【ライブレポ】高級アーティスト回転寿司、AmuseFes2019【恋とか愛とか】

今年もAmuseFesに行ってきた。昨年が初めての参加だったが、空想科学少年や天気職人など珍しい曲がけっこう聴けて楽しかったので、今年も行こうと決めていた。

エレファントカシマシアミューズに移籍したことにより、もしかするとフェス参加あるか……と淡い期待を寄せていたのだが、まぁ叶わず。しかし今年も中々に楽しい内容だった。去年は『雨男晴女』というテーマに基づくチーム対抗戦での進行だったが、今年は『恋とか愛とか』という、「恋愛ソング、もしくはそのコンセプトに対抗する楽曲を選択する。また、各人の『恋とか愛とか』のエピソードを披露し、優勝を決める」という一抹の不安を抱えるテーマではあったが、何の問題もなく楽しめた。

昨年の記事ではポルノだけ触れていたが、今年はかなりざっくりだが全てのアーティストについて感想を書いてみた。ポルノはトリなので一番最後。

 

1.山出愛子

さくら学院の女の子。17歳らしい甘酸っぱいエピソードでほっこりした始まりに。ゲストにBEGINの上地さんを迎え、2曲を演奏した。優しいオープニングとなった。

 

AmuseFesの特徴は通常の対バンやフェスと違い、大きなステージを半分に分け、アクトが終了するとステージごと回転し、裏で準備していた次のアーティストのセットが出てくるため、転換のスピードが異常に早く待ち時間が少ない……という非常に効率的なもの。(と書いたが、これが始まったのは去年かららしい。素晴らしいと思う)

 

2.WEAVER

ストーリー仕立ての映像に合わせた形で曲が挟まる。かなり凝った映像で声優さんの本格的なナレーション付き(花澤香菜さんだった。男性は不明)。クリアな歌声と爽やかな編曲で夏の夜を思わせる幻想的なステージに。最後の『栞』でエドガー・サリヴァンのボーカル・佐々木萌さんが出てきてコラボ。

 

3.エドガー・サリヴァン

そのままWEAVERと交代する形でステージへ。2018では3人だったのが2人で活動になったようだ。ベース・はるかくんの生々しい恋バナで優勝を狙いに来ていた。みずみずしくも力強いボーカルは健在。ノリやすいポップな楽曲で会場も盛り上がる。

 

4.Skoop On Somebody

他のアーティストとは違い真っ赤なソファに座って登場。テーブルの上に水のグラスと高級感あふれるステージ。大人の色気を存分に発揮。TAKEさんのしっとりとしたムーディーな歌声でシックな雰囲気に。「男はいつまでもひきずる生き物ですから」と失恋ソングを披露。

 

5.Rihwa

『フレ!』ではギターを持ち、キラキラとしたパワフルな歌声を披露。女性アーティストは、みんな歌がうまいというか声に張りがある。下積み時代の先輩との甘酸っぱいエピソードが原動力になっていると『ミチシルベ』を演奏。個人的には前の元気な楽曲が多いステージの方が好きだったかも。

 

6.FLOW

「恋とか愛とかの曲が全然ないから、出られないかと思った」という。WEAVERの杉本さんとコラボした『音色』がすごく良かった。イントロめちゃくちゃ好き。こういう曲もあるんだなと思った。また、「恋愛ソングがないから、先輩の曲借りちゃいます!」と、福山雅治の『HELLO』を披露。こういうめちゃくちゃな有名楽曲の貸し借りが容易に行われるのが大手アミューズの強いところ。ラストは謎のオタ芸パフォーマーで盛り上がった。あと、エウレカのDAYSが聴けて嬉しかった。

 

7.『マルシャショーラ』 Special guest band

ブラジルのラテン2ビート『マルシャショーラ』に合わせて次々とアーティストがカバー曲を披露。高橋優flumpoolはお互いの楽曲を交換。Skoop On Sonebody・TAKEと、エスコートされて出てきた藤原さくらによる『桜坂』は、ダンディ&キュートという感じで微笑ましい。また、山出・佐々木・Rihwaの女子3人による『TOKYO GIRL』もポップで可愛らしい。『勝手にシンドバッド』では、唯一のダンスグループs**t kingzも登場し、ステージに華を添える。このリズムはアゲハ蝶とかできそうだなぁ~とずっと思っていたら、今まで出たアーティストたちが総出でポルノ20周年をお祝いしてハネウマライダーを披露。とても嬉しかった。

最後は岡野昭仁ご本人登場により、BEGINの『島唄』を歌う。ここで昭仁は初登場だが、因島出身のポルノグラフィティ(昭仁)にあの歌詞を歌わせるのは本気で天才だと思った。穏やかな笑顔で、場所は違えど生まれ育った『島』へ思いを馳せているかのような優しい歌声。見れてよかった場面のひとつだ。

 

8.辻村有記

彼は去年と相変わらずかなり前衛的なステージ。不思議空間だが会場を音楽で盛り上げていく。ダンサーとのコラボもあり、視覚的にも見どころのあるステージだった。バンドであるHaKUとして活動していた時もこんな感じだったのだろうか?

 

9.藤原さくら

他の女性達とは異なった、静かなのに堂々たる、しかしどこかふわふわと浮いているような独特の雰囲気は、彼女にしか出せないものだろう。最初、音が入らないというプチトラブルがありつつもそれを『音入らなかったよね。びびるわ』の一言で片づける竹を割ったようなMC。スモーキーな歌声で穏やかな空間を作る。ピンクのジャージの彼の話は面白かった。

 

10.s**t kingz

初めて見るダンスグループ。ダンス?と思ったけど視覚的にとても楽しい曲ばかりだった。Perfumeとのコラボで『ナチュラルに恋して』をやったのも、みんな可愛いらしくてとてもよかった。

 

11.高橋優

去年見てから今年も楽しみにしていた高橋優。彼の素朴な雰囲気から一変して放たれるがなり声には胸を打たれるものがあるし、単純にうおおお!と盛り上がれる。『高野豆腐~どこか遠くへ~』ではアニメーションの演出も洒落が効いてて楽しかった。flumpool山村さんとの友情エピソードも。今年もカッコ良かった。もう1曲くらい聴きたかった。

 

12.flumpool

ボーカル・山村隆太さんが喉の病気(機能性発声障害から復活。辛かった時期を感じさせない、パワフルで瑞々しいステージ。恥ずかしながら、テレビでしか見たことの無い程度の知識だが『flumpoolのステージだな』と妙に納得できる雰囲気だった。高橋優とのエピソードで2人の関係性がよくわかった。

昨年は、昭仁が祈りを込めて歌った『星に願いを』を客席から見ていて、号泣したという。そして昭仁を呼び2人でその曲を改めて披露。昭仁は珍しく下パートのハモリでそれも聴けてかなり嬉しかったし、涙がこぼれそうになった。

ボーカルの人が喉の病気にかかってしまうというのは、推し量ることのできない不安と焦燥感があったと思われる。特に山村さんの場合は心因性であり、そこから、諦めずに復活してくれた姿をファンの方も見ることができたんだなと思うと、本当に良かったと涙が出そうになった。喉を使う職業の人は、喉の病気になりやすいという。あのつんく♂さんもそうだし、私の母が愛した忌野清志郎は、その病気で亡くなった。

本当に、人から愛される人は、心も体を大事にしてほしい。

 

 13.Perfume

「今年は恋とか愛とかのテーマだから」と、比較的過去の楽曲をたくさん披露。「最近は実は恋の歌はあんまりやってない、『人生とは…』みたいなのばっかり(笑)。30代になっても恋とか愛とかうたっていいよね?」と冗談。私はどちらかというとPerfumeは可愛らしい曲の方が好きなので、『ねぇ』も『チョコレイト・ディスコ』も『Baby cruising Love』も聴けて嬉しかった。一時期『シークレット シークレット』をかなり聴いていた時期があり、テーマのこともあり色々思い出してしまったがいつか生で観てみたい。

3人によるノンストップ恋愛トークもかしましくて面白かった。あ~ちゃんはエドサリのはるかくんを養いたい。のっちはTAKEさんに口説かれてる気がする。かしゆかは、なんだかんだ昭仁が好き。懐かしい曲ばかりで楽しかったしやっぱりPerfumeのステージは可愛い。

 

14.ポルノグラフィティ

さて、大本命。回転しながら出てくるポルノというのもなかなか見られるものではないので、素直にカッコいいな~と思う。恋とか愛とか…というテーマ、正直幅広すぎて何をやるのか見当もついていなかった。ポルノにも愛や恋の歌はそれなりに曲数がある。何が来るのか、と身構えていたら……

 

「呼~ばれて~~~飛び出てじゃじゃじゃじゃ~ん」

 

1. 電光石火

いや、去年と同じかーい!!と思ったのも束の間。今年の歌詞はこうである(少しうろ覚え)。

 

呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃん

愛の伝道師華麗に参上

「ポルノ」って「アノ」ことよ?究極の愛じゃない?

どんな風に愛してあげましょう

痛いの優しいのどっちがお好み?

熱いのがお好きなら届けましょう

45だってやればできるの

 

…………………………。

やってくれたな………………。

 

愛っていうか「ポルノ」じゃねーか!!いやバンド名だけども!!と普段なら基本的にそういう話はしないのでまぁ軽くサーッとなっていただろうが、ライブのテンションのため、アホらしくてかなり笑ってしまった。やりたい放題。いいぞ。ちなみに歌詞は晴一が、当日ササッと書いたらしい。去年はテーマから考えて、雷の音で行こう!と考えてこの曲始まりになったらしく、今年は踏襲してみたとのこと。

OPSEの代わりのため、1番のみ披露。さぁ、本番開始!と体制を整える。

 

2. PRISON MANSION

??????????

正直な感想、まず出てきた感想は「なんで???」である。なんというか、いきなりこのような愛や恋に対するアンチテーゼ的な曲をぶち込んでくるとは。単純に盛り上がったから良いけど。よくよく考えてみたけど、「こんな現代に生きてても自分を愛してあげましょう」的なのが落とし所だろうか?

 

3. サウダージ

続けてこちら、盤石な失恋曲。UNFADEDでも聴いたがやっぱり、サウダージは『強い』なと感じる。聞けて嬉しいヒットソングがあるというのは大きいことだし、『相変わらず素晴らしい歌声』と隣の夫婦がとても喜んでいたのを見て握手したくなった。

 

ここでMC。

昭「わしらももう45じゃけぇ、10代の頃のエピソードなんか覚えとらん。」

晴「登場順に薄汚くなっていく。(笑)」

昭「なんか無いんですか晴一さん恋の話」

晴「え~。深夜に、公園で、車に乗って………」

昭「だめだめそれ何の話?!(時事ネタか?)もっと可愛い話ないの可愛い話」

 

晴「話すことないよ~あなたが話す番でしょ~~?なんも考えてこんかった」

昭「そう?愛とかって言ったらね、まぁカープ愛くらいでしょうか!」

晴「また勝ちましたね~」

昭「まぁ、また話し過ぎると炎上しちゃうからね!」(晴一はツイッターで野球の話をしたらプチプチ炎上したといういじり)

 

途中に下ネタなども挟みながら(完全におじさん)、かしこまって昭仁が。

昭「45歳にもなると、10代20代の恋とか愛とかとはまた違った愛の形が見えてくる。僕ら二人も、人の親になって、次に歌う曲には『父の背中』という歌詞が出てくるんですけど、出来れば僕らの背中も大きなものに見えるように、頑張っていきたいと思います。」

 

4. 愛が呼ぶほうへ

MCの時点でこれが来るとはわかっていたけど、そのMCが珍しすぎて少しびっくりした。というのも、ポルノは、ステージから降りた自分たちのパーソナルな部分をほとんど話すことがない。それは、二人が等身大の「個人」ではなく「アーティスト」として意志を持って私たちの前に立ってくれていることの表現だと思っていたし、よりフィクション性を高める効果でもあり、ポルノのそういうところが私も好きだ。つまり、ほんの少し、匂わせ程度でしかなくても、意図的に家族やお子さんの話をするのはかなりのレアケースだと思う。

しかし、恐らく「AmuseFes」という特殊な舞台では、そのような『愛』の形の表現をしても差し障りは無いと思った。東京ドームではまた『ポルノグラフィティ』として生きている姿を見せてくれるだろうし、ただその姿も普段は『親』として生きている二人でもある。そこをきちんと切り分けてくれている潔さ、だけど確かに感じた家族への愛に、じーんと胸が熱くなった。

というか、「父の背中の涙」という歌詞を自らが父になる前にきちんと『愛』として表現できるのは、二人ともご両親に真っ直ぐな愛情を受けて育ったんだなぁと思わざるを得ない。そういう二人がやっているところも含めて、私はポルノグラフィティが好きだ。

 

5. カルマの坂

とか言ってたのに。思いもよらぬ選曲に、本気で絶句。

イントロが聴こえた瞬間から絶句しすぎて何してたか覚えていない。

この曲はいわば「メリーバッドエンド」の象徴であるような曲で、とにかく暗い、陰鬱とした歌詞と重く激しいロックが融合した楽曲でもある。

『「神様がいるとしたら、なぜ僕らだけ愛してくれないのか」』

この曲に出てくるスリの少年と奴隷の少女は、最終的にある意味では結ばれたのかもしれない。ただ、結末は二人の『死』を暗示する展開となっているため、浮かばれようにも浮かばれない。あたたかな家族の愛の話をしておいてこの曲をぶつけてくるのがなんとうか、皮肉屋の晴一の姿がありありと見えた。

そしてまた、この重い歌詞を淡々と、ぞっとするくらい静かに歌う昭仁がまた恐ろしい。あの歌い方は個人的に大正解だし、ただただ聴き入ってしまった。なんというか、今までニコニコ笑っていた人が急に真顔になるみたいな、独特の怖さが大好きで、岡野昭仁という人も、そんなところを持っている感じの人なので、久しぶりに恐ろしいステージを観てしまったな、と思った。2番の『パンを抱いて逃げる途中』からの部分はもうどうにかなりそうなくらいノックアウトされた。

 

6. フラワー

現時点での最新曲。これもまた、どちらかというと『愛』というよりかは『命』の曲だと思っているので、これを『愛』の曲にするにはかなりの遠回りになると思う。

『愛でられるためでなく 色を誇るためでもなく』とあるように、この花は人から愛されるために生きているわけではない。しかし、人間には『愛される』ことは必要だと思う。究極の愛だかなんだかと言われてもなんのこっちゃ、私にはこの歳まで生きてて色々通過してみても、未だにわからないことだらけで、いつかわかる日が来るのかと頭を少し悩ませてみたりもした。が、今のところ友人や家族以外で『愛している』という言葉を即使えるのはポルノグラフィティくらいである。しかし「こんな生産性の無い自分がポルノを愛してていいのだろうか」という、若干の負の思考に支配された瞬間もあるが、好きなものは好きだしドームも楽しみ。本当にずっと大好きでいて良かったと今でも思うし、ドームでもきっと思う。

 

昭「ここまで静かな曲が続いてしまったけど、ここからはグイッと!!グイッと行きたいと思います!!変な踊りするぞ~~~~!!!!」

とここからは『動』のポルノを見せていく。というかいくら身内フェスだからってセトリが攻め過ぎである。 

 

7. ミュージック・アワー

久しぶりのミュージック・アワーマイベストシングルにも書いたように、私はこの曲が大好きなので嬉しかった。おそらくPerfumeファンの人がノリノリで踊ってくれるのがまた楽しい。『強い人にはなれそうにもない 揺れてる君でいいよ』というDJの言葉は優しく、きっと恋するウサギちゃんの心を救ったに違いない。

これから来る夏の予感に包まれ、いよいよ最後の曲となる。

 

8. アポロ

今年デビュー20周年を迎える彼らの記念すべきデビューシングル。いつまで経っても色褪せないそのカッコよさに涙が出てしまうほどだ。アポロの近未来感って本当に不思議。20年前、人類がまだノストラダムスがなんとかとか言っていた頃の曲だとは思えない。滅亡しなくてよかった。

 

昭「君たちに伝えよう!!僕らは結局!愛とか恋とか!!その形を!!いつまでも探し続ける!生き物なんだ〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

この台詞には痺れた。正確には、歌詞としては

僕らはこの街がまだジャングルだった頃から

変わらない愛のかたち探してる

なんだけど、これの昭仁訳といった感じにきこえた。昭仁は『Free and Freedom』では

 

僕らは一人きりでは生きていけない

なのに誰にも縛られたくない矛盾と

永遠に戦い続ける生き物なんだ

そして未だに答えはない

 

という歌詞を書いているが、少し似たものを感じた。愛とは時に自由を蝕む毒にもなる。だけど人は自由だけでは生きていけない。

それぞれにとって最適な『愛』の形、そして人それぞれの『恋』の形。

それらをテーマとした今回のフェスの締めとして、まごうことない楽曲になったと思う。

最後の締めでは、晴一がギターで締めると思っていた昭仁に『やれ!』と合図を出し、昭仁が『わし?!いいの?!』と戸惑いつつも、ツアーのラストでやるような大ジャンプで締めるという微笑ましい場面もあり、ポルノとしてのステージは終了した。

 

エンディング『それを強さと呼びたい』

アミュフェス恒例のこの曲。今年の昭仁ソロは1番の頭。去年歌っていた『鏡に映った姿〜』のパートは、今年は高橋優。なんとなく今年は高橋優で聴きたいなと思ってたから嬉しかった。

この曲も、全体を通すと『愛』について歌われている。歌詞は、晴一とあ~ちゃんの共作だが、それがまた視点の違ったニュアンスを生んでいて新鮮だ。自分の愛する人が笑って生きていける未来を信じることもまた、愛であり、それは恋人や家族というくくりでなく、好きな音楽、漫画、本、なんでもいいから、ずっとそばにありたい願うものに対して向けられる気持ちでもあると私は思う。……と書かないと、切なくなってしまう。テーマがテーマだけに自分のことを顧みると、少々おセンチメンタルになる回ではあったが、とにかく、楽しかった。

 

アミュフェスはアーティスト個々の力がやっぱり大きいし、聴いてて非常に満足感がある。そして転換が鬼のように早いので、あの1日であの量のアーティストが見れるフェスというのも珍しい。

また、去年は前で観たいという気持ちが先行してかなり競争の激しいエリアで観てしまったが、多少の距離を犠牲にしても案外近くでのんびり見れたので、次回からはまたそうしようと思う。

 

友人の好きな阪本奨悟さんがまた出ますように。お願いします。