ポルノグラフィティ『雨』にまつわる32曲

もうすぐ梅雨の季節です。と言っても、自分はあまり縁の無い地方に住んでいます。ですが、ここ数年そうとも言えなくなってきました。夏は暑いしそれなりに雨も降ります。嫌です。

今週の土曜日、6/2に幕張メッセにて「AmuseFes」が開催されます。アミューズ所属のアーティストのみ、ポルノグラフィティPerfume、高橋優などが参加する年に1回の内輪フェスイベントとして定着しつつありますが、今回それに初めて参戦します。まあ、アミューズアーティスト自体が丸ごと好きというわけではないのですが、ポルノ目当てで気軽にチケット取りました。どんな雰囲気なのか楽しみです。

今回のAmuseFesにはコンセプトがあり、「雨男晴女」というサブタイトルがついています。アーティストがそれぞれ「雨チーム」「晴チーム」に分かれて何かしら競い合うそうです。

もちろんポルノグラフィティは雨チーム。もちろん、というのは、ポルノは自他共に認める(残念ながら)雨バンドなのです。行く土地行く土地で雨。大事なライブで雨。冬は雪。もう逆に伝説の野外豪雨ライブの映像は必見です。9月に行われる野外ライブでは雨が降らないよう祈るばかりです(しかし公式にポンチョが発売されるなど既に雨対策が行われています)。

 

そんな何かと厄介者の雨ですが、「雨」をテーマとした曲には名曲も多い(自分調べ)。今回、『雨チームということで、普段とは少し違う曲とかも披露できたら』とアミュフェス公式放送で岡野氏も話していた通り、何が聞けるのか非常に楽しみにしております。

せっかくなので、ポルノの「雨」という言葉が入った曲を簡単にまとめてみました。

 

☆シングル

サボテン

『何処にいるの?こんな雨の中 どんな言葉待ってるの?』

雨、といえばポルノでいうとこの曲が真っ先に上がりそうなサボテン。ぐずついた天気と恋愛模様、そして「水をあげすぎるとダメになる」サボテンを見事に絡めたさっぱりとしつつ哀愁漂う曲。

 

愛が呼ぶほうへ 

『償う人の背に 降り続く雨 綺麗な水をあげよう 望むまま』

「償う人」とあってもこの雨は、断罪ではなく、罪を洗い流してくれる美しい雨。天気ではなくても、こうした比喩的に使われている「雨」にも色々な意味がある。

 

Winding Road

『この雨に流されて 全てが嘘だともう一度微笑んで』

歌詞にも出てくる「時雨月」は、10月の誇称。空から落ちた雨は涙になって、心をそっと濡らす。だけど涙で流れて現れるものは真実だけ……

 

今宵、月が見えずとも

『今宵君は誰に抱かれているのか 雨に一人泣こうか』

でもこの主人公、こんなこと言って雨風しのげる屋根の下でグーグル検索しちゃうんですよ。太宰とか読んじゃうし。いっぺんザアザアと雨に打たれてみたいとは思ってるんだろう、そしてそれが現実になったとき、彼は変わる。

 

EXIT

『地上では強い雨降りだして来たんだろう 濡れた車体』

地下鉄の曲なんだけど、私自身が「地上に出る地下鉄」になじみがない田舎者のため最初は「?」となった。ただの情景描写としても捉えられるけど、この「雨」は、何か嫌なことや世間のしがらみのような物の隠喩だとも思っていて、地上の人々は濡れることを厭わず日々の生活を送っているのに、まだ地下の出口から出られず自分は濡れることを躊躇っている。そんな意味にも思える。

 

東京デスティニー

『男なら何度でも惚れた女(ひと) 守り抜く
身を呈し雨風も躙り寄った時代(とき)の炎も』

そうなんだ……って感じです(……)。「躙り寄る」の変換が地味に面倒だった。

いや読んでて恥ずかしくなってくるなこの歌詞。なんちゅうか……うん……メチャメチャにベタな展開のトレンディドラマって感じです。はい。

 

THE DAY

『決して明けない夜も 降り続けて止まない雨も このろくでもない世界にはあるんだよ』

「いつか幸せになれるよ」と言うのは簡単だが無責任だ。「辛いこともどうにもならないことも、この世にはある」と言い放つのも優しさ。そこから自分の足でどう歩くか、自分を変える「その日」になるまで、歩き続けることができる人は強い。

 

☆アルバム曲

憂色~Love is you~

『空に許された雨は キミを濡らしてから少しだけ 昨日までの痛みをそっと溶かしてゆく』

空に許された雨、というのがなんとも優しい。晴一はどこか天気というものを誰かの気紛れと捉えている節があるように感じる。


マシンガントーク

『シャワーの様に降りかかるコトバの雨に打たれていたい』

おしゃべりな彼女の発する「言葉」を比喩的に捉えた表現。2番ではこの「コトバの雨」が降り注いだ結果、海になります。


デッサン#1

『空の高いところで生まれた雨粒が、僕の足元に落ちて 今、はじけて消えてった。』

一番最後のフレーズ。見えないところから生まれた水の滴が地上に落ちてくるまでどれくらいの時間がかかるのだろう。様々な要素が混ざりあって生まれるもの、雨と同じように、愛もまた消えていく。アルバム「ロマンチスト・エゴイスト」には意外と「雨」という言葉が多かった。


愛なき……

『君は砂 僕は雨水 交わるたび澄んだ愛に変わる』

「君は砂」ってすごい表現じゃないですか?いくらなんでも砂って。綺麗なフレーズだけどこの曲自体はなんともいえないジトッ……とした汗ばむ感じの湿り気があります。


空想科学少年

『あの娘ももういらないよ 雨の中で nothing nothing』

名曲の中にも雨。悲しい雨です。つらいことがあった時に雨に降られると追い撃ちのような気持ちになる。しかしそんなことも感じたくない、心なんていらない……と少年は思っているのだ。


パレット

『雨は降り続き雲に隠れたまま 泣いている月を見つけた鳥はもう唄うのをやめてしまった』

この前のAメロが前フリになっているんですけど、何度見ても音読したくなるくらい秀逸なフレーズです。悲観的に物事を見すぎると本当にそんな風になってしまう。月は泣いているとは誰が言ったのか。鳥は唄を忘れていない。自分が聴けなくなっただけなのに。

 

元素L

『雨なら傘を 晴れたらランチを 君には毎日親密な日々を』

愛する人にとって、必要な時にそっと寄り添える存在でありたい。ごく自然な姿で。そんな小さな希望が、雨の時の傘という形で現れているように思う。

 

∠RECEIVER

『雨が家を沈め 波が町ごと浚った 奪った』

テーマが重たいものを扱っているので歌い出しから切実かつ無力さを感じさせる。自然の力は脅威だ。恵みの雨も時に暴力となる。しかし人は強く生きている。私はこの曲が好きです。

 

カシオペヤの後悔

『灼熱のプライドが激しい豪雨に打たれたように冷たい』

「激しい豪雨」って若干頭痛が痛くないですか。岡野詞の特徴だと思ってます。でもそれが尚のこと、灼熱を冷たくするほどの雨ってことが際立ってて効果的な気がします。後悔先に立たず、一時のミスで取り返しのつかないことになってサーッと血の気がひく。そんな曲。

 

wataridori

『降りだした雨は羽を濡らした 止むまで少し休もうかな』

時には辛いことから一旦逃れることも大切。雨宿りすることで何か見つかるかもしれないから。渡り鳥のように、人生という長い旅を続けるには必要な休憩もある。とても優しいこの曲からはそういった「ゆっくりでも進み続ける」というメッセージが込められているように思う。そして辿り着いたそこには、自分にとって出会うべきものが待っている。それは人かもしれない。本かもしれない。音楽かもしれない。

 

君の愛読書がケルアックだった件

『雨の冷たさを 空の高さを Don't think,feel』

 考えるな、感じろ。少し風変わりな彼女に近づくには自分も今までにはない違う感覚を持たなければ。最後に雨に打たれたのはいつだろうか。突然の大雨で傘もさせないような時って、もうどうでも良いや!って逆に楽しくなりますよね。


Fade away

『慈しみの雨が私を通りすぎたら 心の隅がまたうずき始めたの』

あまり他の曲にはない「慈しみの雨」。人に優しくされても、どうしようもなく不安で不安でたまらない。逃げてしまいたい。消えてしまいたい。自分が悪いとわかっているから優しい言葉が辛い時ってあります。

 

☆カップリング

サボテン Sonority

『何処にいるの?こんな雨の中 どんな言葉待ってたの?』

タイトルの通り、「サボテン」の後日談。メロディは同じでアレンジと歌詞が違うので、サボテンを聴いてからだとなお深みの増す曲。「待ってるの?」→「待ってたの?」

過去形……そうか……


Swing

『雨が止んで賑わう街に 君の声はもう響かない』

これも悲しい雨。止んでいるのに、乾いているのに、心が晴れていないような曲。無味乾燥で淡々とした気持ちになる。


蝙蝠

『細い雨がただあなたへと 降り続くなら』

この曲の雨は、綺麗でありながら残酷。雨は汚れを拭い去ってくれる。しかし、「あなた」に雨は降り続き、およそ突き刺さるくらいなのに、「あなた」の中にある陰りは消えない。濡れてつやつやと黒く光る蝙蝠の羽根のような曲。


ワールド☆サタデーグラフティー

『土曜日なのに雨だね ここは東京なのに1人だね』

これは単純に天気がアクセントとなっている曲。東京なのに1人でもいいけど土曜日なのに雨は嫌ですね。私はインドア大好きですが、出掛けようと思ってた時に限って雨となるとやる気をなくします。


見えない世界

『空から降りだす雨に 強すぎる風のいたずらに』

ここのパートは次々と「困難なもの」が現れてきます。「僕らが目指す理想は 月のように形を変えていくけどずっと空にはあるのだから」という歌詞が大好きなんですが、雨が降って月が見えなくなることも多々あるでしょう。だけど上を見上げるだけでも何か変わるかもしれない。

 

Hard Days,Holy Night

『雨は夜更け過ぎに何に変わるんだったっけ?』

どこかで聴いたようなフレーズ。クリスマスに深夜まで働き、彼女の元へ向かうため飛び乗るタクシーのラジオから流れているのはあの有名な……。ホワイトクリスマスが自分にとってはまるで珍しくもないので、「雪も降っていないけれど」という歌詞に当時「異常気象だ」と思った事を思い出しました。


小説のように

『永遠に雨が降り続けばいいのに』

悲しいものとして扱われがちな雨。しかしなぜ雨が降り続けばいいと主人公は願うのか。それはぜひ曲を聴いてみて頂きたい……岡野昭仁の創作恋愛系の曲で最も美しいんじゃないかと思う歌詞。展開がドラマチックなのに、歌声が澄んだように綺麗で泣きたくなる。

 
小規模な敗北

『焼け野原を冷ます雨が落ちて 青春の日が生焼けのままで』

「青春」という言葉に対して「生焼け」という言葉で返す曲ってあります?!新藤晴一よ。燃え盛る情熱も、老いと共に冷めていく。まだやりきっていないのに、もう食べられたものではないからあとはフォークでつつくだけのあの日々。雨というより「生焼け」という言葉の巧さに舌を巻く。


Rainbow

『走る 走る 時を忘れ 疲れ知らぬ 風の子たちは 雨が降れど ものともせずに まだ走る』

雨の後には虹。ベタな表現ではあるけれど、岡野昭仁が使うと等身大なポジティブさが強調されて、綺麗事ではない剥き出しの強い光を放つ。「風の子たち」って可愛い。


LIVE ON LIVE

『何度となく降り注ぐ強い雨に打たれ 痺れた足 奮い立たせて走り出した』

いつまでも、ではなく「何度となく」なのがミソな気がする。公式音源がLIVEバージョンしかない稀有な曲、情熱と泥臭さと熱狂と混乱と歓喜。雨を払い除けて続けてやってきてくれたからこそ今がある。そしてこれからも、ずっと続くと信じて……

 
Part time love affair

『声に出来ず消えていく「Why?」 降りだした雨 滲んでいく景色』

なぜ、なぜ、なぜ……それだけが主人公の心の中に浮かんでは消える。どんよりとした空模様は自分の心のよう。曇ったガラスにWhyってたくさん書いちゃったりする。「君はそうか Wのマーメイド」とか言い出すまでの過程が面白い。雨が心象風景である使い方。


夕陽の色

『雲が流れ 雨が降って また晴れを待つように 時間の流れに身を委ねた方がいいだろう』

またくどくどと説明的な岡野詞。しかし「雲が流れる=時間の経過」というのはROLLでも見受けられる表現なので、それだけじゃ足りず雨が降りまた晴れるまで、あなたを忘れるためにはそれだけの時間が必要という意味にも思える。

 

 

 

ここまで様々な「雨」の持つ意味をぐだぐたと書いてきたけど、ポルノファンが誰しも悪い天気や雨の理由を問われた時に、真っ先にこう答えるだろうという曲がある。

 

天気職人

『雨にもちゃんとした素敵な理由(わけ)がある 誰かのことを想う時にはこぼれる涙隠してくれる』

 

お空の上には、天気職人という、天気を作る人がいて、しかめっ面でひたすらに心を込めて夜のうちに明日の世界を覆う空を染め上げている。その天気によって、物語が動き出す人々。ファンシーかつハートフルな世界観のこの曲。あったけぇ~……こんなにほっこりする曲は例にないくらい、なんだか絵本のような、オムニバス小説の中の一話のような、そんな曲です。ポルノファンは大体天気職人はいるものとして話を進めているはず(自分調べ)。

雨が降っても怒っちゃだめです。それはきっと誰かの涙を隠しているのだから……

まあ普通に天気は良い方が嬉しいですけどね。しまなみロマンスポルノ、雨が降りませんように!がんばれ天気職人!アミュフェス楽しみ!

 

 

シスター

シスター