1月30日に、「『ESECAN×新藤晴一』発売記念イベント」へ参加しました。
始めは、晴一の写真集?アートブックとはなんぞや?と思っていたが、購入して中を見てみると、とても素晴らしい出来のまさしく「アートブック」であるなと実感。晴一本人が登壇するイベントもあるとのことだったので、試しに応募してみたところ当選し、ありがたく参加してきました。
会場は、アートブックの一部写真の撮影場所にもなっている三越劇場。日本橋三越本店の中にあるこの劇場は、一度別の用事で三越を訪れた際に、日常とは一線を画した雰囲気に圧倒され、ここでイベントをやるのか……とやや緊張するほどラグジュアリーな空間だった。
少し時間が経ってしまったが、期待よりとても充実した内容のイベントだったので、内容について覚えている範囲で残しておこうと思う。
登壇者は、司会の女性の方とチーム「ESECAN」の3名(席順は左から中澤さん、デザイナーの松尾さん、フォトグラファーの中村さん。)と、最後に晴一が登壇し一番左に座る。カフェのカウンターのような脚の高いテーブルとイスがあり、テーブルの上にはお水とアートブックが乗っていた。
始めに、ESECANの3名から挨拶。普段はクリエイターとして作品づくりに携わっている関係上、あまり表立って話す機会が少ないとのことで、3人ともやや緊張した面持ち。物腰のやわらかい印象を受けるフォトグラファーの中村さんは「もう死にそうです」とコメントしていた。
3名の紹介を受けて、今回は被写体として参加した晴一から「“モデルの”新藤晴一です。」と場の空気を和ませるようなお茶目気味の自己紹介。と言っても晴一も普段のステージとは勝手が違う空気の中、最初のほうはキョロキョロあたりを見回したり、にやけていたり、鼻の下をしきりにこすったりしてそわそわしている印象を受けた。
司会の吉田明世さんは、元TBSのアナウンサーで現在はアミューズに所属しているとのことで、晴一に挨拶。
吉田「これまで直接お会いすることは無かったんですけど、アミューズの後輩としてお会いできて嬉しいです!」
晴一「アミューズなんだ、一緒に仕事をしたこととかは…?」
吉田「残念ながら今日まで無かったのですが、友人とのカラオケ等ではよく歌わせてもらっているという関係性で……」(全編通して明るくちょっと面白い発言が多かった吉田さん)
晴一「なるほど、直接の後輩ってことでいいのね?よろしくお願いしま……よろしく頼むよ。」(ふんぞりかえるフリ)
・コンセプト説明
チーム代表の中澤さんより、改めてアートブックを作るに至った経緯などの説明があった。
中澤「晴一くんとはもう20年来の付き合いで、デビュー当時からヘアセットさせてもらったりしていたんですけど、彼はアーティストとして色んな写真を撮ってもらう機会も多いと思うんですけど、『俺ならもっとカッコよく撮れるのになぁ~』って思うことも多かったんですよ…というのは冗談ですけど(笑)、でも晴一くんの魅力をもっと引き出すことができるんじゃないかって。月日が経って、このチームで何かちゃんとした作品を作ろうって話になった時に、誰か被写体のいるコンセプトブックみたいなものがいいんじゃないかという話になり、そこでモデルとして候補に挙がったのが晴一くんだったんですよ。」
吉田「新藤さんはこのお話をいただいた時どうでしたか?」
晴一「いや、そりゃびっくりしますよね。でもずーっと勧誘されるわけですよ、晴一さんモデルやりませんかーって。頭になんかあの、ラップみたいの巻いてて動けないのに。そりゃね、わしらがポルノグラフィティとして、例えば岡野くんとかもそうですけど、ポルノグラフィティとして写真集を出しますってのはもう、“普通“なわけよ。わかる?そういうもんもあろうねっていう。」
吉田「普通、ですか。」
晴一「普通でしょ?岡野くんならまだわかるんよ。でも、あえてこの……なんね、バンドの右側をクローズアップして、ただの写真集じゃなくてひとつのコンセプチュアルな作品を作りましょうっていうのがね、面白いんじゃないかなと思い始めて。それでまぁ、折れたみたいなかたちですね。でも楽しかったですよ。」
中澤「本当に僕らのできる全力を注ぎこんで、一切妥協点のない良いアートブックが出来上がったと思っています。」
・ベスト9
ESECANの3名がそれぞれ3枚ずつアートブックの中からお気に入りやこだわりの写真を選んで紹介してくれる「ベスト9」のコーナー。
中澤さんチョイス① SCENE09 P.130-131(犬との写真)
・写真に写っているわんちゃんは中澤さんの飼い犬、あられちゃん。晴一曰く「賢い子でしたよ、自分もモデルみたいな顔して歩きよるでしょう。」
・ロケ地は北海道の某所。真っ直ぐな道が山の方まで見えなくなるくらい伸びているというロケーションが気に入って、いつか何かの機会に使いたいと思っていた場所だったそう。(筆者は出身地なのでどの真っ直ぐな道なのか知りたいところ。いっぱいあるので)
中澤さんはこういった印象的な場所を見つけると撮影用に常にストックしており、今回晴一で撮りたいと思い使うに至ったとのこと。晴一もプロ意識に感心しているようだった。
・中澤「炎上しないように道路の真ん中ではなく端の方で撮影しました(笑)」
・晴一「ほんとに犬の散歩してたら撮影が終わった。こうしてくださいああしてくださいとかもなくて、自然にしてただけで撮影が終わったのでやっぱり、プロだなぁと」
中澤さんチョイス② SCENE04 P.58-59
・アンティークショップでの撮影。
中澤「ここでの衣装は他のページと比べると、少しラフなストンとしたスタイルで、異質な感じがしますよね。逆に印象的で、その感じも気に入っています。」
晴一「ここでもふーんて家具見てたら終わったなあ。あのタイプライターは非売品なんでしたっけ?」
中澤「そうです。普段は展示用のものを、撮影用に特別にお貸ししていただきました。売り物ではないので、皆さんが訪れた際にも見ることができると思いますよ。」
中澤さんチョイス③ SCENE P.44-45
晴一「これも、中華食べてたら終わったなぁ。いい仕事ですよね(笑)」
中澤「ここは僕の友人がやっている、池尻大橋にある『鶏舎』というお店で、店内をお借りして撮影しました。今回、晴一さん以外の人物の被写体が映っているのはこのシーンだけで、それもポイントですね。始めは普通に撮っていたんですけど、店内を魚眼で撮ったら面白いんじゃないかと思い、実際撮ってみると変わっていていい感じになったので、それでいくことになりました。」
吉田「フォントにもこだわりがあるとのことですが。」
松尾「そうですね。今回写真に合わせて円形に文字を配置しているんですけど、本稿の詩をいただくまでは自分でラフを作っているのですが、晴一さんから出来上がった原稿をいただいた際にこの配置とフォントになりました。このフォントは、ひらがなの部分のみアメリカで作られた『Eiko』というフォントで、日本人が見ると少し違和感のあるような独特の形をしているんです。漢字と合わせて2種類のフォントを使うことで、パッと見た時に少し変わった感じに見えるのが楽しめたらいいなと思ってあえてそうしています。」(説明を受けて「えー!見たい。見よ。…みんなも今すぐ確認したいじゃろ~。」と言って一人で手元のアートブックを確認する晴一)
晴一「違和感ですか。あれですよね、アメリカで食べるラーメンみたいな…」
松尾「まさしくその通りだと思います。またこの詩がいいですよね、力があるというか。普段晴一さんは音に対して言葉をつけることをされていると思いますが、今回は晴一さんからもらった言葉をもとに、僕がタイポグラフィーでそれを表現するというようなことができたんじゃないかなと思います。」
晴一「でも自分の写真に詩をつけるのって、まぁ広がらないんよ。風景や花につけるのとは違って。だからすごく困った。それでも、撮って下さった写真の力にひっぱられて、なんとか言葉が出てきたという感じですよね。」
中村さんチョイス① SCENE10 P.144-145
バーカウンターでの1枚。
晴一「これいいですよね。背中がこう……哀愁というか。」
中澤「ポイントは、グラスの横のキーチェーンです。物語性を出すというか…」
晴一「ああ!そろそろ帰ろうか、帰らまぁかみたいなことですか?いいですねー。」
ここで面白いやりとりが。
晴一「このバーは、移転前のアミューズ本社があったビルの向かいにあったんよね。移転前のアミューズはわかる?」
吉田「本社のビルですよね?わかります!」
晴一「“御社”?(聞き間違い)君もアミューズなんだからおかしいじゃん、“弊社”ね。…アミューズなんでしょ?」
吉田「はい、アミューズです!」
伝わっていたのかいなかったのかわからないけどニコニコして聞き流した吉田さんはえらい
晴一「昔から仕事のあとに集まって打ち上げとかもよくしていたバーなので、なかなか思い出深い場所での撮影でしたね。まぁ当時はこんないいカウンターじゃなくて、この手前にあるボックス席ではしゃいでたんですけど(笑)」
中村さんチョイス② SCENE10 P.102-103
ページいっぱいの横顔が印象的な、晴一のアトリエでの1枚。
中村「これは晴一さんのアトリエで撮影させていただいた一枚です。とても光の入り方が良いアトリエだったので、どうにかそれを活かせないかと思って陰影にもこだわりました。今回のアートブックでは、階調…光と影のグラデーションにすごくこだわっていて、例えばこの黒い部分を表現するのに、通常だと1色で表現するところを、黒だけで4色使って濃淡を表現しています。白黒写真でも、そういった色調の違いも楽しんでもらいたいです。」
吉田「黒だけで4色ですか!」
中澤「今回は印刷にもこだわりましたので、僕らの業界では有名な印刷所にお願いしました。」
吉田「とても印象的な一枚ですよね。晴一さんは何か感想などありますか?」
晴一「いや~~~言うても自分の横顔ですからね……」
吉田「そんなことありませんよ~!まつ毛もいっぱい生えてらして…(盛り上がる客席)まるで少年のようにも見える素敵なお写真ですよね!」
晴一「(照)」
中村「今回のアートブックは、撮影した写真はほとんど質感とかをいじってないんですよ。極力、晴一さんのありのままを映したものになるようにしたかったので、加工とかはほとんどしていないですね。そういう点にも注目して楽しんでいただけたらと思います。」
中村さんチョイス③ SCENE01 P.22-23
有明アリーナでの一枚。
晴一「この間のツアーの時のね。」
中村「これは実際のステージ上で撮ったやつですね。やはり晴一さんはギタリストですから、そういう写真も撮っておきたいなと。ライブ前だったんですけど、スタッフさんや照明さんにも協力してもらって、このような写真を撮ることができました。」
吉田「この写真では何かこだわっているところはありますか?」
中村「これはですね、レンズが少し違ったものになっていて。ウクライナ製のシルバーのレンズを使っているんですよ。注文してから3ヵ月ほど待って届いたんですけど、それも今回の撮影でどこかに使いたいなと思っていて。撮影ではウクライナレンズって呼んでましたけど」
晴一「ウクライナレンズにも特色とかはやっぱあるんですか?」
中村「実はこのレンズは、映画などを撮るときに使う動画用のレンズなんですね。シネマ用の。だから、クリアに映すというよりは、味が出るというか、色味に味わいが出る感じなんですよね。このシャシャーっと、シャワーみたいに入った光なんかも、このレンズならではの効果なんですよね。」
晴一「面白いですよね。撮影中も出てくると『ウクライナレンズだ!』ってなってましたもんね。この有明の写真はウクライナレンズで撮ってるんだなーと思いながら見るといいと。」
松尾さんチョイス① SCENE11 P.154-155
海のポラロイド。
松尾「このページはまずデザインも少し変えていて、今まで1枚や2枚の裁ち落としなどが多くなっていたのを、4枚並べて余白も大きくして。先ほども話に出たように、印刷もこだわっていますからここでも黒を使用して。」
吉田「4色使っているという黒ですね。」
松尾「アートブックに使用している写真はデジタルのものが多いんですけど、このシーンではあえてポラロイドを使用しています。」
晴一「いわゆるフィルム写真ですよね。」
松尾「そうなんです。実は、ポラロイドのフィルムって名前の通りポラロイド社が制作していたんですけど、流通していたフィルムは2008年頃に製造をやめてしまったんですね。なので、これは手元にあった現存しているフィルムを使用したものなんです。」
晴一「そんな貴重なものを使ってくれたんですね。」
松尾「ところどころ写真に欠けや焼けているような部分があると思うんですけど、これは加工じゃなくてフィルムが劣化していたのが現像した時に出てきたんですね。そういうアナログ感みたいなことも感じてもらえたらいいなと思いまして。」
晴一「時の流れとか、古びていくとか、そういうことですよね。」
松尾「はい。読者のみなさんの気持ちが動いてくれたらなと。」
松尾さんチョイス② SCENE05 P.78-79
今回のイベントの会場でもある三越劇場での写真。
松尾「この劇場の雰囲気がまず良いですよね。下見に来た時から圧倒されて、照明の光や繊細な彫刻ですとか、大理石の質感とかを、なるべく残せるようにしたいなと思いました。現代にはなかなか無いですよね。」
晴一「歴史のある建物ですからね。ここの劇場って、日本で初めてエアコン?ですよね?がついた劇場なんじゃって。」
吉田「(袖に確認?して)空調施設が初めてついた劇場とのことですよ!」
晴一「じゃろ?あともう一つ言っていいですか?ごめんなさいねすぐ言いたがって。でもこういう話するのが一番気持ちいいんだから!(楽しそうな晴一)ここの劇場の2階があるじゃろう、皆さん座ってると思いますけど。低くないですか?でもその低いのには訳があって、当時の日本人の平均身長が今より低かったからなんですって!!」
松尾「空間の階調もすごく良いので、晴一さんの衣装にもこだわりました。」
晴一「ここ(2階の手すり)ほんとは座っちゃダメですからね。撮影だから特別に座ってるんです!」
松尾さんチョイス③ SCENE02 P.32-33
詩が書いてあるページの晴一と花のフィルム。
松尾「これもフィルムで撮った写真ですね。実は元々デジタル写真を採用していたんですけど、アートブックの写真の配置を全て決めた後に、やっぱりフィルムの写真も入れたいなということで、撮影していたものと入れ替えました。なので、使わなかった写真もたくさんあります。」
3人の写真解説が終わったところで、次のコーナーへ。
晴一のスマホ写真ベスト5
吉田「新藤さんにもアートブックから選んでいただこうと思ったのですが、お話していてもおわかりの通り新藤さんは大変シャイで照れ屋さんでおられますので(わかる)、ご自身の写真を選ぶのではなく、新藤さんのスマートフォンの中に入っているものからお気に入りの写真をご紹介していただくことにしました!」
①キャンプ場の景色
晴一「これは西湖のキャンプ場ですね。さっきアミューズの話が出ましたけど、今の本社が山梨県にあって、その向かい側にこのキャンプ場があるんですけど。僕あんまりスマホで写真って撮らないんですけど、やっぱこういう風景では撮りたくなりますよね。朝起きてその辺歩いてて…綺麗だな~て1枚撮る、みたいな感じですね。」
②開演前の横浜スタジアムの客席
映った瞬間会場からワァ~…!と感嘆の声が上がり、やっぱりみんなライブの空間が好きなんだな…という一体感があった。
晴一「これはこの間の横浜スタジアムの写真ですね。……なんでこんな写真撮ったんじゃろうな?」
吉田「やっぱりライブ会場によって空気とかは違うんですか?」
晴一「そうですね。横浜スタジアムは好きですね。やってて気持ちがいいんですよ。客席も近くて。それこそ東京ドームなんかは……たまーに、たまーにですよ?やったりするんですけど、お客さんとの距離が凄く遠いんですよ。言ったら、野球場でライブやらせてもらってるみたいな。横浜スタジアムはそれと比べると、ライブハウスみたいな……ライブハウスじゃないな、でもライブ会場でやっているという感じがして、好きですね。はい。……雨が降らなければ!」
③料理の写真(食べかけ)
晴一「食べる前に撮ればよかったんですけどね(笑)。これは作ったんです。今、料理教室に通ってて。」
吉田「ええ~!?」
晴一「これはなんだったかな……魚料理と、なんかのポタージュと…思い出せないですけど。料理ってどうやったら上手く撮れるんですかね?」
中村「照明とかですかねぇ。」
晴一「どうしてもメニューの写真みたいな、綺麗な写真が撮れなくて。やっぱり、食べさしなんが良くないんかなあ(笑)。」
④料理の写真(いなり寿司)
晴一「これも自分で作ったやつですね。」
吉田「いなり寿司をご自分で!?」
晴一「ホームパーティーとかやる時に、最近ケークサレとかも作るんですけど、ちょっと遠いじゃないですか。なんか、こう……手土産として。いなり寿司ってちょうどいいんですよ。普段お店とかでしか買わんじゃろう?」
吉田「作ったことないです!」
新藤「いなり寿司を手作りするっていう。それがいいんですよ。」
吉田「2種類ありますね。ゴマがついてるのとついてないのと…」
新藤「ゴマが点いてる方が、柚子が入ってます。」
吉田「ええ~!?おしゃれですね!!」
新藤「これが気持ちええんよな~(笑)。作ったの~!?ていう。」
個人的にはいなり寿司は実家で手作りを食べるものだったので、へえ~という気持ちだった。
⑤ビールを飲んでいる自撮り
めっちゃ下から撮った写真。
晴一「これはハワイに行った時のですね。ハワイだよね?」
多分マネージャー「(首を横に振る)」
晴一「え!?ハワイじゃろ!だってほら、ゴルフの時じゃろう。ハワイよな!?」
ちょっと確認作業があり、ハワイと確定。(晴一「やっぱハワイじゃん!」)
いいスコアが取れてウキウキでビール飲んでて、自撮りもしちゃうよねみたいな話をしていた。
・質問コーナー
吉田「ここにいる、物凄い高倍率をくぐり抜けてイベントに当選した物凄~く運のいい皆様(今回これが強調されていた)の中には、各地からいらっしゃった方もいると思いますが、皆様はどの辺りからお越しになられましたか?」
一番遠いところをリサーチしていると、沖縄から来た人を発見。
吉田「せっかくなので、何か新藤さんに聞きたいことなどはありますか?」
ぬるっと始まった質問タイムに会場が「!?」で包まれた。そんな機会があると思っていなかった。
①沖縄からのお客さん
女性「あっ、えっ、いつも応援しています…!!」
晴一「ありがとうございます!」
突然すぎて言葉を失っていたお客さんが可愛らしかった。晴一も笑顔で応対。
次は年代の質問で、10代、20代、30代、40代以上の調査。30代が一番多かったと思うが、10代の人もそこそこいたのが個人的にびっくりした。
ここから挙手制に。
②10代のお客さん
女性「晴一さんは喩えがとても上手だなと思っていて、さっきの『アメリカで食べるラーメン』とか、ラジオのお話や歌詞を見ててもすごいなと思っていて、そういう喩えが上手くできるコツとかはありますか?」
晴一「ありがとうございます。喩えか……う~ん、コツっていうのとは違うかもしれないけど、エンタメっていうのはほとんどが”喩え話”だと思ってて。例えばじゃけど写真家の人が工場の写真を撮って、作品になったとして、それは工場そのものを見せたいというより、その写真を通して何かを伝えたいと思って撮ってるわけじゃん。大げさに言うと、例えば工場の景色から見えてくる人間模様とか、社会とか、愛とかの話になってくる。ゴッホも『ひまわり』を描きたかったわけじゃなくて、そこには何か別の思いがあっただろうし、歌詞も本当のことだけを書いてるわけじゃないし。喩えとか、比喩とか、それが、エンタメの基本ものだと思っています。回答になっているかはわからないけど、そういうことなんです!!」
③10代のお客さん その2
男性「晴一さん、エルニーニョ!!」
晴一「…あっ!ラニーニャ!」
男性「ありがとうございます!!これだけやりたくて…」
アートブックの中の詩から引用したやり取り。
男性「僕は最近ギターを始めました!晴一さんに憧れてるので!!」
晴一「いいね~、その勢いがあれば大丈夫よ!」
④挙手で当てられたお客さん
女性「アートブックの発売にあたって身近な人からの反応はありましたか?例えば、昭仁さんとか…」
晴一「岡野くんは見とらん!(即答)まあ、こういう職業ですから、親しい友人からは見たよ~みたいなことを言われるわけですよ。でも普段はわざわざカッコいいね~なんて言わないような人たちですよ、それでも、このアートブックに関しては、みんなかなり『良かった』と言ってくれましたね。」
・ノートに書かれた詩の紹介
アートブックの発売に伴い開催されたタワレコでの展示において、好きな写真を選んでそこにオリジナルの詩を書いてみましょうという企画があった。それを実際に晴一が見て、良いと感じて選出した作品を紹介するコーナー。(詩の内容についてはニュアンスでしか覚えていないので割愛します)
①ギターの詩
晴一「『あんな大きいステージによく立てるね』って言われることもありますが、ギターがあってこそですからね。あんなところに立てるのは。でもありますよね、ステージの上に魔物が住むっていうことは。長年連れ添ったギターでもね、裏切る時もあります。まぁ、大体自分のせいなんだけどね。」
②満たされる心の詩
晴一「これいいですよね。対比の表現というか。酒で頭は無になるけど満たされるのは心……僕もよく使う手法でもありますね。ポルノの歌詞とかで。いいですね。」
③深呼吸の詩
晴一「これも良いですよね。吸うばっかりじゃなく吐いた方がいいみたいな話はよく言いますよね。それで言うと僕は吸いっぱなしなんだけど。」
全てのコーナーが終わり、最後に軽く挨拶。
ESECANさんは、次のアートブックの構想がうっすら見えているそう。
晴一「次のモデルとかって決まってるんですか?」
中澤「まぁ、ちょっと…」
晴一「(ハッとして)岡野くんじゃないですよね!?それだと普通になっちゃうし。違いますよね!?」
晴一はボーカルだから昭仁がピックアップされるのは普通、的なことを冒頭でも言っていたけど、個人的には晴一が特集された別冊ギタマガや今回のアートブック的なものも昭仁のやつが欲しいと熱望している。
・全体を通して
まさか当選するとは思っていませんでした。30分くらいのちょっとしたイベントかなと思っていたら、想像よりガッツリとトークが聞けてとても良かったです。ESECANの方々の開設で作品についても理解が深まり、更に楽しめる1冊となりました。ライブ以外での晴一を見るのは初めてだったので、登場するまでは謎に緊張していたけど、話始めると晴一だなぁという感じがしてなんだかホッとしたのを覚えています。手書きサインも長年ファンをやっていて初めて手に入れたので、宝物になりました。今回の作品についてだけではなく、晴一の創作やエンタメに対する姿勢の話まで聞くことができて、充実したイベントでした。すごく楽しかったです!
おしまい。