり、色々な意味でおいしいなと思う。


ミュージック・サワー(『ミュージック・アワー』モチーフ)790円

淡い色のドリンクを注ぎ切って見せてよ

爽やかすぎるレモンをかち割ってる特別なサワー。

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おいしい。爽やかなレモンスカッシュに、ほんのりミント味。ミント強すぎは飲めないのでありがたい。レモンを潰すともっと味が出そうだけど、ストローで潰したら種が出てきて飲みにくくなってやめた。甘すぎず、味も濃くなくて食事に合う。2杯分くらいは楽しめる。氷は割とすぐ溶けてしまうので、冷たいのが好きな人は早めに飲むといいかも。

ディナータイムにはアルコール入りの『ver.164』も頼めるようだが、それもきっとおいしいと思う。

 

この3品で私はかなりおなかいっぱい、比較的少食の人は時間制限ありだとキツイかもしれない。隣の人が頼んでいた「リリックラテ」が、ちょっとしたスープぐらいの大きさで、欲張って頼まなくて良かったと思った。

 

【店員さんの対応など~会計】

店員さんは持ち帰りに配慮して、コースターには飲み物を置かず、ランチョンマットも避けてくれる。

ドリンクと一緒に運んでくれたコースターに、店員さんの指の水滴が少しついてしまったものを、こちらが何も言ってないのに即交換してくれた。

ドリンクと一緒に冷たい水が来たので「冷たい水を下さい」は言うタイミング無し(言う勇気もなかったが)言いたい人はおかわりをすればあるいは。

 

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レジにもサボテンが。お金を入れる皿もサボテンの形で可愛らしかった。

テイクアウトとカフェ会計のレジが隣なので、忙しいと中々会計して貰えない様子。

会計の際、手にランチョンマットを丸めて持っていたら「良かったらお使いください」と輪ゴムをもらう。

 

【店の外~缶バッジガチャ、テイクアウト】

店の隣にはグッズブースがあり、まだ待機列に並んでいる人がいた。食べ終わる頃にはスーベニアマグとスーベニアボトルくらいしかなかった。グッズ最優先で欲しい人は、先にグッズ列に並んだ方がいい。

その更に横にはバラ売りの缶バッジガチャがあり、ガチャは並ばなくても引けた。

1人5回までとのことだが、特に監視などはついていない。混んでる時にはいるのかも?

5回まわしてみたらダブったやつがあったので、ダブっちゃった〜と言っていた人に1つ交換してもらった。

 

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テイクアウトは喫茶入口と同じ場所にあり、閉店までの好きな時間に引き換えを行える。まだ引き換えられていない商品が陳列されていたので、それだけ写真を撮った。

 

グァバジュース (『グァバジュース』モチーフ)400円  

※テイクアウトメニュー

喫茶ポルノがお送りする甘い甘いグァバジュース
これだけはお土産で君にあげるのもいいねぇ。

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後日、グァバジュースを家で飲んだのだが、「どうせ市販のやつを詰めたものだろう」とタカをくくっていたら、まるで想像していたものと違った。お高くて濃厚な、とろっとしたタイプのフルーツジュースを想像してほしい。あの味だった。『甘いあまァア~~~~~い』かどうかは微妙なところだが(そもそもグァバジュースはそんなに甘くない)、バ〇リースのやつよりは甘かった。

ちなみに個数制限があるので、君にあげるお土産はないねぇ。

 

【ランチョンマットのラミネート~失敗~そして成功へ】

ランチョンマットをラミネートしに、池袋駅西口の『いいプリント池袋』という店へ。

店員さんは何度か同じ物を持ち込まれているせいか、すぐに対応してくれた。

「お時間10分ほど頂きます。ほとんど失敗することはないですが、万が一もありますのでご了承ください」と言われ、まあ大丈夫だろうと待っていると、

 


「本当にすみません…まさかの失敗してしまいました…」

 


ええーー?!と思わず笑いながら驚くと「これはどこで貰えるんですか!?事情を話して、1枚貰ってきてやり直します!!」と店員さん。

そこまでいいですよ、見栄えがそんなに悪くないならそれでも良いですと言うも、汚れがついてしまったのでやり直させてほしいとのこと。

店は整理券が必要な仕組みであること、マット自体は無料だが、入った人だけが貰えることを伝え、ダメだったら本当に大丈夫ですから…と連絡先を伝え近くの建物で待機。

 

20分後くらいに連絡があり、「できましたのでいらっしゃってください」と言われる。

なんと喫茶の店員さんも快くすぐに対応してくれたとのこと。ありがたく完成品をいただく。

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※縦に入っている気泡は、持ち運ぶ際に自分でうっかり折ってしまったもの。不覚……

 

『いいプリント池袋』では、A3サイズまで290円ですぐに加工してくれる。他には『kinko's』という店舗でもできるようだが、500円とほんの少し割高のようだ。鞄に入らない場合は硬質ケースを買うという手もある。


触れ合った全ての人に素敵な対応をしていただき、あたたかい気持ちになった。

 

【感想】

地方民にはかなり難易度の高い企画だったが、非常に満たされた気持ちになり、20周年の目白押し企画の一つに参加できて本当に良かった。

グッズに関しては後日通販も決定したので、そちらで買えればいいなと思う。

コラボカフェというと、馴染みがない人にとっては「モチーフにかこつけて大したことない高い料理で儲けているんでしょ」という印象を持つ人もいると思う。実際料理が大したことなかったり、名前を使っときゃ売れるだろという魂胆が見え見えなコラボもたくさんあるのかもしれない。

しかし喫茶ポルノで実際に食べてみたものは、どれも本格的においしかったし、メニューに対するこだわりが物凄く伝わってきた。恐らく、企画者の中にガチのファンがいるんだろうと思う。

おいしい食べ物というのはそれだけで心が満たされる。そこに店員さんの親切な対応、愛に溢れた内装、何よりポルノのライブ映像が流れる中で食事をするという贅沢さが加わる。

20周年というお祭り感を味わえるのも今だけなので、これから行く人はぜひ期待していてほしい。行かないつもりの人も、検討してみてほしい。

 

【余談】

用事が済み街を歩いていると、なんと、『アゲハ蝶』が一匹飛んでいた。

なんとなく追いかけていると、ビルの角を曲がったところで見失ってしまった。

写真に収められなかったのが残念、冗談みたいだけどほんとの話。

次に東京に来るのは、いよいよドーム2Days。楽しみ。

【ライブレポ】高級アーティスト回転寿司、AmuseFes2019【恋とか愛とか】

今年もAmuseFesに行ってきた。昨年が初めての参加だったが、空想科学少年や天気職人など珍しい曲がけっこう聴けて楽しかったので、今年も行こうと決めていた。

エレファントカシマシアミューズに移籍したことにより、もしかするとフェス参加あるか……と淡い期待を寄せていたのだが、まぁ叶わず。しかし今年も中々に楽しい内容だった。去年は『雨男晴女』というテーマに基づくチーム対抗戦での進行だったが、今年は『恋とか愛とか』という、「恋愛ソング、もしくはそのコンセプトに対抗する楽曲を選択する。また、各人の『恋とか愛とか』のエピソードを披露し、優勝を決める」という一抹の不安を抱えるテーマではあったが、何の問題もなく楽しめた。

昨年の記事ではポルノだけ触れていたが、今年はかなりざっくりだが全てのアーティストについて感想を書いてみた。ポルノはトリなので一番最後。

 

1.山出愛子

さくら学院の女の子。17歳らしい甘酸っぱいエピソードでほっこりした始まりに。ゲストにBEGINの上地さんを迎え、2曲を演奏した。優しいオープニングとなった。

 

AmuseFesの特徴は通常の対バンやフェスと違い、大きなステージを半分に分け、アクトが終了するとステージごと回転し、裏で準備していた次のアーティストのセットが出てくるため、転換のスピードが異常に早く待ち時間が少ない……という非常に効率的なもの。(と書いたが、これが始まったのは去年かららしい。素晴らしいと思う)

 

2.WEAVER

ストーリー仕立ての映像に合わせた形で曲が挟まる。かなり凝った映像で声優さんの本格的なナレーション付き(花澤香菜さんだった。男性は不明)。クリアな歌声と爽やかな編曲で夏の夜を思わせる幻想的なステージに。最後の『栞』でエドガー・サリヴァンのボーカル・佐々木萌さんが出てきてコラボ。

 

3.エドガー・サリヴァン

そのままWEAVERと交代する形でステージへ。2018では3人だったのが2人で活動になったようだ。ベース・はるかくんの生々しい恋バナで優勝を狙いに来ていた。みずみずしくも力強いボーカルは健在。ノリやすいポップな楽曲で会場も盛り上がる。

 

4.Skoop On Somebody

他のアーティストとは違い真っ赤なソファに座って登場。テーブルの上に水のグラスと高級感あふれるステージ。大人の色気を存分に発揮。TAKEさんのしっとりとしたムーディーな歌声でシックな雰囲気に。「男はいつまでもひきずる生き物ですから」と失恋ソングを披露。

 

5.Rihwa

『フレ!』ではギターを持ち、キラキラとしたパワフルな歌声を披露。女性アーティストは、みんな歌がうまいというか声に張りがある。下積み時代の先輩との甘酸っぱいエピソードが原動力になっていると『ミチシルベ』を演奏。個人的には前の元気な楽曲が多いステージの方が好きだったかも。

 

6.FLOW

「恋とか愛とかの曲が全然ないから、出られないかと思った」という。WEAVERの杉本さんとコラボした『音色』がすごく良かった。イントロめちゃくちゃ好き。こういう曲もあるんだなと思った。また、「恋愛ソングがないから、先輩の曲借りちゃいます!」と、福山雅治の『HELLO』を披露。こういうめちゃくちゃな有名楽曲の貸し借りが容易に行われるのが大手アミューズの強いところ。ラストは謎のオタ芸パフォーマーで盛り上がった。あと、エウレカのDAYSが聴けて嬉しかった。

 

7.『マルシャショーラ』 Special guest band

ブラジルのラテン2ビート『マルシャショーラ』に合わせて次々とアーティストがカバー曲を披露。高橋優flumpoolはお互いの楽曲を交換。Skoop On Sonebody・TAKEと、エスコートされて出てきた藤原さくらによる『桜坂』は、ダンディ&キュートという感じで微笑ましい。また、山出・佐々木・Rihwaの女子3人による『TOKYO GIRL』もポップで可愛らしい。『勝手にシンドバッド』では、唯一のダンスグループs**t kingzも登場し、ステージに華を添える。このリズムはアゲハ蝶とかできそうだなぁ~とずっと思っていたら、今まで出たアーティストたちが総出でポルノ20周年をお祝いしてハネウマライダーを披露。とても嬉しかった。

最後は岡野昭仁ご本人登場により、BEGINの『島唄』を歌う。ここで昭仁は初登場だが、因島出身のポルノグラフィティ(昭仁)にあの歌詞を歌わせるのは本気で天才だと思った。穏やかな笑顔で、場所は違えど生まれ育った『島』へ思いを馳せているかのような優しい歌声。見れてよかった場面のひとつだ。

 

8.辻村有記

彼は去年と相変わらずかなり前衛的なステージ。不思議空間だが会場を音楽で盛り上げていく。ダンサーとのコラボもあり、視覚的にも見どころのあるステージだった。バンドであるHaKUとして活動していた時もこんな感じだったのだろうか?

 

9.藤原さくら

他の女性達とは異なった、静かなのに堂々たる、しかしどこかふわふわと浮いているような独特の雰囲気は、彼女にしか出せないものだろう。最初、音が入らないというプチトラブルがありつつもそれを『音入らなかったよね。びびるわ』の一言で片づける竹を割ったようなMC。スモーキーな歌声で穏やかな空間を作る。ピンクのジャージの彼の話は面白かった。

 

10.s**t kingz

初めて見るダンスグループ。ダンス?と思ったけど視覚的にとても楽しい曲ばかりだった。Perfumeとのコラボで『ナチュラルに恋して』をやったのも、みんな可愛いらしくてとてもよかった。

 

11.高橋優

去年見てから今年も楽しみにしていた高橋優。彼の素朴な雰囲気から一変して放たれるがなり声には胸を打たれるものがあるし、単純にうおおお!と盛り上がれる。『高野豆腐~どこか遠くへ~』ではアニメーションの演出も洒落が効いてて楽しかった。flumpool山村さんとの友情エピソードも。今年もカッコ良かった。もう1曲くらい聴きたかった。

 

12.flumpool

ボーカル・山村隆太さんが喉の病気(機能性発声障害から復活。辛かった時期を感じさせない、パワフルで瑞々しいステージ。恥ずかしながら、テレビでしか見たことの無い程度の知識だが『flumpoolのステージだな』と妙に納得できる雰囲気だった。高橋優とのエピソードで2人の関係性がよくわかった。

昨年は、昭仁が祈りを込めて歌った『星に願いを』を客席から見ていて、号泣したという。そして昭仁を呼び2人でその曲を改めて披露。昭仁は珍しく下パートのハモリでそれも聴けてかなり嬉しかったし、涙がこぼれそうになった。

ボーカルの人が喉の病気にかかってしまうというのは、推し量ることのできない不安と焦燥感があったと思われる。特に山村さんの場合は心因性であり、そこから、諦めずに復活してくれた姿をファンの方も見ることができたんだなと思うと、本当に良かったと涙が出そうになった。喉を使う職業の人は、喉の病気になりやすいという。あのつんく♂さんもそうだし、私の母が愛した忌野清志郎は、その病気で亡くなった。

本当に、人から愛される人は、心も体を大事にしてほしい。

 

 13.Perfume

「今年は恋とか愛とかのテーマだから」と、比較的過去の楽曲をたくさん披露。「最近は実は恋の歌はあんまりやってない、『人生とは…』みたいなのばっかり(笑)。30代になっても恋とか愛とかうたっていいよね?」と冗談。私はどちらかというとPerfumeは可愛らしい曲の方が好きなので、『ねぇ』も『チョコレイト・ディスコ』も『Baby cruising Love』も聴けて嬉しかった。一時期『シークレット シークレット』をかなり聴いていた時期があり、テーマのこともあり色々思い出してしまったがいつか生で観てみたい。

3人によるノンストップ恋愛トークもかしましくて面白かった。あ~ちゃんはエドサリのはるかくんを養いたい。のっちはTAKEさんに口説かれてる気がする。かしゆかは、なんだかんだ昭仁が好き。懐かしい曲ばかりで楽しかったしやっぱりPerfumeのステージは可愛い。

 

14.ポルノグラフィティ

さて、大本命。回転しながら出てくるポルノというのもなかなか見られるものではないので、素直にカッコいいな~と思う。恋とか愛とか…というテーマ、正直幅広すぎて何をやるのか見当もついていなかった。ポルノにも愛や恋の歌はそれなりに曲数がある。何が来るのか、と身構えていたら……

 

「呼~ばれて~~~飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん」

 

1. 電光石火

いや、去年と同じかーい!!と思ったのも束の間。今年の歌詞はこうである(少しうろ覚え)。

 

呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃん

愛の伝道師華麗に参上

「ポルノ」って「アノ」ことよ?究極の愛じゃない?

どんな風に愛してあげましょう

痛いの優しいのどっちがお好み?

熱いのがお好きなら届けましょう

45だってやればできるの

 

…………………………。

やってくれたな………………。

 

愛っていうか「ポルノ」じゃねーか!!いやバンド名だけども!!と普段なら基本的にそういう話はしないのでまぁ軽くサーッとなっていただろうが、ライブのテンションのため、アホらしくてかなり笑ってしまった。やりたい放題。いいぞ。ちなみに歌詞は晴一が、当日ササッと書いたらしい。去年はテーマから考えて、雷の音で行こう!と考えてこの曲始まりになったらしく、今年は踏襲してみたとのこと。

OPSEの代わりのため、1番のみ披露。さぁ、本番開始!と体制を整える。

 

2. PRISON MANSION

??????????

正直な感想、まず出てきた感想は「なんで???」である。なんというか、いきなりこのような愛や恋に対するアンチテーゼ的な曲をぶち込んでくるとは。単純に盛り上がったから良いけど。よくよく考えてみたけど、「こんな現代に生きてても自分を愛してあげましょう」的なのが落とし所だろうか?

 

3. サウダージ

続けてこちら、盤石な失恋曲。UNFADEDでも聴いたがやっぱり、サウダージは『強い』なと感じる。聞けて嬉しいヒットソングがあるというのは大きいことだし、『相変わらず素晴らしい歌声』と隣の夫婦がとても喜んでいたのを見て握手したくなった。

 

ここでMC。

昭「わしらももう45じゃけぇ、10代の頃のエピソードなんか覚えとらん。」

晴「登場順に薄汚くなっていく。(笑)」

昭「なんか無いんですか晴一さん恋の話」

晴「え~。深夜に、公園で、車に乗って………」

昭「だめだめそれ何の話?!(時事ネタか?)もっと可愛い話ないの可愛い話」

 

晴「話すことないよ~あなたが話す番でしょ~~?なんも考えてこんかった」

昭「そう?愛とかって言ったらね、まぁカープ愛くらいでしょうか!」

晴「また勝ちましたね~」

昭「まぁ、また話し過ぎると炎上しちゃうからね!」(晴一はツイッターで野球の話をしたらプチプチ炎上したといういじり)

 

途中に下ネタなども挟みながら(完全におじさん)、かしこまって昭仁が。

昭「45歳にもなると、10代20代の恋とか愛とかとはまた違った愛の形が見えてくる。僕ら二人も、人の親になって、次に歌う曲には『父の背中』という歌詞が出てくるんですけど、出来れば僕らの背中も大きなものに見えるように、頑張っていきたいと思います。」

 

4. 愛が呼ぶほうへ

MCの時点でこれが来るとはわかっていたけど、そのMCが珍しすぎて少しびっくりした。というのも、ポルノは、ステージから降りた自分たちのパーソナルな部分をほとんど話すことがない。それは、二人が等身大の「個人」ではなく「アーティスト」として意志を持って私たちの前に立ってくれていることの表現だと思っていたし、よりフィクション性を高める効果でもあり、ポルノのそういうところが私も好きだ。つまり、ほんの少し、匂わせ程度でしかなくても、意図的に家族やお子さんの話をするのはかなりのレアケースだと思う。

しかし、恐らく「AmuseFes」という特殊な舞台では、そのような『愛』の形の表現をしても差し障りは無いと思った。東京ドームではまた『ポルノグラフィティ』として生きている姿を見せてくれるだろうし、ただその姿も普段は『親』として生きている二人でもある。そこをきちんと切り分けてくれている潔さ、だけど確かに感じた家族への愛に、じーんと胸が熱くなった。

というか、「父の背中の涙」という歌詞を自らが父になる前にきちんと『愛』として表現できるのは、二人ともご両親に真っ直ぐな愛情を受けて育ったんだなぁと思わざるを得ない。そういう二人がやっているところも含めて、私はポルノグラフィティが好きだ。

 

5. カルマの坂

とか言ってたのに。思いもよらぬ選曲に、本気で絶句。

イントロが聴こえた瞬間から絶句しすぎて何してたか覚えていない。

この曲はいわば「メリーバッドエンド」の象徴であるような曲で、とにかく暗い、陰鬱とした歌詞と重く激しいロックが融合した楽曲でもある。

『「神様がいるとしたら、なぜ僕らだけ愛してくれないのか」』

この曲に出てくるスリの少年と奴隷の少女は、最終的にある意味では結ばれたのかもしれない。ただ、結末は二人の『死』を暗示する展開となっているため、浮かばれようにも浮かばれない。あたたかな家族の愛の話をしておいてこの曲をぶつけてくるのがなんとうか、皮肉屋の晴一の姿がありありと見えた。

そしてまた、この重い歌詞を淡々と、ぞっとするくらい静かに歌う昭仁がまた恐ろしい。あの歌い方は個人的に大正解だし、ただただ聴き入ってしまった。なんというか、今までニコニコ笑っていた人が急に真顔になるみたいな、独特の怖さが大好きで、岡野昭仁という人も、そんなところを持っている感じの人なので、久しぶりに恐ろしいステージを観てしまったな、と思った。2番の『パンを抱いて逃げる途中』からの部分はもうどうにかなりそうなくらいノックアウトされた。

 

6. フラワー

現時点での最新曲。これもまた、どちらかというと『愛』というよりかは『命』の曲だと思っているので、これを『愛』の曲にするにはかなりの遠回りになると思う。

『愛でられるためでなく 色を誇るためでもなく』とあるように、この花は人から愛されるために生きているわけではない。しかし、人間には『愛される』ことは必要だと思う。究極の愛だかなんだかと言われてもなんのこっちゃ、私にはこの歳まで生きてて色々通過してみても、未だにわからないことだらけで、いつかわかる日が来るのかと頭を少し悩ませてみたりもした。が、今のところ友人や家族以外で『愛している』という言葉を即使えるのはポルノグラフィティくらいである。しかし「こんな生産性の無い自分がポルノを愛してていいのだろうか」という、若干の負の思考に支配された瞬間もあるが、好きなものは好きだしドームも楽しみ。本当にずっと大好きでいて良かったと今でも思うし、ドームでもきっと思う。

 

昭「ここまで静かな曲が続いてしまったけど、ここからはグイッと!!グイッと行きたいと思います!!変な踊りするぞ~~~~!!!!」

とここからは『動』のポルノを見せていく。というかいくら身内フェスだからってセトリが攻め過ぎである。 

 

7. ミュージック・アワー

久しぶりのミュージック・アワーマイベストシングルにも書いたように、私はこの曲が大好きなので嬉しかった。おそらくPerfumeファンの人がノリノリで踊ってくれるのがまた楽しい。『強い人にはなれそうにもない 揺れてる君でいいよ』というDJの言葉は優しく、きっと恋するウサギちゃんの心を救ったに違いない。

これから来る夏の予感に包まれ、いよいよ最後の曲となる。

 

8. アポロ

今年デビュー20周年を迎える彼らの記念すべきデビューシングル。いつまで経っても色褪せないそのカッコよさに涙が出てしまうほどだ。アポロの近未来感って本当に不思議。20年前、人類がまだノストラダムスがなんとかとか言っていた頃の曲だとは思えない。滅亡しなくてよかった。

 

昭「君たちに伝えよう!!僕らは結局!愛とか恋とか!!その形を!!いつまでも探し続ける!生き物なんだ〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

この台詞には痺れた。正確には、歌詞としては

僕らはこの街がまだジャングルだった頃から

変わらない愛のかたち探してる

なんだけど、これの昭仁訳といった感じにきこえた。昭仁は『Free and Freedom』では

 

僕らは一人きりでは生きていけない

なのに誰にも縛られたくない矛盾と

永遠に戦い続ける生き物なんだ

そして未だに答えはない

 

という歌詞を書いているが、少し似たものを感じた。愛とは時に自由を蝕む毒にもなる。だけど人は自由だけでは生きていけない。

それぞれにとって最適な『愛』の形、そして人それぞれの『恋』の形。

それらをテーマとした今回のフェスの締めとして、まごうことない楽曲になったと思う。

最後の締めでは、晴一がギターで締めると思っていた昭仁に『やれ!』と合図を出し、昭仁が『わし?!いいの?!』と戸惑いつつも、ツアーのラストでやるような大ジャンプで締めるという微笑ましい場面もあり、ポルノとしてのステージは終了した。

 

エンディング『それを強さと呼びたい』

アミュフェス恒例のこの曲。今年の昭仁ソロは1番の頭。去年歌っていた『鏡に映った姿〜』のパートは、今年は高橋優。なんとなく今年は高橋優で聴きたいなと思ってたから嬉しかった。

この曲も、全体を通すと『愛』について歌われている。歌詞は、晴一とあ~ちゃんの共作だが、それがまた視点の違ったニュアンスを生んでいて新鮮だ。自分の愛する人が笑って生きていける未来を信じることもまた、愛であり、それは恋人や家族というくくりでなく、好きな音楽、漫画、本、なんでもいいから、ずっとそばにありたい願うものに対して向けられる気持ちでもあると私は思う。……と書かないと、切なくなってしまう。テーマがテーマだけに自分のことを顧みると、少々おセンチメンタルになる回ではあったが、とにかく、楽しかった。

 

アミュフェスはアーティスト個々の力がやっぱり大きいし、聴いてて非常に満足感がある。そして転換が鬼のように早いので、あの1日であの量のアーティストが見れるフェスというのも珍しい。

また、去年は前で観たいという気持ちが先行してかなり競争の激しいエリアで観てしまったが、多少の距離を犠牲にしても案外近くでのんびり見れたので、次回からはまたそうしようと思う。

 

友人の好きな阪本奨悟さんがまた出ますように。お願いします。

 

私のポルノグラフィティ マイベスト15(シングルのみ)

今回はシングルに絞って選びました。迷っているうちに新曲が出たりしてめちゃくちゃになってしまったのですが、現時点での私が思う最高の15曲を選び抜きました。昔サザンオールスターズの桑田さんが、ポルノのことを『平成の愛すべきハイブリッドポップアーティスト』と名付けてくれたのですが、選んでるうちにやっぱりその通りだなと思いました。ポルノはそう、ジャンルのハイブリッド、さながら万華鏡。

シングル以外はこちら。

ikaika1015.hatenablog.com

 

※タイトルの下にあるのは動画なので再生できます。

 

1.ヒトリノ夜 (作詞:ハルイチ 作曲・編曲:ak.homma) 

私は常日頃「ポルノのライブはいいぞ。ライブこそ全て。ライブは音源以上だぞ」と言い続けているが、逆に『音源にしかない良さ』というのも存在する。それは、特にポルノグラフィティの初期に顕著であると思っている。昭仁の声質が全く違うのだ。もちろん、現在の岡野昭仁の歌声が最高だと思っているが、初期のまだ喉を使って歌っているような、パン!とはじけていて少し掠れた「若さゆえのセクシーな声」というのは、この時期の音源でしか聴けない。

特に私は、上のPVにはない2番サビ、『だからロンリー・ロンリー 甘い甘い』の『あ まぃあッ まぁ~い…』(この表記が重要)、この部分の歌い方が本気で天才だと思っている。初めて”耳からときめく”ということを体験した。気持ち悪いが本気である。何回も何回もリピートしてしまうくらい大好きだ。

 

 

2.ミュージック・アワー (作詞:ハルイチ 作曲・編曲:ak.homma

ポルノグラフィティのザ・ポップソングと呼べる曲の中でも、実はこれが一番好き。まず歌詞がすごい。視点は『DJ』という完全外部の人間にもかかわらず、ストーリーを説明しすぎていない。恋をしている女の子のときめき感、キラキラ感、そして甘酸っぱい痛み。それらがメロディにもギュッと詰まっていて時折涙が出そうになる。涙が出るタイプのキラキラ。ただ爽やかなだけではなく、どこか胸の奥が切なくなる、不思議な曲。

ライブだとテンションに任せて最後の方とかもうめちゃくちゃになりがちなので、「正しい」音源がさらに意味を持つ曲ともいえる。

 

 

3.メリッサ (作詞:新藤晴一 作曲・編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

子どもの頃、テレビから流れてくるJ-POPの中に混ざって聴こえてきた、「君の手で切り裂いて 遠い日の記憶を 悲しみの息の根を止めてくれよ さあ 愛に焦がれた胸を貫け」という歌詞に度肝を抜かれて今に至ると言っても過言ではない。単純にカッコよすぎる。 「愛に焦がれた胸を貫け」って。これもうこの言葉の形をしたナイフとしか言えない。耳馴染みの良いメロディに昭仁のロングハイトーンも圧巻、ポルノのスタイリッシュでクールなカッコよさを凝縮したみたいな曲。

 

4.愛が呼ぶほうへ (作詞:新藤晴一 作曲・編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

『恋愛ソング』ではない『愛』そのものについての歌、これが書かれたのが2003年というのだから驚きである。新藤晴一は何を経験して生きたらこんな歌詞が生まれるのか教えてほしい。静かに紡ぐようなイントロから、一瞬の静寂で始まる『償う人の背に』、この無音部分の『つぐな』という歌声のなんと優しくあたたかいことよ。唯一無二の存在。『そう 永遠で 一瞬で』を『えいえうんで いいっしゅうんで』と歌う昭仁節も天才。

 

 

5.ラック (作詞:新藤晴一 作曲:Tama 編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

さっきまで優しい優しい言ってたのに同じバンドか?って思うくらいのゴリッゴリのハードロック。愛が呼ぶほうへを子守歌にしていた子どもが泣きわめく。ポルノがロックじゃないと言われると無言でこれをバンバン投げつけたくなる。武骨で退廃的でガツンとパンチの利いた曲も、ポルノの魅力を形成する一つ。あと韻の踏み方が尋常じゃなく綺麗なので聴いてて異様にハイになる。

あとPVがアホほどカッコいいので見てほしい。

 

 

6.シスター (作詞:新藤晴一 作曲・編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

ポルノと言えば欠かせないのが、シスターのようなどこか民族的でエキゾチックなメロディの曲である。どうしてこんな感じの曲がここまで似合うのか。昭仁の、少しハスキーで物悲しげな歌声を存分に活かした名曲。シスターの音源は特に、声が透き通っていて深い蒼い海を連想させる。また、詞の並びも美しく、心情描写はもちろんだが

『鐘の音が岬を臨む教会から響く 美しいシスターの祈りを乗せ 

人の心にも時間の移りを優しく告げていく』

こんな美しくも寂しげで、どこか神聖な景色が浮かぶ情景描写があるだろうか。100回書き取りたい。

 

 

7.ネオメロドラマティック(作詞:新藤晴一 作曲・編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

「バラード100曲やったあとでも盛り上がる」と言わしめる正に死者蘇生ソング。イントロ開始3秒の『ギュイ~~~イエインイエ~~ン!!!!!!!』でもうテンションバチ上がる。そして更に注目すべきは、歌詞の構成。

『行逃げよう が望むままに 幸か幸かネオメロドラマティック

何気に韻の踏み方と『カ行』を多用することで歌詞の切れ味がグンと増しているのがわかるだろうか。晴一の作詞技術と昭仁の滑舌あってこその、独特のポルノらしさが生まれている曲である。

 

 

8.ROLL (作詞:岡野昭仁 作曲:岡野昭仁 編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

ネオメロがクールな熱さなら、ROLLは優しいぬくもり。昭仁の詞曲の中でも断トツで好きかもしれない。曲中でずっと鳴っている『カァン!』という金属音は、痛んだ心の鼓動だと本人が言っていた。優しい曲調とひりひりするような痛みを持った歌詞が相俟って、やりきれない孤独感を生み出している。『僕はそれを恐れてたんだ』の一瞬だけバックが無音になる瞬間にいつも”人間”を見る。
 
 

9.ギフト (作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

心の清涼剤。ギフトは他の何にも代えがたい、そっと背中を押してくれる…ような、押してないような、応援ソングやメッセージソングとは呼び難い、言うなれば『自問自答ソング』。主人公が最後の最後まで一歩踏み出す直前で終わるのがとても良い。作詞者である新藤晴一は決して「がんばれ」とか「やればできる!」といったニュアンスの言葉は使わないのだ。踏み出すのはあくまでも、自分自身。それが昭仁曲の特徴である、羽ばたくような軽やかなメロディに乗せられることで、聴きやすく、重すぎない曲となっている。
 

 

10.瞳の奥をのぞかせて (作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 編曲:ak.hommaポルノグラフィティ) 

上記の『ギフト』で初めて「詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁」の曲を出したが、シングルではこの組み合わせが最強だと思っている。そのうちの一つがこの『瞳の奥をのぞかせて』。特徴的な3連のリズムと艶やかなストリングス、まるで楽器のように難解なメロディを歌い上げる岡野昭仁の声。歌詞も含め大人の妖しい色気全開なのにじとっとしすぎていないのは、カラッとした昭仁の声のおかげだと晴一も言っている。

ポルノにはエキゾチックが似合うと書いたがこの曲も正にそうである。 あまり世に出た時は跳ねた売れ方はしなかった(タイアップドラマがこけたのもある)が、私はシングルベスト5くらいにもこの曲を入れたいくらいである。あと詞では『青いインクで書かれた美しい文字』『ピアノのように磨き上げたあの黒い車』という、物品のワードだけで相手の男が只者ではないことを伺わせるような秀逸な流れとなっている。

 

 

11.EXIT (作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一ak.homma 編曲:ak.hommaポルノグラフィティ

びっくりするほど音域が広すぎて喉どうなってんの?と思った曲。ボーカルの能力を信用しているから書いたとはいえ結構鬼である。サビのものすごい勢いでオクターブ上昇する展開もそうだが、この曲は歌詞がすごい。”地下鉄”と”人の心”という、情景描写と心情描写が違和感なく入り乱れる傑作だと思っている。かなり技巧的な1曲である。『闇雲に強い力で押さないで』というフレーズは、何度読んでもゾッとする。

 

 

12.2012Spark (作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 編曲:tasuku ストリングスアレンジ:tasuku、門脇大輔)

ポルノのザ・スタイリッシュカッコイイ系の曲。スタイリッシュなんだけどゴリッとした、だけどストリングスは美しく映えて、なんかとにかく聴いてほしい感じの曲。メロディは日本刀なんだけどギターは鉈、みたいな。昭仁が曲を作ると大体音域が化け物みたいに広くなるので、ラストサビはもう咆哮って感じ。でもそれを歌えるんだからすごい。歌詞でも強調されてるようにこの曲は正にスパーク、刃物がカンカンとぶつかりあって散らす火花がイメージされるような曲。

 

13.オー!リバル (作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 編曲:tasukuポルノグラフィティ) 

ここまでまだ言及していない「ポルノらしさ」、それは”ラテン・ロック”。ポルノの十八番のような存在であるが、数あるラテン曲の中でも私はこれを推す。絶対これ。もうサウダージとかアゲハ蝶とか正直跳び越えた。1曲まるごと、余すところのない名曲。パンチがありつつ流れるように展開するメロディと、それに乗った叙情的な歌詞が生むリズム感がたまらなく心地よい。あっという間に終わってしまう。特にBメロなんてジェットコースターみたいなのに全然違和感ない。アレンジもとにかくカッコいい。

 

 

14.カメレオン・レンズ(作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:篤志PornoGraffitti) 

何回聴いても、「何?!この曲やば」となる。ポルノの武器は、ロックバンドでありつつその形態に左右されない楽曲の自由さ、幅広さにある。ポップもやればハードロックもやる、ラテンもあれば打ち込みもあって果てはロシア民謡もある。そしてこのカメレオン・レンズは、EDMである。これ、ポルノの曲なの?と思ったあなた。そうなんです。ポルノグラフィティは万華鏡なんです。ボーカル含め鳴ってる音が全部気持ちいい麻薬みたいな曲。

 

 

15.ブレス(作詞:新藤晴一 作曲:岡野昭仁 編曲:tasukuPornoGraffitti) 

老若男女に聴いてほしい曲。 ポルノの持つポップさ、その裏にある少し皮肉を交えた歌詞。グッと手を差し伸べるわけでなく、突き放すわけでもなく。自分自身で歩き出せるよう、そっと風を吹かせるように語りかけてくる曲。明るすぎず、寂しすぎず、優しくも強い。『今』を生きる私たちには『未来』は迎えにはこない、でもどこかに待っている。歩き続けたり、休んだり。心に深呼吸が必要な人へ送りたい名曲。
 
 
各音楽サイトにて全曲配信中なので、これ聴いてみようかなぁ~というのがあったらぜひチェックしてみてください。
 
3.メリッサ
5.ラック
6.シスター
8.ROLL
9.ギフト
11.EXIT
12.2012Spark
13.オー!リバル
14.カメレオン・レンズ
15.ブレス

【ライブレポ】ポルノグラフィティ16thライブサーキット『UNFADED』の追憶【後半】

前半はこちら。

 

またもステージ上に残された昭仁。

昭「……わし一人よ。」

この流れは、前回のBEツアーにて行われた弾き語りと同じものである。

昭「去年のツアーに来てくれた人はわかるかもしれんけど、小鳥の声が聞こえたらわし一人になるんだって。」

そ、それは知らなかった。そういう設定になったらしい。

昭「すごいですよね。ゾンビがうおーってなってたのに、生命の象徴のような小鳥が……ギャップがすごい。」

私はその感性がなんだかたまらなく愛おしく感じた。

昭「BUTTERFLY EFFECTの時は、森の中にいるみたいなCGが使われてたのに、今回は、経費削減かな?」

なんて冗談を飛ばしつつ、本題へ入る。

 

昭「え~今回は、曲作りについて話していきたいと思ったんじゃけども。今まで、たくさんの曲を作ってきて、このサブスクリプションツアーをやることになって、自分たちの曲を色々と聴き返すきっかけになりまして。こんな曲あったんだ!とか、意外といいじゃん!とか。なんて未熟な曲なんだろう、この時まだまだじゃな~と思ったりもして。もちろん今も未熟ではあるんじゃけど。その中でも、『わしは一体、どうしてこの歌詞にしたんじゃろ?どうかしてたんじゃないか?』という曲がありまして。それを今からちょっとやってみたいんじゃけども。」

……この時点で、まさか、まさかな、とは思っていたのだが

 

「君はまた 美しくなった」

 

……まさかだった!!!!!

どよめく会場。かくいう私は、絶句である。何を隠そう、私はこの『見つめている』という曲の大ファンなのである。わからない人にはなんのこっちゃ、という選曲でもあるが、前フリの通り、この曲は昭仁が作詞した中でもかなり尖った部類の、いわば”変態的”な曲なのである。1サビまでのワンフレーズのみだったが、私はこの曲が聴けて感無量だった。

昭「どうかしてるでしょ?!(笑)なんて言ってたかというと、『ビーチサンダルを履いた指に挟まる、砂のように君にまとわりついて離れない、離れないぞ』って言っているの(笑)。どうかしてるでしょ?!(笑)思い返してみるとこれは、当時僕が初めて作詞(と作曲)をした曲が世に出ることになって……爪痕を残したくなっちゃったんでしょうね。岡野昭仁イカれてるぞ』みたいな。こんな曲も作っちゃうよ?実は自分のことかもね?みたいな。当時(『サウダージ』の発売時期、2001年頃)言葉は悪いですけど、いわゆる”ストーカー”のような言葉が流行りだしてね、それを題材にしようとがんばったわけなんですけど。……もちろん僕はこんな人間じゃないですよ?どちらかというと、爽やかな恋愛をするタイプですので(笑)」

 

なるほどなぁ。この曲を生みだすにあたって、作詞面でも作曲面でもかなりの苦労をしたという。そのことはちょこちょこ言われていたことなので、改めて話を聞けるとは思わなかった。作詞の際に知恵熱を出したというのも頷ける話だ。

しかし、私はやっぱりこの曲が好きなので、どうしても、勿体ないな~と思ってしまった。この弾き語りコーナーでチョロッと蔵出しのようにするということは、しばらくライブ本編に組み込む予定はないということだろう。去るジャパンツアーにおいて、このストーカーソングを真顔の棒立ちで披露し、客が引いたという噂のステージは、奇しくも映像化されていない。いつかしれっと爽やかな声で、気持ちの悪い歌詞をしれっと歌う姿が見てみたいものだ……。

 

「え~そうやってね、たくさんの曲を作ってきた中で、皆さんにすごく評判の良かった曲、反響が大きかった曲がありまして。あの曲聴きたいとか、好きだなって声がたくさんあって、作って良かったな、自分もやれるなって、ひとつのターニングポイントになった曲があります。それでは聴いてください。『夕陽と星空と僕』という曲です。」

 

M11 夕陽と星空と僕

贅沢な話で、昭仁の弾き語りで曲を聴ける機会というのは滅多にないからこそ、今後本当に聴けないような曲が聴ければなと思っていた節があって。でも今回、初見の人の感想を聴いて、カップリングだけどわかりやすい名曲っていう選曲は正解だったのかもなと思っている。わかりやすく人の心に届く曲というのは本当に大切。

この曲が印象的だったのは、札幌公演で席がものすごくステージに近かった時に、近すぎて、マイクを通したスピーカーからの声より、生の声の方が先に聴こえてきたこと。「あ、生きてるんだ……」と感極まったのが忘れられない。

また、大阪二日目で昭仁は序盤から喉の調子が悪く、「本当にどうしようもなくなったら演奏中でも水を飲みます。プロとして情けないことでほんまにすいません。」と前置きしていた。しかし、最後まで一切水に手を出すことはなく、やりきった。客席の祈るような雰囲気がひしひしと伝わってきて、また別の意味でも心に残る公演となった。

 

 

昭仁が無言で捌け、真ん中が空いたステージの右端に晴一が現れる。

重く、暗い感じのギターソロを静かに奏で、速弾きしたかと思えばすぐに和音でリバーブをかける。ジャ~~~ン!!といつの間にか現れていたバックバンドが始まりの時を告げ、晴一が両手を挙げながら「待っていただろ?」と言わんばかりに、ゆっくりとステージの真ん中へと移動し、空間の支配者となる。

 

M12 didgedilli

新藤晴一の時間。去年のBEツアーのポエトリーリーデイング~即興とは違い、詞を使用することのないギタリストの矜持のみに賭けたフリータイム。派手なライト、鮮やかなサウンド、激しいだけでなく己を「魅せる」ためのプレイスタイル。私は、それらを目の当たりにしながら、当たり前のことをひしひしと感じていた。

ギターを弾いている新藤晴一は、なんてカッコいいんだろう。

普段は悔しくて言えない言葉がぐるぐると頭の中を回っていた。完敗だった。ごめんなさい。

ロディアスなチョーキングを終え、最初のフレーズを繰り返し、鳴り響くアウトロの中で「観たか?」と言わんばかりに客席に向かって指をさす。

ギタリスト・新藤晴一によって支配された時間が終わりを告げた。

 

 

束の間。低く鈍いベース音と、ノックするような電子音があちこちから聴こえてくる。カサカサカサ……ピュイッ……チチチ……といった、まるで音のジャングルに迷い込んだかのような怪しげな雰囲気が会場を覆う。

その囁きが止み、一瞬、ほんの一瞬の静寂の後、驚くべき光景を目にすることとなる。

 

M13 カメレオン・レンズ

イントロが鳴った瞬間、客席全体が息をのんだ。喉の奥で声にならない悲鳴を上げたのを覚えている。現れたのは……光の檻とでも言うべきだろうか。天井から真っ直ぐに伸びる、無数の可動式スポットライトで覆われた客席。アリーナ席の真上からライトが下りているため、その存在に気付かない者、横から見て、光の壁に見えている者。多面的で幻想的な白い光を見つけていると、ゾッとするような囁き、昭仁の声が聞こえてくる。

「ありのままの真実など 誰も見ていやしない」

この静かでダークな世界観に見事に惹き込む流れは、見事としか言いようがない。この「席によって見え方が変わる」演出によって、この曲が持つ意味が存分に発揮されているようにも感じた。私はこのツアーで、アリーナ、スタンド、立ち見など様々な視点でこの光を観ていたが、一つだけ、一生かけても観られない場所がある。

それは、「ステージの上から」である。

真実の姿は演者の瞳の中にも隠されているのであった。

 

M14 海月

電子音が印象的な曲の流れを汲んでか、美しくも陰のあるこの『海月』へとつながっていく。昭仁の持つ作詞の世界観は、時に自然への畏怖のような、壮大な宇宙の中で生きている自分がちっぽけに感じている、そんな気持ちが表れているようなものがある。太古の昔から息づく生命、サビからの広がるような展開は、深海から一気に空へと飛び出していくような感覚に襲われる。低い低音からの解放感が、伸びやかな歌声で表現される。そして、イルカの発するソナーのように、ディレイをかけて鳴り響く高音のギター。ひとつの曲としての世界観がしっかりと構築されていて、別の空間にトリップしそうだった。

 

M15 フラワー

静かにフェードインしてくるイントロと共に、一人のバレリーナの写真が浮かび上がる。ミレミレミレ……と繰り返されるピアノで始まるのは、現時点での最新曲、『フラワー』である。

私はこの曲について感じる事、考える事がたくさんあるが、あえてライブ時に印象に残ったことのみ記しておく。

私がこの曲を聴いて最も印象に残ったのは、この曲を「一番遠く」で聴いた回である。スタンドの最後列。ステージの正面であった。

一人の人間の生命を、一輪の花になぞらえて展開するこの曲は、一見すれば儚さ、無常さを感じてしまうものの、そこには確かな力強さがある。私は、ステージで歌う昭仁の姿を見つめていた。あんなに小さな、遠くに見える姿から、ふとした瞬間に『一人の人間』であることを感じていた。同じ人間のはずなのに、彼から発せられる歌声は、美しく、優しく、儚く、そして強い。たった一人の人間から、いったいどれだけのパワーがこんなに大勢の人々に届いているのだろう。今までどれだけ私の心を掬いあげてくれたのだろう。

たった一人、だけど「ただ一人」しかいない。彼は……いや、彼らは、ただ愛でられるためだけに、その才を誇るためだけに、ステージに立ってくれているのではない。ステージに立つその意味を、『ライブ』という空間を共有することによって、少しでも実感できる。

1つの生命から溢れ出る力に圧倒されて、私はただ涙を流すことしかできなかった。拭うことすら出来なかった。私は、ポルノグラフィティという『生命』に出会うことができて、本当に良かったと、心からそう思った。

それがいつか、どんな形であれ、終わりの時が来ると……わかっていても。それが、果てしなく、想像もつかないほど遠い日であることを、私は願ってやまない。

 

 

昭「ありがとうございます。僕たちの最新曲『フラワー』を聴いていただきました。この曲も、長く皆さんに愛される曲になればいいなと思っています。」

 

昭「さぁ!!!まだまだ行くよ。後半戦も盛り上がっていくぞ。準備はできとんのか!!!」

客 \イェーーーーーイ!!!!/

昭「熱くなる準備はできとんのか!!!!」

客 \イェーーーーーイ!!!!/

昭「そんな君たちに火をつけるのは!晴一の、ギターフレーズ!」

 

M16 オー!リバル

もうイントロからして涙が出るほどのパンチ力があるこの曲は、後半戦の幕開けにふさわしいと言える。ラテンロック系で言えばもうポルノの宝だ。

「音楽や絵画にあるように 過ぎていく日々ひとつひとつに ささやかな題名をつけて見送ってあげたい」

私は特にこのフレーズが大好きなのだが、ライブのひとつひとつも正にそうであると感じる。このUNFADEDツアーのどの公演も、決して同じものではない、様々な色がついて唯一無二のものになっていくようであった。

 

M17 ジレンマ

なんと…なんと始まってしまった。いつものラストを飾るはずの、この定番曲が!!

晴一が「ジレンマをラストに持ってくるかなんよね~」と言っていたが、有言実行だ。ライブの最後ではなく、あくまで1曲としてこの曲が演奏される。

しかし……超個人的な気持ちを書くと、やっぱり私はジレンマで終わるのが好きだ!それはこの『中ジレンマ』を体験して改めて思ったことだ。勿論盛り上がりは十分だった。だけど、ソロ回しで満を持して煽られて晴一が出てくるという流れと、最後の最後でちょっぴり切ない気持ちになりながらも、全力を出し切って帰るという、いわば儀式的な空気をとても愛していたのだ。

中盤でやるにせよ、アレンジはいつも通りで良かったのではないかな?とも思う。あのベースが下がっていくアレンジが個人的に好みではなかった。思いもよらぬ自分の”ジレンマ愛”に気付かされることとなった。楽しいは楽しかったが!

 

 

デンデンデン!デンデンデデン!とモータウンサウンドのリズムが鳴り、一瞬「POISONだ!!(※カバー曲)」と思ってしまったが、全然違った。しかし、別の形で大興奮することとなる。

 

昭「みなさんの!今日という日は!何色ですか~~~!!」

 

M18 パレット

ぱ、パレット~~~~~~!?!実は、初日はこの曲だけなぜがベースの音がめちゃくちゃでかくて、イントロだと何の曲かわからず……。でも大好きなパレットが聴けて、私は単純に感動した。

やはり、このUNFADEDツアーにおいて、『色』というキーワードはとても重要なものになっていると感じる。ここまで実は、色が出てくる曲はかなりたくさんあったし、『色褪せない』という意味を感じさせるフレーズもあった。しかし、色褪せないだけでなく、これからも『色をつけていく』ことも、また大切なことなのだと伝えられている気がした。

ギターソロ前で、昭仁が毎回無理やりにでも「ハルイチィ!」と短く叫ぶのが好きだ。

 

M19 サウダージ

まさかのラテン3曲目!BEツアーでは、アルバムに収録されている『LiAR』のみ(しかも前半は『Montage』と入れ替え)だったため、大盤振る舞いに感じる。変化球なアレンジもなく、通常と同じ雰囲気の演奏だった。変わったことはしない、定番曲でありながら『色褪せない』、そんな魅力を存分に発揮していた。

最後の裏声のコーラスがまた美しい。昭仁は、ここ数年で完全にファルセットを武器にしている。色褪せないのは楽曲だけではなく、歌声もまた同じことだろう。

 

M20 ハネウマライダー

イントロが聴こえた瞬間、体が自動的にタオルを用意する。「あんなこと言っといて、やるんかーい!」と若干思った。まぁ、このツアーに初めて参加する人ももちろんいるため、前半のニッチな選曲とバランスを取るためだろうとも思える。しかし楽しいものは楽しいし、「他の誰かといや!!ここにいる君たちと!!!」を聴くと、ああライブに来たんだな、生きているな~と何回でも思える。ポルノグラフィティというBig machineに乗せてもらってここまでやってきて、こんなに豊かな顔を持つコンセプトのツアーに来ることが出来て、非常に嬉しい。このメタルブルーのマシンは、これからも私たちを飽きさせることのない場所へ連れて行ってくれるのだろう。

 

銀テープも発射されたところで、いよいよこの『UNFADED』も終わりを迎える。

昭「最後の曲になります。」

昭仁が息を切らしながらも、静かに話し始める。

昭「冷静になって周りを見渡してみると。僕らの周りには、時間と共に色褪せてしまうものばかりで。…だけど、色褪せてはいけないもの、忘れてはいけない記憶がたくさんあって。色褪せてはいけない記憶、その記憶を、大切にこの手の中に持って、これからも進んでいければいいなと思います。今日という日が、皆さんにとって色褪せないものになりますように。今日は本当にありがとう。」

 

私は正直、この公演を締めくくるにふさわしい曲が何なのか、想像もついていなかった。これまで何度も”色褪せない”というテーマを明確に掲げていて、それをしっかりと飾る曲はなんなのか。

イントロを聴いて、私は絶句することとなった。

 

 

M21 ∠RECEIVER

本当に、何がなんだかわからなかった。

そして、理解したと同時に、泣いていた。

この『∠RECEIVER』という曲は、”スマトラ沖地震”をモチーフにしているということが、作詞者の晴一の口から語られている。そして楽曲の発表後に起きた、2011年の東北大震災の後も、この曲には大きな意味のようなものが付加されていったと捉えられている。かくいう私自身も、北海道胆振東部地震を身を持って体験した身である。

”震災”という、逃れることはできない、大きく重すぎる現実。また、それに類するような、悲しく暗い出来事。それが日本であっても海外であっても、「リアル」から目を背けない、そうこれは、”リアル”、”現実”を歌った曲として存在していた。この瞬間までは。

 

しかし彼らは、『現実を見る』ためではなく『色褪せてはいけないもの』として、この曲を公演の象徴ともいえる位置に持ってきた。忘れない、思い出すという言葉は”過去”に対して使うもの。今この瞬間、1分1秒が、過去へと姿を変える。当時の出来事を、あえて『過去』とすることで、前に進む推進力にしようとしているのではないだろうか。私はそう感じた。この曲を、大洪水直後のしまなみロマンスポルノであえてやらなかったのは、結果的にこのツアーのためだったのではないだろうか。

 

また、『受信者になる』ということは、決してネガティブな、ただ足を止めて傍観するという怠慢な意味ではない。自ら真実を見つめ、誰かの呼び声を聴くことの大切さ。本当のことを見ないようにすることだって出来る。しかし、受信者でいることで、リアルをしっかりと受け止めること。それは、悲しみに覆われた当事者にはできないことだ。その悲しみをそっと拭い去ること、それが『受信者』にできることなのではないだろうか。

この曲の持つ意味が、新たに増えていく。ポルノグラフィティは、社会の位置づけで言えばどちらかというと『発信する側』であると思う。しかし、彼らが一人の人間として『受信者』でいてくれるからこそ、私たちはそれを受けとめることができる。

痛々しい現実が、いつか過去になるように。その過去を、色褪せないように各々の手の中に持って(この昭仁の独特の表現が好きだ)、私たちは進んでいくのだ。

 

圧巻のステージが終わり、メンバーが捌けていく。私は立つことすら出来なくなったほど泣いていた。必死でアンコールをする声が聞こえる。それが、終わりに近づく合図だとしても、誰も呼ぶことをやめない。

 

昭「アンコールありがとうございます!!みんながそうやって卑猥な3文字を連呼するけぇ、アンコールやるじゃろが!!今日は皆さんに、一足早いクリスマスプレゼントを届けたいと思いまーーーす!!!」

 

EN1 Hard Days,Holy Night

クリスマス前ではおなじみのこの曲。なんと、カウントダウン公演でもこれをやった時はさすがに驚いた。「世界一早いクリスマスソング」らしいが、物は言い様とはこのことである。てっきりやるならスロウ・ザ・コインくらいかと思っていたのだが。ちなみに私は『特別な日なのに』を男性がやっても全然良い派。

 

そして、全公演の中で印象に残っているアンコールと言えばもちろん、横浜公演1日目だ。

昭「アンコールやるよ!!……やるんだが。ここで、皆さんに、素晴らしいお知らせがございまーーす!!どーーーーん!!!」

東 京 ド ー ム L I V E 開 催 !!!!!!

この様子は公式動画に上げられているが、すさまじい悲鳴である。すさまじすぎて、自分らが発表したくせにたじろいでいる二人の様子が見られるのが面白い。

死ぬほど楽しみだ。勿論、当日まで死ぬわけにはいかない。

 

 

そして年明け以降のアンコール曲がこれである。

昭「今日は色んな曲をやってきたけど!こんな曲までやっちゃいまーーす!!これだー!!!」

 

EN1´ タネウマライダー

いやほんと、まさか(笑)。予想外とかそういう問題じゃなく、そこ!?(笑)という気持ちになった。カップリングかつ思いっきりなギャグ曲という選択に驚いていたのだが、その後のMCにより理由がなんとなく見えた気がする。

昭「こんな人でなしの歌詞を書いたのは、こいつだ~!!」

晴「……どうしてこんな曲を書いたのかというと…」

昭「ひどすぎるもんね!」(簡単に言うと、ひどい女たらしの主人公の曲である)

晴「仮にも俺達はロックなんだぞと…ロックならこれくらい書かんと、と当時の俺は思って…大人たちの眉をひそめさせるような…しかし。今、自分が眉をひそめているという…」

昭「あはは(笑)」

晴「黒歴史だ…!」

まさか、昭仁の『見つめている』と合わせて、黒歴史シリーズなのか…?!と思ったり。真相はわからないが。

 

昭「ここで!ポルノグラフィティ、メンバー紹介をしたいと思いまーす!」

今回から初参加の、皆川さんと須永さんは初日で一言挨拶をしていたのでここに書いておく。

皆川さん「この中で一番楽しもうと思ったんですけど、(客席の)皆さんには負けちゃいました!」

須永さん「緊張してたんですが、すっっっっっっごく楽しかったです!」

昭「『す』が長いね?!あっ『スナガ』だから?!急に振ったのにうまいこと言ってくれてありがとう!」

 

最後は、いつも通りポルノの二人。

昭「ギターの名前をでっかい声で呼んでやってくださーい!!オーンギター!!!」

客 \はるいち~~~~~~!!!!/

昭「オーーーンギター!!!」

客 \はるいち~~~~~~!!!!/

昭「ポルノグラフィティオンギター、新藤はーるいち~~~!!!」

晴「……こうして20年続けてこれなかったら、そりゃやらないで終わる曲もある。こんな曲(下を指さしながら)やらんで?!ふつう!!」

昭「やたら下を指さすね」

晴「曲順表。」

昭「曲順表か(笑)」

晴「でも、こうして続けてるから、今になってもできる曲があるって、なんかの時に思って…ライオンかな?ライオンは、アマチュアの時からある曲じゃけぇ、長いことやっとる。でもその、古いものが色褪せるからこそ、新しい発想が生まれたりする。そのことが、ありがたいことだと、思いながら、ライブをしました!」

 

ここに、晴一のMCの中で特に印象的だった大阪二日目の挨拶も書き加えておく。

晴「全然、全然宣伝ではないんだけど。全然宣伝じゃないよ?……本が出まして。『別冊俺』(※晴一単体の特集誌、『GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES 新藤晴一』こと)。それで、ずっとインタビューをされとったんじゃけど。やっぱり、大阪のことをよく思い出していて。昔は、大阪城公園で演奏してた時は、会場に向かう人…安室奈美恵だとかシャ乱Qだとか 、(それを観るために)その人たちが楽しそうに向かって行くのを観ながら、『いつかあそこに立つぞ』って思いながらやってて。ライオンとかジレンマもやったよね?」

昭「やっとったね。」

晴「今こうして、その曲を未だにライブで演奏できる、こういう光景が見たくてやってきたんだなと……思いながらやってました。」

私は彼らの地元公演(出身地の広島やアマチュアの活動拠点であった大阪)にほとんど行ったことがなく、こうして大阪での思い入れがMCとして聴けるのももちろん初めてだったので、新鮮な経験だった。また次も大阪公演は取りたい。開演前の客のテンションも非常に良かったように思う。

 

晴「最後に、ボーカルも呼んでやってくださ~い。ボーカルは~?」

客 \あきひと~~~~~~!!!!/

晴「ボーカルは~~~~」

客 \あきひと~~~~~~!!!!/

晴「ポルノグラフィティ、ボーカル、おかの~~あきひとく~~~ん!」

昭「ありがとうございますっ!!!!長いことやっとると、『長いことやってこれたのも、何か秘訣があるんでしょうか?お二人の絆ですか?』なんて聞かれることもあって。まぁ、無いわけではない…それもちょびっとはあるのかな?(笑)でもやっぱり、それだけじゃなく何よりも、周りで支えてくれるスタッフ、メンバー、そして皆さんがポルノグラフィティを求めてくれるから、ポルノのライブが観たい、新曲が聴きたいって言い続けてくれたからこそ、ここまでやってこれました。本当にありがとうございます!!」

「さあ!!!今日の主役は、盛り上げてくれた皆さんです。みなさん、自分自身に、拍手しましょう!!最後に、皆さんでアホになるんですが、そのためには、思いっきり、歌って、踊って、泣いて、笑いましょう!!!じゃあ、晴一よろしく!!」

 

EN2 ライラ

ワンツースリー、という晴一のカウントにより始まったこの曲。晴一による盛大なネタバレ(予習用)ツイートにより、やることがわかっていたが最後まで演奏されなかったため、締めはこれか!と客の準備もできていた。

しかし……ロシア語のコーラス難しくね?!と誰しもが思っていたと思う。大阪2日目からはロシア語のテロップがついたため大いに叫ぶことができたと思うが、それまではけっこうどうしたらいいかわからない感じになってしまったのがもったいない。

そして……この曲の楽しみでもあり、面白ポイントでもあり、会場全体が満を持して待っていた……

 

昭「夢があるとしたら……!!!!!」

 

昭仁の語りパートである。さてどう来るのかと思いきや、

 

昭「さわやかのハンバーグをおなかいっぱい食べるとか!!!!!静岡のうなぎをこれまたおなかいっぱい食べるとか!!!」

アレンジするにしてもまさかの「おなかいっぱいシリーズ」であった。

この部分は各地で日替わり要素として楽しまれていくのだった。

また、今回のサポートメンバーソロ回しは、アドリブではなくとある曲のワンフレーズだったりその地にゆかりのあるCMソングだったり様々だった。

横浜で横浜リリーを弾いてくれたtasukuさん、一生サポートお願いしたいです。

曲のテンポが終盤に向けてどんどん上がり、最後には「ライララライララライララライライライライライ」すら言えなくなるほど速くなり、最高潮に盛り上がった所で長いアウトロがかき鳴らされる。

 

昭「あんたらは!!!最高じゃ!!!!ほんまに最高じゃ!!!!胸張っていけ!!!!自信持っていけ!!!!」

 

昭仁からお決まりのこの言葉を貰うと、ああ、また生きて、二人に会いに来よう、そう思えるのだ。

 

曲が終わり、サポートメンバーが捌ける。

2人がゆっくりと、ステージの端から端まで手を振り歩く。公演の、本当の終わりが近づいていた。

歓声を、感謝を叫ぶ客席を制して、マイクを通さずまず晴一が叫ぶ。(※初日バージョン)

 

晴「今日皆さんのおかげで初日を迎えられて、よかったでーーす!!」

盛り上がる客席を再び制し、昭仁が叫ぶ。

昭「最高のツアーになるように、がんばってきまーーーす!!!!!今日は、ありがとーーーーー!!!!」

 

こうして、UNFADED初日は幕を閉じた。

色々な想いを書いてしまい、話が飛び飛びになってしまったが、私がこのツアーで感じたことは、一通り書ききったつもりである。

またMCなどを追記するかもしれないが、一旦ここで終了させていただく。

こんなに長い記事を、ここまで読んでくださりありがとうございました。

令和になっても、ポルノグラフィティを愛し続けていきたいです。平成が終わる10分前より。

 

<セットリスト>

M1  オレ、天使

M2  A New Day

M3  幸せについて本気出して考えてみた

M4  東京ランドスケープ

M5  ジョバイロ

M6  ヴィンテージ(⇔Swing)

M7  前夜

M8  ビタースイート

M9  ライオン(⇔DON'T CALL ME CARZY)

M10 Zombies are standing out

M11 夕陽と星空と僕

M12 Didgedilli

M13 カメレオン・レンズ

M14 海月

M15 フラワー

M16 オー!リバル

M17 ジレンマ

M18 サウダージ

M19 パレット

M20 ハネウマライダー

M21 ∠RECEIVER

EN1 Hard Days,Holy Night(⇔タネウマライダー)

EN2 ライラ

 

 

 

☆最後に

私がファンとして感じたことを書き残しておきたいと思う。

 

今回の『UNFADEDツアー』は、全楽曲が対象ということで、今までのコアなファンからすると、夢のようなツアーコンセプトだったと思う。

しかし蓋を開けてみると、意外にも、人気の高いことがわかっている曲だったり、ベスト盤にも収録されている曲が多かったりして、「置きにいったな」という評価がされているように思う。(それでもツアーで『Swing』や、新曲である『前夜』『海月』などを漏らさずやったのは中々にチャレンジングではあると思うが)

しかし、その選曲のバランスのおかげで、初めてポルノのライブに来る人にもかなり満足度の高いツアーになったのではないかと思っている。

ポルノグラフィティは、純粋に考えても知名度が高い。だがそれがネックであり、「今さら聞き始めるなんてなぁ」と思われがちである。少なくとも私はそう感じる。

しかし、このツアーにより、新たな一面を発見できた人も多いのではないだろうか。私は、自分が大好きなものだからこそ、より多くの人に魅力を知ってほしい。だからこそ、たくさんの人を誘いたいし、実際に誘った。その反応を見ていると、このツアーで「ポルノのライブって楽しいし、すごい!」と思ってもらえた可能性はかなり高いと言える。

 

では、究極に楽しみにしていたコアなファンにとってはどうか?楽しめたのか?

答えはもちろん、YESである。

前回のBEツアーにおいて、私は彼らから尋常ならざる決意を感じた。その感覚が合っていたかどうかは、彼らの口から『よりチャレンジングなものにした』とはっきり語られたことで、概ね間違っていないことがわかった。それは、1曲1曲の距離の取り方だったり、昭仁の弾き語りコーナーや晴一の独壇場を作ることなどから感じていたものだ。

それが、このツアーでは、正当に進化しているように感じられたのだ。

マンネリではなく、常に新しい挑戦と、進化を続ける。それは昨年発表された楽曲、『カメレオン・レンズ』『ブレス』『Zombies are standing out』『フラワー』という、バラエティに富んだ並びからも充分伝わってくる。

そして、惜しくも1日のみとなってしまったしまなみロマンスポルノ。その悔しさを、このツアーにぶつけたと言っても過言ではないくらい、メッセージ性にあふれたツアーだったといえる。

何度も書いてきたが、このツアーは”色褪せない”ということを掲げている。

それは、楽曲だけでなく、彼ら自身のことでもあるだろう。

そしてそれは、私たちからポルノグラフィティ、そして、ポルノグラフィティから私たちファンへ送られる愛』のことでもあるように感じたのだ。

それは各曲の感想部分でも述べているとおり、勝手に私が感じているようなものかもしれない。だけど、私には今回の曲のセレクトが適当だとも思えないし、どこか意図的なものを感じるのだ。

単純に「ありがとう」と伝えたいだけなら、ファン感謝祭などのイベントを銘打って開けばよい。しかし、このツアーは恐らく『コアなファンであればあるほど、考察せずにはいられない』作りになっている、そう思わないだろうか。

なぜ今「幸せについて本気出して考える」のか。

色褪せたギターで愛の歌を捧げるのか。

「薄れてゆく だけど消えない記憶」とはなんなのか。

 

私たちが「歩き疲れたら帰る」場所とはどこなのか。

 

このツアーは、ポルノグラフィティからの「愛のメッセージ」である。

私はそう感じていたい。そう信じていたい。

このツアーが、自分の中で最終日を迎える時……横浜2日目であるが、なぜか妙に寂しくて、泣きまくってしまったのを覚えている。

それは、たくさんの愛を受け取ったから、余計に、しばらく会えなくなるのが寂しくなってしまったのではないか……そんな気がしている。離れるのが怖くて。いつものように「お疲れ様!楽しかったよ!」だけじゃ終われない気がして。自分の中で、ポルノグラフィティがこんなにも愛しく、かけがえのない時間を与えてくれていることに、改めて気づいてしまった。その時間は、もう二度と戻らない、「記憶」となって自分の中に残るのみだ。

私はこれからも、ポルノグラフィティと共に過ごせる時間を、今まで以上に大切なものとして扱って生きたいと思う。

 

こんなところまで読んで下さり本当にありがとうございました。

 

 

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ikaika1015.hatenablog.com

 

【ライブレポ】ポルノグラフィティ16thライブサーキット『UNFADED』の追憶【前半】

ひとつの時代が終わろうとしている現在、いかがお過ごしだろうか。

今更ながら、2018年12月からスタートした「UNFADED」ツアーのライブレポートを書き残しておきたいと思う。

参加公演が複数にわたり、しかも日が空いている。なので、初日の感想をベースとして、その中でも印象的だった場面なども盛り込むスタイルを取ることにしたので、このようなタイトルにしてみた。

 

<参加公演>

2018.12.15 静岡エコパアリーナ(初日)

2018.12.22 北海きたえーる

2018.12.30 大阪城ホール

2018.12.31 大阪城ホール(カウントダウン)

2019.3.8  横浜アリーナ(『神vs神』発表)

2019.3.9  横浜アリーナWOWOW収録公演)

以上の公演の内容を織り交ぜて書いていきたいと思う。

☆ツアーコンセプト

今回のツアーは、「ポルノの全楽曲がサブスクリプションサービスに参入したことを受けて、アルバム、カップリングなどの全楽曲がセットリスト入り対象のツアーになる」ことが明言された。「全部の曲がベンチ入りしてて、イメチェンして出てくるかも」「あいつ誰?!って言われないようにしっかりサブスクで予習しておいてね」とまで言われる始末であった。

私はこの時点で死にかけだったのだが、タイトルが「UNFADED(色褪せない)」と発表されさらに頭を抱えた。全200数曲の中から、一体どの曲がセットリストに選ばれるのか、その中に自分が愛してやまない曲は何曲あるのか、天国のような地獄のようなヤバいツアーが始まってしまうのである。更に、晴一が自身のラジオにて「ハネウマをやるかなんよね~。あとジレンマ!」と発したことにより、ファンの間では様々な予測が立てられた。今までやった曲の回数や未だ演奏されていない曲のあぶり出しなど、ほぼ研究とも言えるような予行演習がなされていた。そのくらい、期待値がはるかに高まっていたツアーだといえよう。

前置きはこの程度にして、ツアーの内容に触れていきたいと思う。

 

☆客いじり・開演前BGM

私はしばらく大きい箱のライブに行っていなかったので(もしくはこの時間に席についていなかったことがあったため)、開演前にこのような儀式が行われることをすっかり失念していた。今回一人で参加する機会が多かったので、見ているだけでいいやと思えたのだが、今回のツアーから初めて参加してくれた方には概ね好評のようだった。

今回は、開演前のステージに映像はなく、大きく「UNFADED」と映し出されている。ループが長めの、ピコピコした感じのBGMが終始流れていて、会場のテンションを煽る。今回の作曲は誰だろうか?ライトはピンク系の暗い色で、怪しげな雰囲気を醸している。

時間がやってきて、客電が落ちる。あの瞬間の高揚感は、何にも代えがたい。

始まりの時を告げたのは、なんと……オペラだった。

 

☆OP演出

美しい女性ボーカル……ソプラノだろうか……歌詞は無い。その声に耳を傾けていると、

「ジャン!!!」とかなりの音量で(みんなびっくりするほど)ギターの和音が奏でられる。

オペラと共にやってくるロックの予感。今までにない独特の演出だ。

ジャン!!ジャジャン!!!

 

アーアーアーア~~~アアア~~……

 

ジャン!!!ジャジャジャン!!!!!

 

アーアーアーア~~ア~~ア~~~……

 

ジャンジャンジャンデケデケデケデンデンデン

アーアーアーアーアーア~~~~~~~~~!!!!!

 

 

ボン!!!!!!!!!!!!!

 

空砲と共に、火花が散りステージを覆っていたレースカーテンのような幕が落ちる。

逆光で現れたのは、見覚えのあるシルエット。

 

やっと会えた。

 

鳴り止まない歓声。その中で、静かに佇む二人。やがて、右側のシルエットが、少しだけ肩を動かした瞬間に、このライブは幕を開けた。

 

デーデレーデーデーデーレーデーデーデレーデー……

 

およそ250曲あまりの曲の中から選ばれた記念すべき1曲目がこれだ。

しかし、あまり聞き覚えがないイントロのようだが……

イントロと共に、低いデスボイスのようなナレーションが何か話しているが、興奮のせいかよく聞こえない。わけもわからず手拍子をしていると、真ん中のシルエットが息を吸い込み、歌い始めた。

 

「Search Out! 愚か者がはびこるこの街」

 

M1 オレ、天使

正直に、この曲だと即座にわかった人がいたら教えてほしい。「ウソだろ?!」というのが素直な感想である。ウソだろ?!というのは、始まるまで全く『オレ、天使』だということに気付けなかったのである。初日の高揚感で頭がおかしくなっていたせいかとも思ったが、理由がなんとなくわかった。音源で使用されている電子音の部分を、ギターで弾いていたことに気付いたのだ。これは、前回のBEツアーにおける『月飼い』と全く同じ方法で嵌められたことになる。やられた。

非常に男らしい良アレンジで、特に「Nusty!地球の上飛ぶのって嫌なんだ」の部分のキメが痺れた。昭仁の「叩き……つぶ~~~~す!!!」や「ないんだよねぇ!!世の中!!!」とほぼ攻撃的とも言える歌い方に、ああ、ライブに来たんだな~と早くも実感する。私が「ポルノのライブは、CD音源以上」と言い続けている由縁がここにある。

 

余談だが、私は、緊張するとライブ前なのにおなかが痛くなったような錯覚に毎回陥ってしまう。先に言っておくと、このツアーは「終始おなかが痛かった」ツアーである。1曲目が終わっても2曲目、3曲目と、何が来るか全く想像ができないからである。ほぼイントロクイズ状態だ。しかし、それを欺くかの様に「わからなかったでしょ?」と言いたげなアレンジだ。考えるだけ無意味、もうあちらのペースなのであった。

 

最後のアウトロ部分では、イントロとは違い本来の「あーあ、これだけ俺が親切に正しい道に……」の語りが流れてくる。この語りの最後は、「かくも……儚き、かな。人生。」という締めで終わるのだが……

 

昭「Today is......UNFADED」

 

『今日という日は、色褪せない。』

こう宣言したのだった。

 

 

M2 A New Day

待ち構える2曲目、緊張しつつ聴こえてきたのは「テレレレン……」というリバーブのかかったギター。その時点で瞬時に湧き上がる観客。終始、この「イントロドン状態」が続くため、この初日は正直かなり異様だった。このツアーに、とてつもない想いをかけて臨んだ人がいかに多かったかがわかる。

2曲目からして、まさかのベスト盤にしか収録されていないこの曲のチョイス。「みんなわかっとるよな?!行くぞ!!」と煽られ、「言うなーーー!!!」のコーラス。やはり、前回のBEツアーより、ステージと客との心の触れ合いが早く訪れたように感じた。この掛け声を「わかってるよね?」と煽るのは、初めて来た人にとって大丈夫なのだろうか?と若干不安になったが、手始めにファンの信頼性を評価してくれているのだろうなとも思った。

 

M3 幸せについて本気出して考えてみた

シャン!シャン!デデデデデレレレ……

このわずか3秒ほどの間ですぐに裏打ちで拳を突き上げられる自分と周りが怖いほどであった。しかし段々、この状況を心から楽しんでいる自分がいた。何が来るかわからない。でも、何が来ても楽しめる。この気持ちは、今までの自分とポルノの歴史の現れでもある。

今回、なぜこの曲をチョイスしたのかしばらく考えてみたことがあった。このシングルが発売されたのは、2002年。発売から長い時間を重ね、年齢を重ね、今あえてこの『色褪せない』というコンセプトを掲げたツアーでやる意味とはなんなのか。

私は、歌詞に出てくる”幸せの種”、これが意味するところが”ライブ”なのではないか、もしそうだったら良いな~くらいの考えに辿り着いた。

 

「幸せについて本気出して考えてみたら いつでも同じ所に行きつくのさ 君も幸せについて考えてみてよ 僕の姿は浮かんでる? いつまでも消えないように

 

この”君”が私たちで、”僕”が彼らだったなら。「ポルノの姿を、いつまでも消えないように浮かべてほしい」というメッセージだったなら。

ポルノのライブに来ることが、「幸せ」だと私たちはすぐに答えられるだろう。

もしその逆、彼らも「幸せ」に思えることが、ライブの空間であったなら。

そうだったら嬉しいな、くらいの認識ではあるし、私の勝手な妄想に過ぎない。しかし、UNFADEDツアーにおけるこの曲はやはり「いつまでも消えない」のものになったのも確かである。

 

……この辺で気づいたのだが、モニターに映し出された晴一が、なんとガムを噛んでいた。

今までそんな所見たことがなかったのに、急にテンプレロッカーのようなことをし出したのが謎だったが、そのうちやらなくなっていた。なんか……そういう時期だったんだろうか。

 

-MC-

申し訳ないことに、初日のMCをほとんど忘れてしまった。お決まりの挨拶に、初日が大事だからこのまま突っ走りたいと思います!!といった内容だったように思う。どこの公演も、最初のMCにしては短めな印象だった。メンバー紹介もここで。新たなサポートメンバーとして、キーボードの皆川亮さん(通称ミナチンさん)、ベースの須永和広さんを今回は迎えている。皆川さんは、2018年のアミューズフェスの時に参加されていたが、須永さんは完全な新顔である。

ここでは、よく覚えている大阪2日目、カウントダウン公演のものを記しておく。(他会場のものも、どこかにまとめて記事として残しておくつもり)

昭「大阪の皆さん元気ですか!!」

客 \イエ~~~~イ!!!/

昭「元気ですか!!!」

客 \イエ~~~~イ!!!!/

昭「元気ですか!!!!」

客 \イエ~~~~イ!!!!!!/

昭「わしらが~~~~~~~ポルノグラフィティじゃ!!!」

「昨日もね、大阪の皆さんに最高に盛り上げて頂いて。今日の皆さんもこんなに来て下さって、やっぱ大阪の皆さん最高です!!」

晴「大晦日ですよ。……控えめな日本人が、唯一盛り上がっていい日が3日あるんよ。それはいつかというと、盆と暮れと正月なんよ(指を折りながら)。暮れと正月がいっぺんに来たぞ~~!!」

客 \イエ~~~~イ!!!/

晴「今日盛り上がらないとね、君たちはずっと1年大人しく過ごすことになるよ。盛り上がらんでどうする!というね。浮かれ気分でいこう。おとそ気分でいこう。……おとそ気分はちょっと違う?」

昭「おとそ気分……ししまい?(突然)……違うか。ししおどし!ししおどしってなんだっけ。コーン!ってやつか!全然ちゃうわ!とにかく!!!今日は皆さん思いっきり盛り上がりましょう!!」

 

M4 東京ランドスケープ

次はなんだなんだと待ちわびているところに、正直なところ、初日は「なるほど……?」という気持ちが大きかった。というのも、「これ最近聴いたな?」と錯覚してしまったせいもあるが、なんと最後に聴いたのは「ロイヤル ストレート フラッシュ」、10年前だった。冷静になると、感覚がもうバグっているのである。また、このツアーにかける期待のようなものが、膨れに膨れて、「自分の」聴いたことのない曲がたくさん聴けたらなあと勝手な思いを寄せてしまっていたというのもある。

この曲が印象的なのは、ラストシーン、「そう東京(ここ)に来て ずいぶん時は経った 思ったよりやれてる?褒めてあげよう」の部分で、昭仁のボーカルと晴一のギターの音だけになり、更に2人だけにスポットライトが当たる。そして極めつけは、大阪2日目で昭仁がやった歌詞改変だ。

 

「そうここを出て ずいぶん時は経った」

 

こう歌ったのである。

昭仁がこういったことをするのは、非常に珍しい。……もしかしたら、奇跡の歌詞間違い、だったのかもしれない。

しかし、東京ランドスケープは、最初の「ここは東京」を、そのライブが開催される土地に変えて歌ってくれることは多い。もちろん当日は、「ここは大阪」になっていた。それにより、最後の「ここ」「大阪」になるよう繋がったのである。これは偶然にしても凄まじい意味を持つことにならないだろうか。

第2の故郷とも呼べる大阪を出発し、今や全国を飛び回る2人。これは、19年間走り続けてきた二人の、ささやかな意思表示なのではないだろうか。私はそう感じている。

 

 

ランドスケープが静かに終わった後、キーボードの皆川さんがドラマチックなピアノを奏でる。スクリーンには、リアルタイムの映像にモノクロのエフェクトをかけた映像が映し出されている。ワンフレーズたっぷり弾き終えたあと、ドラムの4カウントに合わせて始まったのはこの曲だ。

 

M5 ジョバイロ

実はポルノのラテンロック系の曲の中でも、あまり日の目を見ないのがジョバイロである。そのせいもあって、せっかくならこのツアーで掘り起こしてくれてもいいのにな~と思っていたので、非常に嬉しかった。昭仁がアコギ持ちで、晴一が初日だけエレキだったような気がする。

映像は、リアルタイムエフェクトと呼ばれるもので、モノクロになったリアルのカメラ映像が終始流れていてカッコ良かった。真ん中のスクリーンには、ギターの手元のアップと、歩き続ける男性の足元だけが映された映像も流れている。

私は、ライブでよくやっていたギターソロのタンゴアレンジが好きなのだが、今回はほぼCDに忠実な演奏でかなりレアなものが聴けたのではないかと思う。

 

-MC-

ここで、今回のツアーコンセプトの説明。(※初日のものです)

昭「今回のツアーは”UNFADED”ということで…言いにくいんじゃこれが!(笑)どういった意味が込められているんですか?晴一さん!」

晴「”UNFADED”。”FADE"、っていうのは、フェードインとかのフェード。まぁ、色褪せるとかそういう意味なんじゃけど。今回、サブス…サブスクリプション…これもまた言いにくいんじゃが…(笑)わしらの曲が全部入ることになって。昔は、音楽を聴くとなると、カセットだったりCDだったり、わしが初めて買ったのはレコードじゃった。キョンキョン小泉今日子)の『木枯らしに抱かれて』が入ってるやつ」

昭「いいねー!!キョンキョン!!わしはその前の『夜明けのMEW』のカセットじゃったわ。ベッドの(天井の)ところにポスター貼ったりしてね、『キョンキョーン!』って…小3くらいの時に」

晴「まぁわしは中森明菜ちゃん派じゃったけぇ。…いいんだよそういう話は!!(笑)……まぁ、音楽を買う時ってやっぱりCDだと、シングルがでかい顔をしとるわけ。アゲハ蝶とか、ミュージック・アワーとか、シングルがやっぱりこう偉いみたいなのがあって。でもサブスクリプションは、アルバムもカップリングもみーんな同じ場所にある。

そういうサービスがあって、セットリストに全部入れて自由にやってみようと思って……20年間やってきた中で色んな曲を出してきて、今と昔を比べるような、『色褪せてる?』みたいな問いかけるタイトルにしたかった。『色褪せてる?』って聞いて、『色褪せてないよ!』って返してくれるような。でも、そしたら、タイトルに”ハテナ”がついちゃう。『FADED?』だとカッコつかんけぇね、だから、思い切って『UNFADED』と言い切る形にしました。」

昭「そんな理由もあってね、この初日を、皆さんの色で、今日という色で染めてください!」

晴「お、いいねそのMC」

昭「そう?(笑)これは絶対言おうと思っとった……っていいんだよそういうのは!(笑)え~~こっからは、今まであまりライブでやってこなかった曲、まだライブで演奏したことのない曲なんかも(ひゃ~~~!と湧き上がる客席)やっていきたいと思いますので、ついてきてください!」

そんなMCをするからには、何が来るのかと思っていたが……

 

カカン!カカン!テテテテトトン……

 

 

M6 ヴィンテージ

今でもハッキリ覚えている、この曲のイントロが鳴った瞬間の歓声と、口を塞がれて指を何本か折られたみたいな呻き声を挙げてしまった自分を。

この曲によって、客のこのツアーに対する期待値がグングン上がったように思える。ヴィンテージが入っているアルバム『WORLDILLIA』は、このアルバムを主軸としたツアーが行われていなかったため、収録曲がライブで演奏された回数が極端に少ない。ヴィンテージは、『BEST RED'S』にも入っていて、このサイケなイントロと哀愁のあるメロディ、捻くれているようでストレートな昭仁の歌詞が独特の雰囲気を持っていて、非常に良い。

 

「あの赤いワインのような濃密な時間を重ねて 僕らの愛がヴィンテージになる」

「色褪せたこのギターを持ってあなたに愛の歌捧げよう 僕らの愛よヴィンテージになれ」

 

この歌詞は、正に”UNFADED”ツアーを体現しているものではないだろうか。”物質”は、時がたてば劣化してしまう。しかし、時間を重ねることで「ワイン」や「ギター」のように、質や色、価値が変化して、最上級になっていく物もあるだろう。色褪せたギター、それは愛を歌い続けることになんの影響もなくて、この20年間、ポルノとファンの間に築かれた「愛」は最早ヴィンテージ物である。そんなメッセージが込められているように感じられる。

「あなたにとって僕が大切なままであり続けていく

今までもこれからも、それは私にとって変わることはないだろう。

 

M6´ Swing

このツアーでは、日替わり曲が存在した(数字に「´」で書くこととする)。『ヴィンテージ』と代わって演奏されたのが、この『Swing』である。これもまた、『ヴォイス』のカップリング曲という相当ニッチな位置づけで、客のざわめきが聴こえた。私が今回初めて聴いたのが、大阪2日目だった。私にとって『Swing』は、ちょっとした特別な思い入れがある。それは、初めてポルノグラフィティのライブを観に行った「RE・BODY」ツアーにおいて演奏された曲であるということだ。私は目の前に、あの日のZepp Sapporoが広がっているような気持ちになった。

「慌ただしく過ぎ去ってゆく日常の中で 薄れてゆく だけど消えない記憶なのさ」

このフレーズを想うたび、今までのライブの記憶もそういうものだなぁと実感する。鮮明に思い出せること、思い出せなくなったこともあるけれど、絶対に消えることはない、UNFADEDツアーもきっとそうなるだろうし、皆にとってそうでしょ?と問いかけられているようにも感じた。

 

M7 前夜

期待値が上がっているところに、『カメレオン・レンズ』のカップリングでもあるこの新曲。しまなみロマンスポルノでやるのかな?と思っていたがやらなかったため、聴けて嬉しかった。注目すべきは、バックスクリーンにポルノの2人の姿だけがセピア色で映し出されていたということだ。この曲は、”旅立ち”の前夜の心情が描かれたものであるが、一人称視点のようでいて実は個人的に引っかかっている歌詞がある。それは、

「励ます声が聞こえてきた 栄光の前夜」

なぜこの主人公は、「栄光」が訪れることを知っているかのような口ぶりなのだろうか?もしかすると、この「前夜」とは<1999年9月7日>にも当てはまるのではないだろうか?インタビューでは「春なのでこういう歌詞にした」と明言されているが、私は勝手にそのようなストーリーをつけてみたりしている。

そして圧巻の歌声であるが、CDでもすさまじかった「冷たいベッドへ重い身体 lay down」の部分、更にライブでは「神様願い叶えてくれ a piece of me」、ここが本当に、喉がぶっ壊れてしまうのではないかと思えるほどの咆哮になっていて度肝を抜いた。岡野昭仁という人は、どこまで進化していくのだろう。そして、そのフレーズをたっぷり伸ばした後にブルースハープに移るというアレンジもまた良い。間髪入れずに、晴一による”泣き”のギターソロ。カップリングとは思えない魅せ方だった。

 

M8 ビタースイート

静寂の後、このなんとも言い難い”ジョワジョワ…”みたいなイントロが流れた瞬間、また心がざわついた。うおお!と短く叫ぶ男性の声も聞こえた。確かに男性人気が高い曲である印象もある。

第一印象は、「渋いな!」だった。このハードで暗いナンバーを序盤でぶつけてきたのもそうだし、ものすごく盛り上がる曲調でもないし。しかもキー下げ。それでもCメロのハイトーンはさすがの貫録だった。この曲は、「蒼、紫、白、黒」と実はかなりたくさんの”色”が出てくる曲でもあるが、それが選曲にも関係しているのだろうか?

ビタースイートでは、たくさんの『可動式スポットライト』のような(正式名称が分かる方がいたら教えてほしいです)物が動き回り、ステージや客席を縦横無尽に、時に隊列のように真っ直ぐに照らしているのが、カッコ良くもあり不気味でもあった。

 

M9 ライオン

タタタタン!タン!というタムの入りでもう頭が理解する。ここに来て更に初期の名作とは。しかしビタースイートでキー下げしたのにこれはいいのか?!と思うほどのハイトーンの連続にビビる。FCUW5で聴いたのが最後だが、この時より更にパワーと伸びが増していた。昭仁がステージの上を歩き回り、気だるげな表情をしながらジャケットの裾を弄ぶような仕草をしていたのが、最高にクールだった。

 

そして、別の日では、この曲も日替わりであることを知る。初日のあとが札幌会場で、ビタースイートのあとに持ち変えるはずのギターを、晴一が持ち替えないことに気付いてしまったのだ(しかもハードロック用?のフライングV)。あれ?あれ?と思っているうちに、耳をつんざくあのイントロが始まった。

 

M9´ DON'T CALL ME CRAZY

叫んだかどうか覚えていないが、頭が真っ白になって震えたことは覚えている。ポルノの魅力には、ロックの中に”ポップさ”も兼ね備えていることも含まれるが、それをこれでもか!とかなぐり捨て、ハードでコアなサウンドでタコ殴りにしてくる顔を持っていることを私たちは知っている。そして私はそれが大好きだ。もう無理!!ってくらいボコボコにされてしまう。晴一の暴れるような速弾きを終始見られるのもこの曲のいいところだ。そして昭仁のロングハイトーン、「不穏に響くは…」からの不気味な雰囲気に身を委ね、曲と一体化する二人の姿に心臓を撃ち抜かれてしまいそうだった。

そして、「ピストルズを」で頭に指を突き立てる昭仁を見て、無事撃ち抜かれた。

 

曲が終わると空気が一転し、今度はOPとはまた違う男性テノール歌手のような声が響く。こちらもまた、オペラのような雰囲気を持ち、伴奏がないアカペラだ。歌詞はあるようだが、恐らくイタリア語?のような言葉で、どこかの作品からの出典があるかもしれないが私にはわからずにいる。

段々とエコーがかかり、そして同じフレーズを壊れたレコードのように繰り返し、歪んでいく。フェードアウトして始まったのは……

 

M10 Zombies are standing out

「ゾァーン………」という独特のイントロを聴いた瞬間、会場が「ウワアアアア!!!!」という割れるような歓声に包まれ、いかにこの曲が待ち望まれていたかがわかった。本当に、ポルノは一気に心を持っていくような演出がうまい。もう灰になってもいいと思った。

「光がその躰を焼き 灰になって いつか神の祝福を受けられるように」の部分では、昭仁の周りが緑色のライトで照らされたスモークで覆われ、昭仁だけが赤く血のようなライトで染め上げられ、後ろからはまるで後光のように白い光の筋が回転しながら伸びている。神々しくも禍々しく、そして幻想的な光景に息をのんだ。一度、スタンドのステージ正面で観ていたのだが、あの瞬間だけは、その席で良かったと思った。

まるで神のような昭仁のあとに、もう一人の神である晴一がギターをかき鳴らす。水をくれと叫びたいのはこっちの方である。

 

激しい曲が終わり、どこからかなぜか小鳥の鳴き声が聞こえてくる。

おや、この流れはもしや……と思っていると、やはり、ステージには、アコースティックギターを持った昭仁がたった一人、椅子に座り客席を眺めていた。

 

後半へ続く。