MICROWAVEでよだれが出た話【BEツアー】

 

※この記事には、ポルノグラフィティの現行ツアー「BUTTERFLY EFFECT」に関するネタバレを含みます。良ければ下からご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は普段、ツアーがあるときは地元の公演だけ見て終わってしまうんですけど、今回のツアーが衝撃的すぎて、「これは後半のセットリストも聴いておきたい!!」と思い、急きょ予定になかった山梨公演のチケットを取り、行ってきました。

(この時点で、岡野氏2度目のインフルによる公演中止が重なり、図らずも後半のセットリストを最初にやったのがこの山梨という状態でした)

その中の、前半から変わった1曲に非常に衝撃を受けたという話です。

 

10曲目の「君の愛読書がケルアックだった件」が終わり、さて次は前半だと「クリスマスのHide&Seek」だったな……映像凝ってたし、どうなんだろう。

 

「ジャッ…………ジャッ……………」

 

 

?!

 

 

「ジャッ…………ジャッ…………」

 

 

丸い球体……映像違うな。「心の真ん中に揺らぐことのない重りのようになったそれ」の映像かな?(?)

 

これはクリスマス……じゃない……!!このBGMの浮遊感、まさk

 

 

 

「ピロロロロロロロr………………」

 

 

 

ぎゃ あ  あ あああああーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!

 

 

M I C R O W A V E だ!!!!!!!!

 

 

あまりにも印象的すぎる電子音の階段。

こんな曲はまだポルノの中には多い方ではない。

思わず悲鳴を上げかけたが周りで興奮している人が少なく「ヒッ」ぐらいで飲み込む。

 

すかさず聴こえる「ペバッパ…ペバッポ…ペバッパッパァ……」という、子どものような女性の声のようなボイスサンプリング。

リズム隊がまだ無音なので、とても印象的に会場を異色の雰囲気に包み込んでいく。そして…

 

「(ズン!)ウィ(ズン!)ウィ(ズン!)ウィッウィ… ウィウィッ ウィ……」ピロロロロロ…

 

「I want a microwave newest          巡る I'll back on」

 

「温め直してほしいんだ 熱く Reheat me」

 

ペバッパ……ペバッポ……ペバッパッパァ!!

 

マジで脳みそが溶けた。

 

いや本当に、脳みそが溶ける~とか頭おかしくなる~とかは良く言われる誇張表現ではあるけど、生で聴くと本当に脳が痺れた。

そして気付いた体の違和感。

 

口の中にめちゃくちゃ唾がたまっている。

 

まさに垂涎とはこのこと、興奮しすぎていわゆる「嬉しよだれ」が出てしまっていたのである。いやこの曲ハムとかピザとか出てくるけどそういうことではなく。

音楽を聴いてこんな興奮の仕方をしたのは本当に初めてかもしれない。

 

別にこの曲がポルノの中で1番好きとかそういうことではない。

むしろアルバムの中でも1番好きかって言われるとまた違う。どちらかというと、最初は色物すぎて驚いたぐらい。

 

MICROWAVEはそもそもロックバンドの曲というより、打ち込み多用のEDM的な曲で、音源で聴いてるだけでもガツンとくるというより、フワ~と気持ちよくなるタイプ。

知らない人からしたら、イメージ的には、渋谷のマジ卍なチャンネーがいる服屋でかかってそうなやつ。渋谷のことよく知らないけど。そんな感じ。

 

そもそも「アポロ」の時点で既にシンセを多用した電子ロック的な部分はあったので、「ポルノ×エレクトロロック」に親和性があることは提示されていたのだけれど、『俺達はロックバンド』と常々言ってきたポルノにここまで振り切れた曲は今までほとんどなかった(Part time~でその片鱗はあったけど)。

印象的にボイスサンプリングとか電子音が使われてて、曲の進行もテクノっぽく同じフレーズを繰り返したり、ギターソロも流れるように進んでいき、昭仁の声も音の一部というか、トータルで「BGM的」な曲だなと思っていた。

 

でも、ライブになると、それらが本当にピタリと融合して、気持ちのいいノれる音楽になっていて、ライブ会場はさながら深夜のクラブの様相を呈した。

 

と言ってもいきなりバンドが退散してDJがやってきたわけでもなく。

人々は肩を前後に揺らし天井からはいつの間にかミラーボールが回転し手にはコップに注がれた色鮮やかな甘い酒が

となっていたわけでもない。

そこにはれっきとしたロックバンドの音楽があった。

 

昭仁のボーカルも晴一のギターも、CDで聴くのとは全く違う存在感。

薄ピンクと紫の照明も非常に鮮やかで素晴らしかった。

曲の雰囲気とそれを生で聴ける興奮、それらが集約された結果トランス状態になった結果の嬉しよだれ。

犬ではないのでダーダー垂れ流すわけにもいかず、静かに飲み込んだけど、前半でやってなかった曲の中でもMICROWAVEじゃなかったらこんなことにはならなかったと思う。

ものすごい浮遊感なのにごちゃごちゃしてなくて、しっかりしたバンドの音で晴一のギターソロもハチャメチャにカッコよかった。

 

また、この曲の昭仁のパフォーマンスがとても素晴らしかった。

 

「立ち上る炎に投げ込む いっそ My memory」

この部分の、頭から何かを抜き取って捨てる仕草が最高に痺れた。

人差し指でトントンと頭を叩いてそれを横にポイッとするのは昭仁がたまにやる仕草だけど、この曲においては何か明確に記憶媒体のようなものを捨てているように見えた。

 

そして最後の

「温めてほしい My head   My heart    My love」

この部分で、頭を差す、胸を押さえる、空中をつかむ、という仕草。

特に「love」。

この主人公は愛を失っている。だから、どこにあるかわからない愛を探して虚空をつかむしかない……ように見えた。

ハートは胸にあっても愛はない。もしくは別れた彼女の面影を探しているのか。

 

この淡々とした曲で、必要なことを大袈裟でもなくサラッと最大限にやってのけるパフォーマンス。

発表当時好き嫌いがハッキリ分かれた印象があるこの曲だけど、ライブをみて、やっぱりポルノの曲なんだ、二人がやるからMICROWAVEという曲は完成するんだとしか思えなかった。

「リアルに寄り添うフィクション」が持ち味の新藤晴一が、より単語の表現を突き詰めて、ミニマムに切り取った、灰色の情景が浮かぶ歌詞。

その新藤晴一が生み出した世界観を、バンドのフロントマンとして、声と仕草で伝える岡野昭仁

前半ツアーも素晴らしかったけど、この1曲で更に新しい衝撃をぶつけられた。

MICROWAVE、恐ろしい曲だった…………

ポルノグラフィティに完敗、そして乾杯。

 

余談:この曲の後に、森のような背景で昭仁が弾き語りをするコーナーがあるのですが、「前半はね、(曲順的に)『ふらふらと迷ってたらいつの間にか森にいました』ってコンセプトだったんじゃけども、電子レンジの曲の後に森は…………何かこれからこじつけんといかんね。(笑)」と正直に吐露していたのがまたポルノっぽいなと思いました

 

 

BUTTERFLY EFFECT(初回生産限定盤)(DVD付)

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