【円盤感想】1秒も参加できなかったライブのDVDを見た【ポルノグラフィティ】

2ヶ月ほど前、ポルノグラフィティの『12th LIVE CIRCUIT "PANORAMA×42" SPECIAL LIVE PACKAGE』というライブDVDを、初めて最後まで観た。

 

このDVDは2013年4月に発売されたもので、つまり私はこれを約7年放置してから見たことになる。

意図的に放置したというよりかは、購入した当時、全く見る気になれなかったのでそのままにしていた、と言う方が正しい。

 

今まで散々書いてきている通り、大好きなバンドであるはずのポルノのDVDなのに、なぜそんなことになったのか。それには個人的な深い理由がある。

 

1.一度も行けなかったツアー(2012年)

『12th LIVE CIRCUIT "PANORAMA×42"ツアー』(以下『パノラマツアー』)は、ポルノグラフィティの8thアルバム『PANORAMA PORNO』の楽曲をセットリストの主軸として、2012年7月13日から12月27日にかけて開催されたライブツアーである。

"今までツアーで行ったことがない都市を訪れる"をテーマに、全国各地を細かく回り、約半年という長いスパンで演出やセットリストを微調整し、より良いステージにブラッシュアップされ、更にホール公演とアリーナ公演に分かれた演出も素晴らしいツアーだったようだ。

 

なぜ伝聞調なのかというと、私はこのツアーに一度も行っていないからである。勿論、彼らは私の地元にも来ている。3都市4公演もやっている。しかし私は行っていない。行けなかったのである。

 

行けなかった理由については詳しく書けないが、簡潔にいうと、『開催日が全て平日・会場から遠く離れたド田舎に住んでいる・休みを取れない状況』、これらが全て重なった結果起こった事態だった。

今考えても、あの時こうしてれば…みたいなことでもなく、逆立ちしても行けない状況だったと思う。逆立ちしながら玉乗りしつつ縄跳びをするくらいの無理が必要だった。

 

ポルノグラフィティのライブツアーに行けなかった。

 

このことは、大袈裟でもなんでもなく、私の人生において非常に重大な出来事であった。

私にとってポルノグラフィティとは、生きる意味の一つで、好きになってからのツアーは必ず毎回参加していた。最初の頃はまだ子どもだったし、地方住みだった私には、遠征はおろか複数参加にもまるで縁がなかった。しかし、その時のお金で買えるだけのグッズと、参加できた一公演分の幸せを噛みしめて、また次のライブのためにがんばって生きよう、お金を貯めよう、次の新曲楽しみだなと思いを馳せる、それを何年も繰り返していた。

 

特に『ツアー』においては、東京や横浜で行われる『ロマンスポルノ(何年かに一回開かれる大きな会場でのお祭り的なライブ)』とは違い、地元に来てくれるというのが大きく、当時の私にとってはツアーがライブに参加できる唯一のチャンスだった。次行けばいいじゃんとか、そんな気軽な気持ちではいられないくらい、自分にとって非常に大切な人生のビッグイベントだった。

年に一回でも、ライブに行くことは私にとってほぼ当たり前の出来事で、"行かない"とか"行けない"とか、そういうことを考えるような次元の存在ではなかった。

 

しかし……自分が行き始めてから、初めてツアーに参加できなくなってしまった。

 

2.感情に蓋をした時期(2012年~2013年)

「行けない」と判明した時は、それほどショックで泣いたりとかはしてなくて、ただ『ああ、私、これ行けないのか…………可哀想に』と、自分を謎の俯瞰視点で見ていたのを覚えている。本当に実感がなくて、ふーーん……そっか……みたいな気持ちだった。

 

ただ、後になって「行けない」という事実に悲しみの気配がふつふつと遅れてやってきた時、いや正確には、悲しみが本腰を入れて襲ってくる前に、私は感情に蓋をした。

 

まず、「アルバムツアーだもんな。どうせ行けないなら、聴く意味ないじゃん」と、同年3月に発売された新アルバム『PANORAMA PORNO』を聴くのをパッタリやめた。よって、このアルバムが人生の中で一番聴いていないアルバムになってしまった。極端だと思われるかもしれないが、この曲聴きたかったな、これやるのかな、という想いを巡らせること自体が無意味だと感じてしまったのだ。

 

そしてそれに引きずられるように、ポルノに関する情報を見るのをやめた。この頃はちょうど新しい環境に身を置いていて、新たに関わり始めた様々な他人の趣味嗜好に触れていたこともあって、世の中にはこんな素敵なものがあったのか〜と新鮮な発見をしていた時だった。なので、私はあえてそちらの新しい世界に飛び込むことを優先した。

追い打ちをかけるように、そのツアー前にあったファンクラブイベントにも当然のごとく行くことが出来ず、更に重くて大きな蓋をする羽目になった。

 

考えたら辛くなるだけだから、どうせ行けないイベントやツアーのことなんて忘れてしまおう。

そう思い続けながら数ヶ月経ち、本来ならばライブがあった日にも、上記の通り私は忙しかったため、特に凹むことなく過ごしていたと思う。 

ライブ会場が遠い、と書いたが、無理すれば行けたのでは?と思う人もいるかもしれない。しかし、当時私が住んでいた地域は、一番近い会場に行くにも特急5時間、バスだと7時間程かかったため、思い切って行ってしまおう!とか考えられる距離ではなかった。開催が休日ならまだチャンスがあったのかもしれないが、突発的に行こうとかはそもそも思わなかった。

……このように、何回も『無理だったんだよ』と自分に言い聞かせる必要があるくらい、忘れたつもりでも全然忘れられていなかった。心の表面は綺麗でも、中はグズグズのボロボロになっていたのだ。

 

3.「DVDだけでも買ったほうが良いよ!!」(2013年)

そしてツアーが終わり、終わったことにすら関心を持たないくらいポルノに無感情になっていた頃、久しぶりに会う友人(ポルノ好き、ほどほどに仲良し、違う土地に住んでいる)と話す機会があった。

 

「パノラマツアー行った?めっちゃ良かったよね!」

「ああ、それ行けてなくて…」

「え?!行ってないの?!そんな……あんなにいいツアーだったのに?!」

 

そんなことはわかっている。ポルノグラフィティのライブが悪いことなんてない。少し傷ついている私をよそに友人はこう続けた。

 

「行ってないんだったら、せめてDVDだけでも買うべき。本当に買うべき!!映像だけでも見てほしい。知ってる?初回特典にツアーのライブCDがついてるんだよ。こんなの今まで無かったよね?!絶対買わないと後悔するって!!

 

私は、ライブでも舞台でも、自分が見ていない公演の映像をあまり買おうと思わないタイプなので、好きになる前の昔の公演や、参加したことがない大きなライブのDVDは持っていない。尚更パノラマツアーのDVDなんて買う気も起きなかったし、ファンクラブ会報のライブレポもほとんど読んでいなかった。パノラマツアーという存在自体から自分を遠ざけることで、ずっと自分を守っていた。

しかし、友人の力説が妙に心に残った。「映像でいいから見てほしい」と言えるような、そこまで押してくるほど良いライブだったというのは、確かに気になるかもしれない。

 

こうして私は、なんとなくその友人の後押しが忘れられずに、まんまと行ってもないライブのDVDを買った。しかもきっちり初回盤で。正直聴けるかどうかは別として、ライブCDが魅力的だったというのはある。

 

……しかし、それ以来、パッケージを開けることはなかった。やはりどうしても、見る気にはなれなかった。

まあ、いつか見るかもしれない。そんな曖昧な気持ちで、封を切ることすらなく棚に並べて終わっていた。

 

 

4.一度目の挫折、そして(2017年~2020年)

開封で放置されたパノラマツアーのDVD。

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その存在を思い出したのは、2017年に開催された『”BUTTERFLY EFFECT”ツアー』を見た後のことだった。

 

『BUTTERFLY EFFECT』というツアーは、このブログを始めようと思ったそもそものきっかけになるくらい強烈な印象を残した公演で、ファンとして新しく生まれ直したような気持ちになれた素晴らしいものだった。

 

「こんな素敵でハイなモチベーションを持ってる今なら、あのDVDを見ることができるかもしれない。」

そう思い立った私は、初めてパッケージを開封した。

 

結果としては……………見ることができなかった。

正確には、見たのだけれど、途中でやめてしまった。

もう、これは無理だと思った。理由は後述するが、見ている途中で本当に泣き崩れてしまい、この映像の続きは一生見られないかもしれないとさえ思った。

それが2018年の出来事である。

 

更に2年後の2020年。

6月頃、SNS上で数少ないポルノの話ができる方々と話している時に、何気なく「いや~まだ見れてないんですよね~」とパノラマツアーのDVDの話をした。

 

「まだパノラマ見てなかったんですか?!」

「えっ見るのやめちゃったんですか?!」

「絶対見た方がいいですよ…!」

 

口を揃えて言われた。

でも、どうしても見られない、ひとりで見ると、また同じことを繰り返してしまう気がする、誰か一緒に見てほしい…………と泣き言を言っていると、見かねた1人のフォロワーさんが「それなら、会えないけれど私と同時上映(タイミングを合わせて一緒に再生する)をしましょう。」と言ってくれた。

 

非常に冗長な前置きとなったが、ここまでの長い長い経緯を経て、人の力を借りてやっと最後まで見ることができたのである。

なぜ今2012年のDVDを見たのか、どういう気持ちで見たのか、その全てを書いておかねば意味がないと思ったし、自分の心の変遷を残したいと思ってこれを書いている。

 

以下にDVDの感想を書いておくが、

先に言わせてほしい。最高だった。

 

 

 

5.『12th LIVE CIRCUIT "PANORAMA×42" SPECIAL LIVE PACKAGE』感想

2013年4月3日発売 収録公演:2012年12月18~19日 横浜アリーナ会場

※既製品の感想なので、MC等の細かい内容については省きます。

 

 

M1 メリーゴーラウンド

今回のオープニングは、登場までに特に凝った演出はなく、2人がただ出てきてセッションを始めるというシンプルなものだったらしい。唐突に2人がステージ上に現れてからの映像が始まるのでびっくりした。こういうオープニングも最近は減ったので逆に新鮮な気持ちになる。

この『メリーゴーラウンド』では、非常に珍しい昭仁のギターソロが聴ける。ポルノグラフィティのギタリストは新藤晴一だが、昭仁もギターが上手いとプロの方に言われている。早速これを見ていない悔しさを噛み締めることとなった。

 

M2 2012Spark

イントロがアルバムver.の長いやつでめちゃくちゃカッコいい。生で聴いたことがない曲の一つなのでいつか聴きたい。転調があって最初からかなりタイトな選曲。最初から飛ばしてるけど、ライブCDの怪獣みたいな無理やり出してる感じも好き。今だったらもっと軽々とハイトーンを出すんだろうなと思う。

本ツアーでは、サポートメンバーにまだヴァイオリニストのNAOTOさんがいるので、生ストリングスの音がよくわかる。そしてアリーナ公演なのでカルテットがおり、CDより音に厚みがある。

 

M3 やがて哀しきロックンロール

カップリング枠で『9.9㎡』と入れ替えだった曲。地元公演ではそっちをやっていたらしい。冒頭、Aメロ歌い出しの《あれは十四五の頃 色も恋も遠い》でスッと降りてくる4本のオレンジ色のライトが非常にカッコいい。ライトの演出が派手で見応えがあり、全体的に明るい雰囲気のツアーなように思う。

 

M4 ネオメロドラマティック

まさかのファンクアレンジ。この曲をこういうダンスアレンジにしよう!ってなったのがすごい。そして出来ちゃうポルノチームがすごい。『ジャンルに囚われない』というのは本当に強みだと思う。ポルノはディスコとかの持つ華やかさ、ダンサブルな曲も妙に似合う傾向がある。それが非常に上手く活きている感じ。何回も書くけどストリングスが効いてる。原曲とはまた違う艶っぽい魅力。

サブモニターの映像からシームレスにステージに切り替わる編集がオシャレ。前フリのオリジナルコーレス曲がアガる。

 

M5 はなむけ

MCが挟まり、架空のグラスを持って乾杯するという恒例イベントがあったようだ。やりたかった。ハッピーなメロディなのにどこかほろ苦さを感じる不思議な曲。

嗚呼 青春それはまるで爪痕 愛でるよりもヘビー

涙で流すには遙かで 笑うには誠実すぎた日々よ

この歌詞が本当に突き刺さる年齢になってきた。

聴けなかったこととは別に悔しいことといえば、ビールの美味しさがもっとわかる人間でありたかったというところだろうか。

途中のカンパーイ!コールが楽しそう。

 

M6 星球

日常から離れた一瞬の煌めきをくれる素敵な時間を歌った、正に"ライブ"の曲。ライブだけではなく、大切で幸せな、自分にとっての非日常を感じさせてくれる時間を持っている人は多いはずだ。明るいけど切ない、楽しい時間はいずれ終わりを迎えるから一層輝く、文字通りの永遠なんてないと知っているからこそ泣けてきてしまう曲。

そこまでハイテンションな曲ではないけど意外にもジャンプを煽るなど結構盛り上がってて楽しそう。

アッパーな曲ではないはずなのに、この妙にドキドキして涙が出そうになる感覚はなんだろう。メロディの大人っぽさがそうさせるのか、参加できなかった自分の気持ちがそうさせるのか。

「飛んで、跳ねて、手拍子して!」という昭仁の煽り。本当に楽しそう。

 

M7 素敵すぎてしまった

あの夜が夢のように少し素敵すぎてしまった

そうか これはその罰だろう 夢を見終えた暗闇なんだろう

アルバムと同じ流れでこの曲へ。

私はこれを聴いて、一回目の円盤視聴を挫折した。

この曲は、具体的には描かれていないが漠然とした"後悔"や、もうあの時に戻れないという寂寞感がテーマになっている。

しかし、楽しい記憶に縛られて動けなくなる、そのあとに残る切なさすら得られない自分を呪ってしまい、号泣してやめた。

今回も、やっぱり泣けて泣けて顔がグシャグシャになりながら見たけど、なんとかこらえた。

《夢を見終えた暗闇》を私も感じたかった。私は夢すら見ていないのだ。

「素敵すぎてしまった」はずの、あの夜の記憶が私には無い。どんなに心満たされる何かを手に入れたとしても、このツアーには行けないし、このステージの記憶が私の細胞に刻まれることはもう、ありえない。そんな思いは二度としたくない。絶対なんて言葉はないかもしれないけど、出来る限り自分がポルノに触れていられる時間を長くしたい。その決意と後悔で満たされる流れだった。

 

M8 シスター

ここからステージの構成が変わり、メンバーによる打楽器と弦楽器、アコーディオンのセッションが始まる。雰囲気はまるで異国の集落のようで、小さな円筒型のランプがステージ上にいくつも置かれていて、焚き火を囲んでいるようなあたたかな光につつまれている。晴一は珍しく座ってギターを弾いていて、なんだかさすらいの”流し”みたいでちょっとカッコいい。昭仁も歌いながら太鼓を叩いていて、視覚的にも楽しいステージ。

 

M9 EXIT

そのままの流れで原曲とはガラッと雰囲気を変えたフォルクローレ調のアレンジ。アコーディオンカスタネットカホンの音色が耳に心地いい。昭仁の歌声はここまでガッツリ異国情緒を感じさせる曲調が逆に合ってる。キーは半音下げで、テンポも落として少し大人っぽい感じに。

 

M10 ゆきのいろ

 

殴り書きのままだった僕の未来までも

とても意味があるような気持ちになる

今 君がいるだけで 全部がうまくいきそうで

進んでゆける

 

あまりの衝撃に絶句した。

このツアーのアレンジの『ゆきのいろ』は物凄くいい、という話は知っていたものの、改めて自分で聴くと、ここまで印象が変わるのかと衝撃を受けた。

アカペラでいきなりサビから始まるアレンジ。原曲では感じるのことのできないパンチ力を持ってこちらに投げかけられる言葉。このアレンジで売り出してくれれば、少しはファンのリアクションも違ったかもしれない。というのも、このシングルの発売日が私の誕生日だったのだけれど、「良い曲だけど、地味だなぁ~…」と思った記憶がある。その頃は正にCDを聴いていなかった時期なので、余計に聴いていなかった。

だけど、この映像を見て、『ゆきのいろ』が本当に好きになった。雪国育ちなので、好きになれて嬉しい。

 

M11 Truly

晴一によるインスト。本来であれば『光のストーリー』へと繋がるあたたかいメロディで優しく紡がれる曲だが、途中、雰囲気は一変して物々しく激しいアレンジとなる。安心してゲームを進めていたら全く別ルートに突入してしまった気持ちになってゾクゾクした。

 

M12 カシオペヤの後悔

その流れで始まったのは、キーボードの康兵さんによるピアノイントロ。フックだらけで少し癖のあるこの曲も、浮くことなくその存在感を大いに示していた。こんなダークでカッコいい曲がアルバムツアー以外では埋もれてしまうのがもったいないので、今後のツアーでもやってほしい。

ドラム、ベース、ピアノ、ギターとリフが続いていく長い間奏も、途中の三拍子になるパートも、神話をモチーフとしたこの曲の神聖な空気を醸し出していて、ツアーの雰囲気にも合っている。ギターの音色が変わるのも晴一のこだわりのエフェクター芸といった感じか。

 

M13 FLAG

アルバムより少し長めのギターによるイントロ。編曲者の康兵さんが「これはどんなイメージのアレンジ?」と聞かれて「ポルノっぽいアレンジです。」と答えたエピソードが好きなのだが、その言葉通り、ロックとストリングスが上手い具合にマッチした、重厚さの中に緊張感のある曲になっている。ストレートにカッコいい、でも少しクセのある展開。間奏終わりのギターユニゾンが気持ちいい。

「笑っていられる時間を 今!」と私も言われたかった。昭仁がライブの中で「今」という歌詞を強調するのが好きなのだ。

昭仁の書いた歌詞の

運命を共にする僕らに それぞれ背負う旗があるとして

どんな色でも 変な形でもそれぞれ素直に讃えあえること

例えば何も書いてない白い旗でも

 という最後のフレーズがとても好きだ。優しく、受け入れられているような気持ちになれる。

 

M13 電光石火

ベースの歪んだフレーズからそのままこの曲へ入り、客のテンションが振り切れる。縦横無尽にステージから伸びる花道を走り回り始める昭仁。サビの入りでは特大のジャンプまで。ライブCDの音源でもそれを感じさせない安定感だったので、映像を見てここまで動いてたのか!と驚いた。「焼き付けたーーい!」という康兵さんのアドリブパート付き。本当に楽しそう。

アミュフェスで歌詞にアレンジを加えたものだけど聴けたのは嬉しかった。今後のツアーでフルでもやってほしい。

 

M14 Before Century

立て続けにお馴染みの盛り上がりタイム。今回はいつものコーレスとは別に、客に変わった手拍子をさせる時間が長い。そして珍しく「Say ho!!」といったようなポルノではあまりやらないタイプのコーレスも飛び出している。これも楽しそうとしか言いようがない。羨ましい。

 

M15 ミュージック・アワー

コーレスのまま『Century Lovers』をやる、と見せかけて別曲のパターン。私は素直にセンラバやる方が好きなので、円盤でもおっと?!となった。けどミュージック・アワーも無二の盛り上がり方をするのでライブでは特に問題はないけれど。

 

M16 Mugen

ライブCDだと『ハネウマライダー』だったので、ここが入れ替わるとは思っていなかった。同じように盛り上がるタイプの曲でも、タオル回しとはまた違う雰囲気の曲なので、挑戦的だなと思った。ハネウマと同じく、ストリングスが映えるという点では遜色なくカッコいいので、この入れ替えもアリだなと感じた。

あと、ハネウマだとかなりライブの”終わり”感が出るので、ここから更に盛り上がるよという雰囲気作りにも良いポジションの曲だと思う。

 

M17 ワンモアタイム

「まだまだ手を緩めんぞ!」との煽りからのこの曲。ワンモアタイムの冒頭でこんなに掛け合いをやるとは思っていなかった。実は、最初タオル回しを導入しようとしていたらしいけど、不評すぎてやめたというちょっとしたエピソードがある。実際やられてたら私もかなり嫌だったかもしれない。

2018年の”しまなみロマンスポルノ”で初めて生で聴いたので、ライブ映像の時系列としては新→旧と見ることとなったが、正統にアルバムツアーに組み込まれてるワンモアタイムも聴いてみたかった。

 

M18 サウダージ

ノンストップで、サビのメロをギターがワンフレーズ歌ってからのパターン。このタイプのサウダージは久しく聴いてなかったので異様にテンションが上がった。現地のテンションも凄かったのだろう。サビを弾いただけでこんなに興奮する曲があるのはやっぱり強い。ピアノが結構フックになってる気がする。アウトロのギターのメロディが好きなタイプのアレンジだった。

 

M19 メジャー

ここでまたアルバム曲。なんとも真っ当なアルバムツアーらしい構成。他の楽器と一緒に「ジャカジャアーン!」と自身を奏でる昭仁。

『メジャー』はアルバム発売前にリード曲としてテレビでも何回か披露していたので、ワクワクしながら発売を待った気持ちを思い出した。結果、ツアーには行けなくて、そのせいでパノラマポルノ自体をあんまり聴かなかったという事態に陥ったけれども。手拍子が楽しそうだからいつかまたやってほしい。

 

M20 光のストーリー

アルバムのラストナンバーでもあるこの曲。バラードで締めるツアーをしばらく経験してなかったので、ああちょっと前ってこんな感じの構成だったなぁと思った。

この曲は、個人的にはあまり得意ではないタイプの曲で(長い、甘い、重い)、パノラマポルノ自体がかなり濃厚なアルバムなので、通しで聴いててもここまで辿り着くことが少なく、ライブCDでも、わー当時の昭仁めっちゃ声出すの大変そう、というくらいの感想だった。しかし、映像を見て、『ああ、"絶唱"ってこういうことなんだ……』といたく感動してしまった。多分、生で聴いてたら絶対もっと印象が変わっていたと思う。ほとんど声が出てなかった回もあるというが、キーの高い歌い上げ系のバラードをラストに置くのは、きっと難しい挑戦だったのだろう。それでも、これを最後までやり遂げた昭仁には感服だ。

 

アンコール

EN1 カゲボウシ

『カゲボウシ』はツアー中に発売されたシングルだが、私は上記の通りポルノの活動にアンテナを張っていなかったため、実は後から買ったシングルでもある。

曲自体は、まあ、あたたかなバラードといった感じで、当時良いなぁ〜と思った記憶はあんまり無い。しかし、私が初めてカゲボウシを生で聴いたのは、先述のBUTTERFLY EFFECTツアーの弾き語りという非常に贅沢なタイミングだったので、時系列的にはこちらを後に聴くこととなってしまった。当然ながら、今の歌声の方が圧倒的に素晴らしいので、物足りなさは感じてしまう。

背景のスクリーンにこれまで訪れた土地の映像や、手書きの歌詞テロップが映っているのはいいなぁと思った。(恐らく晴一の字だが、昭仁作詞なのに何か意図があるのだろうか。)

 

EN2 瞬く星の下で

このツアー時点での最新シングル。こちらも、初めて聴いたのが2018年のしまなみロマポルだったので、大体同じような感想。東京ドームでも演奏していたが、その時に、意外とセットリストの中でも浮かず、地味すぎるわけでもなく、しっかりとした熱量のある曲だなぁと思えた。音源で聴くよりライブの方がいいというのがこの曲は顕著だと思う。

 

EN3 ジレンマ

ここ数年、アンコールの定番曲である『ジレンマ』で終わるライブが無かったので、やっぱりジレンマだよなぁ〜という気持ちになった。『ライラ』が悪いかと言われればそういうわけではないのだが、やはり何も考えず楽しく暴れて終われるジレンマの方が私は好きだ。次のツアーではぜひ復活させてほしい。

NAOTOさんのバイオリンブリッジ弾きをみて懐かしくなった。またライブに来てほしい。

それにしても非常に楽しそうなジレンマで本当に羨ましい。最後の花火のくだりは笑った。

 

最後、恒例のステージ上を2人が歩いて回るところまで収録されているのだが、あり得ないほどの引きで撮り続けているのはどうかと思った。正にアリーナ後方の視界ってこんな感じだよなとは思ったけど、円盤なんだから、その臨場感より会場ではよく見れない2人の表情とか残しておいてほしかった。

そして2人の生声挨拶があり、締め。

このDVDは、スタッフロールが挨拶の途中ではなく、別枠で最後の最後に映像と共に流れるタイプで、一本の作品を見終わった気持ちになれて良かった。最初に歌った『メリーゴーラウンド』が使われているのも、巡り巡って戻ってくるという感じがして統一感がある。

 

やっと見終わった。

長年避け続けてきたこのDVDをきちんと見ることができたのは、一重に人との新しい繋がりが生まれていたからだと思う。自分1人では絶対に見ることができなかったと思うので、本当にフォロワーさんには感謝している。

全て見終えた感想としては、冒頭でも書いたが、本当にいいライブだったんだなぁということがバシバシ伝わってきた。その一方で、やはり「これに行ってないんだなぁ」という寂しさが入り混じった気持ちにもなった。

しかし、行ってないライブのDVDを見るという体験は、自分が知らないままだったポルノグラフィティの魅力を再確認することにもなった。本当に良いライブだったし、お気に入りの円盤の一つになったので、見てよかったという気持ちの方が大きい。この後もう一度見返して、今は寂しい気持ちは全く無くなっている。

現在のポルノのライブ演出、構成の素晴らしさを知っていても、パノラマツアーは結構特殊というか、目新しさを感じる面白い公演だったと思う。

ただ、やはり歌声だけは、何回も書くが現在の昭仁の方がべらぼうに上手いので、今この曲を歌ったらどうなるんだろうとか、ここ辛そうだけど、今だとそんなことないんだろうな、と思ったりはした。「前の方が良かったな」と一切思わせない昭仁のポテンシャルの高さを再確認すると共に、パノラマツアーでしかやっていない、自分がまだ聴けていないような曲も今後生で聴けたらいいなと思った。特に『2012Spark』とか…。

 

この体験から、次のツアーに行けばいいとか、DVDを見たらいいとか、そういうことは自分にとって何の意味もないただの戯言であるということを改めて実感した。同じツアーは1つとして無いし、映像を見たところで記憶が穴埋めされることもない。

そういう心の穴を二度と生まないために、私はとにかく自分の趣味を行いやすい環境を整えることに躍起になって、色々と取捨選択してきた。そのおかげで、ありがたいことにパノラマ以降のツアーに参加できなかったことはない。今後も、何かの間違いがなければ必ずツアーに行くし、余裕があれば遠くの会場にも行くだろう。それが私にとって最高の幸せなのだ。

…と思っているが、昨年の東京ドーム以来、しばしの休憩を挟んでまた活動再開かなぁと思っていたら、このコロナ禍になってしまった。

今年は何も無しかなぁ、と思っていたら!!

 

ポルノグラフィティ オンラインライブ「REUNION」開催決定!!☆

https://www.youtube.com/watch?v=xuyEiGMHhQ8

 

やったー!!!まだ12月に開催するということしか発表されていないが、続報を待とう。

 

おしまい!