またもステージ上に残された昭仁。
昭「……わし一人よ。」
この流れは、前回のBEツアーにて行われた弾き語りと同じものである。
昭「去年のツアーに来てくれた人はわかるかもしれんけど、小鳥の声が聞こえたらわし一人になるんだって。」
そ、それは知らなかった。そういう設定になったらしい。
昭「すごいですよね。ゾンビがうおーってなってたのに、生命の象徴のような小鳥が……ギャップがすごい。」
私はその感性がなんだかたまらなく愛おしく感じた。
昭「BUTTERFLY EFFECTの時は、森の中にいるみたいなCGが使われてたのに、今回は、経費削減かな?」
なんて冗談を飛ばしつつ、本題へ入る。
昭「え~今回は、曲作りについて話していきたいと思ったんじゃけども。今まで、たくさんの曲を作ってきて、このサブスクリプションツアーをやることになって、自分たちの曲を色々と聴き返すきっかけになりまして。こんな曲あったんだ!とか、意外といいじゃん!とか。なんて未熟な曲なんだろう、この時まだまだじゃな~と思ったりもして。もちろん今も未熟ではあるんじゃけど。その中でも、『わしは一体、どうしてこの歌詞にしたんじゃろ?どうかしてたんじゃないか?』という曲がありまして。それを今からちょっとやってみたいんじゃけども。」
……この時点で、まさか、まさかな、とは思っていたのだが
「君はまた 美しくなった」
……まさかだった!!!!!
どよめく会場。かくいう私は、絶句である。何を隠そう、私はこの『見つめている』という曲の大ファンなのである。わからない人にはなんのこっちゃ、という選曲でもあるが、前フリの通り、この曲は昭仁が作詞した中でもかなり尖った部類の、いわば”変態的”な曲なのである。1サビまでのワンフレーズのみだったが、私はこの曲が聴けて感無量だった。
昭「どうかしてるでしょ?!(笑)なんて言ってたかというと、『ビーチサンダルを履いた指に挟まる、砂のように君にまとわりついて離れない、離れないぞ』って言っているの(笑)。どうかしてるでしょ?!(笑)思い返してみるとこれは、当時僕が初めて作詞(と作曲)をした曲が世に出ることになって……爪痕を残したくなっちゃったんでしょうね。『岡野昭仁、イカれてるぞ』みたいな。こんな曲も作っちゃうよ?実は自分のことかもね?みたいな。当時(『サウダージ』の発売時期、2001年頃)言葉は悪いですけど、いわゆる”ストーカー”のような言葉が流行りだしてね、それを題材にしようとがんばったわけなんですけど。……もちろん僕はこんな人間じゃないですよ?どちらかというと、爽やかな恋愛をするタイプですので(笑)」
なるほどなぁ。この曲を生みだすにあたって、作詞面でも作曲面でもかなりの苦労をしたという。そのことはちょこちょこ言われていたことなので、改めて話を聞けるとは思わなかった。作詞の際に知恵熱を出したというのも頷ける話だ。
しかし、私はやっぱりこの曲が好きなので、どうしても、勿体ないな~と思ってしまった。この弾き語りコーナーでチョロッと蔵出しのようにするということは、しばらくライブ本編に組み込む予定はないということだろう。去るジャパンツアーにおいて、このストーカーソングを真顔の棒立ちで披露し、客が引いたという噂のステージは、奇しくも映像化されていない。いつかしれっと爽やかな声で、気持ちの悪い歌詞をしれっと歌う姿が見てみたいものだ……。
「え~そうやってね、たくさんの曲を作ってきた中で、皆さんにすごく評判の良かった曲、反響が大きかった曲がありまして。あの曲聴きたいとか、好きだなって声がたくさんあって、作って良かったな、自分もやれるなって、ひとつのターニングポイントになった曲があります。それでは聴いてください。『夕陽と星空と僕』という曲です。」
M11 夕陽と星空と僕
贅沢な話で、昭仁の弾き語りで曲を聴ける機会というのは滅多にないからこそ、今後本当に聴けないような曲が聴ければなと思っていた節があって。でも今回、初見の人の感想を聴いて、カップリングだけどわかりやすい名曲っていう選曲は正解だったのかもなと思っている。わかりやすく人の心に届く曲というのは本当に大切。
この曲が印象的だったのは、札幌公演で席がものすごくステージに近かった時に、近すぎて、マイクを通したスピーカーからの声より、生の声の方が先に聴こえてきたこと。「あ、生きてるんだ……」と感極まったのが忘れられない。
また、大阪二日目で昭仁は序盤から喉の調子が悪く、「本当にどうしようもなくなったら演奏中でも水を飲みます。プロとして情けないことでほんまにすいません。」と前置きしていた。しかし、最後まで一切水に手を出すことはなく、やりきった。客席の祈るような雰囲気がひしひしと伝わってきて、また別の意味でも心に残る公演となった。
昭仁が無言で捌け、真ん中が空いたステージの右端に晴一が現れる。
重く、暗い感じのギターソロを静かに奏で、速弾きしたかと思えばすぐに和音でリバーブをかける。ジャ~~~ン!!といつの間にか現れていたバックバンドが始まりの時を告げ、晴一が両手を挙げながら「待っていただろ?」と言わんばかりに、ゆっくりとステージの真ん中へと移動し、空間の支配者となる。
M12 didgedilli
新藤晴一の時間。去年のBEツアーのポエトリーリーデイング~即興とは違い、詞を使用することのないギタリストの矜持のみに賭けたフリータイム。派手なライト、鮮やかなサウンド、激しいだけでなく己を「魅せる」ためのプレイスタイル。私は、それらを目の当たりにしながら、当たり前のことをひしひしと感じていた。
ギターを弾いている新藤晴一は、なんてカッコいいんだろう。
普段は悔しくて言えない言葉がぐるぐると頭の中を回っていた。完敗だった。ごめんなさい。
メロディアスなチョーキングを終え、最初のフレーズを繰り返し、鳴り響くアウトロの中で「観たか?」と言わんばかりに客席に向かって指をさす。
ギタリスト・新藤晴一によって支配された時間が終わりを告げた。
束の間。低く鈍いベース音と、ノックするような電子音があちこちから聴こえてくる。カサカサカサ……ピュイッ……チチチ……といった、まるで音のジャングルに迷い込んだかのような怪しげな雰囲気が会場を覆う。
その囁きが止み、一瞬、ほんの一瞬の静寂の後、驚くべき光景を目にすることとなる。
M13 カメレオン・レンズ
イントロが鳴った瞬間、客席全体が息をのんだ。喉の奥で声にならない悲鳴を上げたのを覚えている。現れたのは……光の檻とでも言うべきだろうか。天井から真っ直ぐに伸びる、無数の可動式スポットライトで覆われた客席。アリーナ席の真上からライトが下りているため、その存在に気付かない者、横から見て、光の壁に見えている者。多面的で幻想的な白い光を見つけていると、ゾッとするような囁き、昭仁の声が聞こえてくる。
「ありのままの真実など 誰も見ていやしない」
この静かでダークな世界観に見事に惹き込む流れは、見事としか言いようがない。この「席によって見え方が変わる」演出によって、この曲が持つ意味が存分に発揮されているようにも感じた。私はこのツアーで、アリーナ、スタンド、立ち見など様々な視点でこの光を観ていたが、一つだけ、一生かけても観られない場所がある。
それは、「ステージの上から」である。
真実の姿は演者の瞳の中にも隠されているのであった。
M14 海月
電子音が印象的な曲の流れを汲んでか、美しくも陰のあるこの『海月』へとつながっていく。昭仁の持つ作詞の世界観は、時に自然への畏怖のような、壮大な宇宙の中で生きている自分がちっぽけに感じている、そんな気持ちが表れているようなものがある。太古の昔から息づく生命、サビからの広がるような展開は、深海から一気に空へと飛び出していくような感覚に襲われる。低い低音からの解放感が、伸びやかな歌声で表現される。そして、イルカの発するソナーのように、ディレイをかけて鳴り響く高音のギター。ひとつの曲としての世界観がしっかりと構築されていて、別の空間にトリップしそうだった。
M15 フラワー
静かにフェードインしてくるイントロと共に、一人のバレリーナの写真が浮かび上がる。ミレミレミレ……と繰り返されるピアノで始まるのは、現時点での最新曲、『フラワー』である。
私はこの曲について感じる事、考える事がたくさんあるが、あえてライブ時に印象に残ったことのみ記しておく。
私がこの曲を聴いて最も印象に残ったのは、この曲を「一番遠く」で聴いた回である。スタンドの最後列。ステージの正面であった。
一人の人間の生命を、一輪の花になぞらえて展開するこの曲は、一見すれば儚さ、無常さを感じてしまうものの、そこには確かな力強さがある。私は、ステージで歌う昭仁の姿を見つめていた。あんなに小さな、遠くに見える姿から、ふとした瞬間に『一人の人間』であることを感じていた。同じ人間のはずなのに、彼から発せられる歌声は、美しく、優しく、儚く、そして強い。たった一人の人間から、いったいどれだけのパワーがこんなに大勢の人々に届いているのだろう。今までどれだけ私の心を掬いあげてくれたのだろう。
たった一人、だけど「ただ一人」しかいない。彼は……いや、彼らは、ただ愛でられるためだけに、その才を誇るためだけに、ステージに立ってくれているのではない。ステージに立つその意味を、『ライブ』という空間を共有することによって、少しでも実感できる。
1つの生命から溢れ出る力に圧倒されて、私はただ涙を流すことしかできなかった。拭うことすら出来なかった。私は、ポルノグラフィティという『生命』に出会うことができて、本当に良かったと、心からそう思った。
それがいつか、どんな形であれ、終わりの時が来ると……わかっていても。それが、果てしなく、想像もつかないほど遠い日であることを、私は願ってやまない。
昭「ありがとうございます。僕たちの最新曲『フラワー』を聴いていただきました。この曲も、長く皆さんに愛される曲になればいいなと思っています。」
昭「さぁ!!!まだまだ行くよ。後半戦も盛り上がっていくぞ。準備はできとんのか!!!」
客 \イェーーーーーイ!!!!/
昭「熱くなる準備はできとんのか!!!!」
客 \イェーーーーーイ!!!!/
昭「そんな君たちに火をつけるのは!晴一の、ギターフレーズ!」
M16 オー!リバル
もうイントロからして涙が出るほどのパンチ力があるこの曲は、後半戦の幕開けにふさわしいと言える。ラテンロック系で言えばもうポルノの宝だ。
「音楽や絵画にあるように 過ぎていく日々ひとつひとつに ささやかな題名をつけて見送ってあげたい」
私は特にこのフレーズが大好きなのだが、ライブのひとつひとつも正にそうであると感じる。このUNFADEDツアーのどの公演も、決して同じものではない、様々な色がついて唯一無二のものになっていくようであった。
M17 ジレンマ
なんと…なんと始まってしまった。いつものラストを飾るはずの、この定番曲が!!
晴一が「ジレンマをラストに持ってくるかなんよね~」と言っていたが、有言実行だ。ライブの最後ではなく、あくまで1曲としてこの曲が演奏される。
しかし……超個人的な気持ちを書くと、やっぱり私はジレンマで終わるのが好きだ!それはこの『中ジレンマ』を体験して改めて思ったことだ。勿論盛り上がりは十分だった。だけど、ソロ回しで満を持して煽られて晴一が出てくるという流れと、最後の最後でちょっぴり切ない気持ちになりながらも、全力を出し切って帰るという、いわば儀式的な空気をとても愛していたのだ。
中盤でやるにせよ、アレンジはいつも通りで良かったのではないかな?とも思う。あのベースが下がっていくアレンジが個人的に好みではなかった。思いもよらぬ自分の”ジレンマ愛”に気付かされることとなった。楽しいは楽しかったが!
デンデンデン!デンデンデデン!とモータウンサウンドのリズムが鳴り、一瞬「POISONだ!!(※カバー曲)」と思ってしまったが、全然違った。しかし、別の形で大興奮することとなる。
昭「みなさんの!今日という日は!何色ですか~~~!!」
M18 パレット
ぱ、パレット~~~~~~!?!実は、初日はこの曲だけなぜがベースの音がめちゃくちゃでかくて、イントロだと何の曲かわからず……。でも大好きなパレットが聴けて、私は単純に感動した。
やはり、このUNFADEDツアーにおいて、『色』というキーワードはとても重要なものになっていると感じる。ここまで実は、色が出てくる曲はかなりたくさんあったし、『色褪せない』という意味を感じさせるフレーズもあった。しかし、色褪せないだけでなく、これからも『色をつけていく』ことも、また大切なことなのだと伝えられている気がした。
ギターソロ前で、昭仁が毎回無理やりにでも「ハルイチィ!」と短く叫ぶのが好きだ。
M19 サウダージ
まさかのラテン3曲目!BEツアーでは、アルバムに収録されている『LiAR』のみ(しかも前半は『Montage』と入れ替え)だったため、大盤振る舞いに感じる。変化球なアレンジもなく、通常と同じ雰囲気の演奏だった。変わったことはしない、定番曲でありながら『色褪せない』、そんな魅力を存分に発揮していた。
最後の裏声のコーラスがまた美しい。昭仁は、ここ数年で完全にファルセットを武器にしている。色褪せないのは楽曲だけではなく、歌声もまた同じことだろう。
M20 ハネウマライダー
イントロが聴こえた瞬間、体が自動的にタオルを用意する。「あんなこと言っといて、やるんかーい!」と若干思った。まぁ、このツアーに初めて参加する人ももちろんいるため、前半のニッチな選曲とバランスを取るためだろうとも思える。しかし楽しいものは楽しいし、「他の誰かといや!!ここにいる君たちと!!!」を聴くと、ああライブに来たんだな、生きているな~と何回でも思える。ポルノグラフィティというBig machineに乗せてもらってここまでやってきて、こんなに豊かな顔を持つコンセプトのツアーに来ることが出来て、非常に嬉しい。このメタルブルーのマシンは、これからも私たちを飽きさせることのない場所へ連れて行ってくれるのだろう。
銀テープも発射されたところで、いよいよこの『UNFADED』も終わりを迎える。
昭「最後の曲になります。」
昭仁が息を切らしながらも、静かに話し始める。
昭「冷静になって周りを見渡してみると。僕らの周りには、時間と共に色褪せてしまうものばかりで。…だけど、色褪せてはいけないもの、忘れてはいけない記憶がたくさんあって。色褪せてはいけない記憶、その記憶を、大切にこの手の中に持って、これからも進んでいければいいなと思います。今日という日が、皆さんにとって色褪せないものになりますように。今日は本当にありがとう。」
私は正直、この公演を締めくくるにふさわしい曲が何なのか、想像もついていなかった。これまで何度も”色褪せない”というテーマを明確に掲げていて、それをしっかりと飾る曲はなんなのか。
イントロを聴いて、私は絶句することとなった。
M21 ∠RECEIVER
本当に、何がなんだかわからなかった。
そして、理解したと同時に、泣いていた。
この『∠RECEIVER』という曲は、”スマトラ沖地震”をモチーフにしているということが、作詞者の晴一の口から語られている。そして楽曲の発表後に起きた、2011年の東北大震災の後も、この曲には大きな意味のようなものが付加されていったと捉えられている。かくいう私自身も、北海道胆振東部地震を身を持って体験した身である。
”震災”という、逃れることはできない、大きく重すぎる現実。また、それに類するような、悲しく暗い出来事。それが日本であっても海外であっても、「リアル」から目を背けない、そうこれは、”リアル”、”現実”を歌った曲として存在していた。この瞬間までは。
しかし彼らは、『現実を見る』ためではなく『色褪せてはいけないもの』として、この曲を公演の象徴ともいえる位置に持ってきた。忘れない、思い出すという言葉は”過去”に対して使うもの。今この瞬間、1分1秒が、過去へと姿を変える。当時の出来事を、あえて『過去』とすることで、前に進む推進力にしようとしているのではないだろうか。私はそう感じた。この曲を、大洪水直後のしまなみロマンスポルノであえてやらなかったのは、結果的にこのツアーのためだったのではないだろうか。
また、『受信者になる』ということは、決してネガティブな、ただ足を止めて傍観するという怠慢な意味ではない。自ら真実を見つめ、誰かの呼び声を聴くことの大切さ。本当のことを見ないようにすることだって出来る。しかし、受信者でいることで、リアルをしっかりと受け止めること。それは、悲しみに覆われた当事者にはできないことだ。その悲しみをそっと拭い去ること、それが『受信者』にできることなのではないだろうか。
この曲の持つ意味が、新たに増えていく。ポルノグラフィティは、社会の位置づけで言えばどちらかというと『発信する側』であると思う。しかし、彼らが一人の人間として『受信者』でいてくれるからこそ、私たちはそれを受けとめることができる。
痛々しい現実が、いつか過去になるように。その過去を、色褪せないように各々の手の中に持って(この昭仁の独特の表現が好きだ)、私たちは進んでいくのだ。
圧巻のステージが終わり、メンバーが捌けていく。私は立つことすら出来なくなったほど泣いていた。必死でアンコールをする声が聞こえる。それが、終わりに近づく合図だとしても、誰も呼ぶことをやめない。
昭「アンコールありがとうございます!!みんながそうやって卑猥な3文字を連呼するけぇ、アンコールやるじゃろが!!今日は皆さんに、一足早いクリスマスプレゼントを届けたいと思いまーーーす!!!」
EN1 Hard Days,Holy Night
クリスマス前ではおなじみのこの曲。なんと、カウントダウン公演でもこれをやった時はさすがに驚いた。「世界一早いクリスマスソング」らしいが、物は言い様とはこのことである。てっきりやるならスロウ・ザ・コインくらいかと思っていたのだが。ちなみに私は『特別な日なのに』を男性がやっても全然良い派。
そして、全公演の中で印象に残っているアンコールと言えばもちろん、横浜公演1日目だ。
昭「アンコールやるよ!!……やるんだが。ここで、皆さんに、素晴らしいお知らせがございまーーす!!どーーーーん!!!」
東 京 ド ー ム L I V E 開 催 !!!!!!
この様子は公式動画に上げられているが、すさまじい悲鳴である。すさまじすぎて、自分らが発表したくせにたじろいでいる二人の様子が見られるのが面白い。
死ぬほど楽しみだ。勿論、当日まで死ぬわけにはいかない。
そして年明け以降のアンコール曲がこれである。
昭「今日は色んな曲をやってきたけど!こんな曲までやっちゃいまーーす!!これだー!!!」
EN1´ タネウマライダー
いやほんと、まさか(笑)。予想外とかそういう問題じゃなく、そこ!?(笑)という気持ちになった。カップリングかつ思いっきりなギャグ曲という選択に驚いていたのだが、その後のMCにより理由がなんとなく見えた気がする。
昭「こんな人でなしの歌詞を書いたのは、こいつだ~!!」
晴「……どうしてこんな曲を書いたのかというと…」
昭「ひどすぎるもんね!」(簡単に言うと、ひどい女たらしの主人公の曲である)
晴「仮にも俺達はロックなんだぞと…ロックならこれくらい書かんと、と当時の俺は思って…大人たちの眉をひそめさせるような…しかし。今、自分が眉をひそめているという…」
昭「あはは(笑)」
晴「黒歴史だ…!」
まさか、昭仁の『見つめている』と合わせて、黒歴史シリーズなのか…?!と思ったり。真相はわからないが。
昭「ここで!ポルノグラフィティ、メンバー紹介をしたいと思いまーす!」
今回から初参加の、皆川さんと須永さんは初日で一言挨拶をしていたのでここに書いておく。
皆川さん「この中で一番楽しもうと思ったんですけど、(客席の)皆さんには負けちゃいました!」
須永さん「緊張してたんですが、すっっっっっっごく楽しかったです!」
昭「『す』が長いね?!あっ『スナガ』だから?!急に振ったのにうまいこと言ってくれてありがとう!」
最後は、いつも通りポルノの二人。
昭「ギターの名前をでっかい声で呼んでやってくださーい!!オーンギター!!!」
客 \はるいち~~~~~~!!!!/
昭「オーーーンギター!!!」
客 \はるいち~~~~~~!!!!/
昭「ポルノグラフィティオンギター、新藤はーるいち~~~!!!」
晴「……こうして20年続けてこれなかったら、そりゃやらないで終わる曲もある。こんな曲(下を指さしながら)やらんで?!ふつう!!」
昭「やたら下を指さすね」
晴「曲順表。」
昭「曲順表か(笑)」
晴「でも、こうして続けてるから、今になってもできる曲があるって、なんかの時に思って…ライオンかな?ライオンは、アマチュアの時からある曲じゃけぇ、長いことやっとる。でもその、古いものが色褪せるからこそ、新しい発想が生まれたりする。そのことが、ありがたいことだと、思いながら、ライブをしました!」
ここに、晴一のMCの中で特に印象的だった大阪二日目の挨拶も書き加えておく。
晴「全然、全然宣伝ではないんだけど。全然宣伝じゃないよ?……本が出まして。『別冊俺』(※晴一単体の特集誌、『GUITAR MAGAZINE SPECIAL ARTIST SERIES 新藤晴一』のこと)。それで、ずっとインタビューをされとったんじゃけど。やっぱり、大阪のことをよく思い出していて。昔は、大阪城公園で演奏してた時は、会場に向かう人…安室奈美恵だとかシャ乱Qだとか 、(それを観るために)その人たちが楽しそうに向かって行くのを観ながら、『いつかあそこに立つぞ』って思いながらやってて。ライオンとかジレンマもやったよね?」
昭「やっとったね。」
晴「今こうして、その曲を未だにライブで演奏できる、こういう光景が見たくてやってきたんだなと……思いながらやってました。」
私は彼らの地元公演(出身地の広島やアマチュアの活動拠点であった大阪)にほとんど行ったことがなく、こうして大阪での思い入れがMCとして聴けるのももちろん初めてだったので、新鮮な経験だった。また次も大阪公演は取りたい。開演前の客のテンションも非常に良かったように思う。
晴「最後に、ボーカルも呼んでやってくださ~い。ボーカルは~?」
客 \あきひと~~~~~~!!!!/
晴「ボーカルは~~~~」
客 \あきひと~~~~~~!!!!/
晴「ポルノグラフィティ、ボーカル、おかの~~あきひとく~~~ん!」
昭「ありがとうございますっ!!!!長いことやっとると、『長いことやってこれたのも、何か秘訣があるんでしょうか?お二人の絆ですか?』なんて聞かれることもあって。まぁ、無いわけではない…それもちょびっとはあるのかな?(笑)でもやっぱり、それだけじゃなく何よりも、周りで支えてくれるスタッフ、メンバー、そして皆さんがポルノグラフィティを求めてくれるから、ポルノのライブが観たい、新曲が聴きたいって言い続けてくれたからこそ、ここまでやってこれました。本当にありがとうございます!!」
「さあ!!!今日の主役は、盛り上げてくれた皆さんです。みなさん、自分自身に、拍手しましょう!!最後に、皆さんでアホになるんですが、そのためには、思いっきり、歌って、踊って、泣いて、笑いましょう!!!じゃあ、晴一よろしく!!」
EN2 ライラ
ワンツースリー、という晴一のカウントにより始まったこの曲。晴一による盛大なネタバレ(予習用)ツイートにより、やることがわかっていたが最後まで演奏されなかったため、締めはこれか!と客の準備もできていた。
しかし……ロシア語のコーラス難しくね?!と誰しもが思っていたと思う。大阪2日目からはロシア語のテロップがついたため大いに叫ぶことができたと思うが、それまではけっこうどうしたらいいかわからない感じになってしまったのがもったいない。
そして……この曲の楽しみでもあり、面白ポイントでもあり、会場全体が満を持して待っていた……
昭「夢があるとしたら……!!!!!」
昭仁の語りパートである。さてどう来るのかと思いきや、
昭「さわやかのハンバーグをおなかいっぱい食べるとか!!!!!静岡のうなぎをこれまたおなかいっぱい食べるとか!!!」
アレンジするにしてもまさかの「おなかいっぱいシリーズ」であった。
この部分は各地で日替わり要素として楽しまれていくのだった。
また、今回のサポートメンバーソロ回しは、アドリブではなくとある曲のワンフレーズだったりその地にゆかりのあるCMソングだったり様々だった。
横浜で横浜リリーを弾いてくれたtasukuさん、一生サポートお願いしたいです。
曲のテンポが終盤に向けてどんどん上がり、最後には「ライララライララライララライライライライライ」すら言えなくなるほど速くなり、最高潮に盛り上がった所で長いアウトロがかき鳴らされる。
昭「あんたらは!!!最高じゃ!!!!ほんまに最高じゃ!!!!胸張っていけ!!!!自信持っていけ!!!!」
昭仁からお決まりのこの言葉を貰うと、ああ、また生きて、二人に会いに来よう、そう思えるのだ。
曲が終わり、サポートメンバーが捌ける。
2人がゆっくりと、ステージの端から端まで手を振り歩く。公演の、本当の終わりが近づいていた。
歓声を、感謝を叫ぶ客席を制して、マイクを通さずまず晴一が叫ぶ。(※初日バージョン)
晴「今日皆さんのおかげで初日を迎えられて、よかったでーーす!!」
盛り上がる客席を再び制し、昭仁が叫ぶ。
昭「最高のツアーになるように、がんばってきまーーーす!!!!!今日は、ありがとーーーーー!!!!」
こうして、UNFADED初日は幕を閉じた。
色々な想いを書いてしまい、話が飛び飛びになってしまったが、私がこのツアーで感じたことは、一通り書ききったつもりである。
またMCなどを追記するかもしれないが、一旦ここで終了させていただく。
こんなに長い記事を、ここまで読んでくださりありがとうございました。
令和になっても、ポルノグラフィティを愛し続けていきたいです。平成が終わる10分前より。
<セットリスト>
M1 オレ、天使
M2 A New Day
M3 幸せについて本気出して考えてみた
M4 東京ランドスケープ
M5 ジョバイロ
M6 ヴィンテージ(⇔Swing)
M7 前夜
M8 ビタースイート
M9 ライオン(⇔DON'T CALL ME CARZY)
M10 Zombies are standing out
M11 夕陽と星空と僕
M12 Didgedilli
M13 カメレオン・レンズ
M14 海月
M15 フラワー
M16 オー!リバル
M17 ジレンマ
M18 サウダージ
M19 パレット
M20 ハネウマライダー
M21 ∠RECEIVER
EN1 Hard Days,Holy Night(⇔タネウマライダー)
EN2 ライラ
☆最後に
私がファンとして感じたことを書き残しておきたいと思う。
今回の『UNFADEDツアー』は、全楽曲が対象ということで、今までのコアなファンからすると、夢のようなツアーコンセプトだったと思う。
しかし蓋を開けてみると、意外にも、人気の高いことがわかっている曲だったり、ベスト盤にも収録されている曲が多かったりして、「置きにいったな」という評価がされているように思う。(それでもツアーで『Swing』や、新曲である『前夜』『海月』などを漏らさずやったのは中々にチャレンジングではあると思うが)
しかし、その選曲のバランスのおかげで、初めてポルノのライブに来る人にもかなり満足度の高いツアーになったのではないかと思っている。
ポルノグラフィティは、純粋に考えても知名度が高い。だがそれがネックであり、「今さら聞き始めるなんてなぁ」と思われがちである。少なくとも私はそう感じる。
しかし、このツアーにより、新たな一面を発見できた人も多いのではないだろうか。私は、自分が大好きなものだからこそ、より多くの人に魅力を知ってほしい。だからこそ、たくさんの人を誘いたいし、実際に誘った。その反応を見ていると、このツアーで「ポルノのライブって楽しいし、すごい!」と思ってもらえた可能性はかなり高いと言える。
では、究極に楽しみにしていたコアなファンにとってはどうか?楽しめたのか?
答えはもちろん、YESである。
前回のBEツアーにおいて、私は彼らから尋常ならざる決意を感じた。その感覚が合っていたかどうかは、彼らの口から『よりチャレンジングなものにした』とはっきり語られたことで、概ね間違っていないことがわかった。それは、1曲1曲の距離の取り方だったり、昭仁の弾き語りコーナーや晴一の独壇場を作ることなどから感じていたものだ。
それが、このツアーでは、正当に進化しているように感じられたのだ。
マンネリではなく、常に新しい挑戦と、進化を続ける。それは昨年発表された楽曲、『カメレオン・レンズ』『ブレス』『Zombies are standing out』『フラワー』という、バラエティに富んだ並びからも充分伝わってくる。
そして、惜しくも1日のみとなってしまったしまなみロマンスポルノ。その悔しさを、このツアーにぶつけたと言っても過言ではないくらい、メッセージ性にあふれたツアーだったといえる。
何度も書いてきたが、このツアーは”色褪せない”ということを掲げている。
それは、楽曲だけでなく、彼ら自身のことでもあるだろう。
そしてそれは、私たちからポルノグラフィティへ、そして、ポルノグラフィティから私たちファンへ送られる『愛』のことでもあるように感じたのだ。
それは各曲の感想部分でも述べているとおり、勝手に私が感じているようなものかもしれない。だけど、私には今回の曲のセレクトが適当だとも思えないし、どこか意図的なものを感じるのだ。
単純に「ありがとう」と伝えたいだけなら、ファン感謝祭などのイベントを銘打って開けばよい。しかし、このツアーは恐らく『コアなファンであればあるほど、考察せずにはいられない』作りになっている、そう思わないだろうか。
なぜ今「幸せについて本気出して考える」のか。
色褪せたギターで愛の歌を捧げるのか。
「薄れてゆく だけど消えない記憶」とはなんなのか。
私たちが「歩き疲れたら帰る」場所とはどこなのか。
このツアーは、ポルノグラフィティからの「愛のメッセージ」である。
私はそう感じていたい。そう信じていたい。
このツアーが、自分の中で最終日を迎える時……横浜2日目であるが、なぜか妙に寂しくて、泣きまくってしまったのを覚えている。
それは、たくさんの愛を受け取ったから、余計に、しばらく会えなくなるのが寂しくなってしまったのではないか……そんな気がしている。離れるのが怖くて。いつものように「お疲れ様!楽しかったよ!」だけじゃ終われない気がして。自分の中で、ポルノグラフィティがこんなにも愛しく、かけがえのない時間を与えてくれていることに、改めて気づいてしまった。その時間は、もう二度と戻らない、「記憶」となって自分の中に残るのみだ。
私はこれからも、ポルノグラフィティと共に過ごせる時間を、今まで以上に大切なものとして扱って生きたいと思う。
こんなところまで読んで下さり本当にありがとうございました。